モーツァルト:ホルン協奏曲第3番 K.447 — 音色・技巧・友情が織りなす古典の妙味
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作品概説
ホルン協奏曲第3番 変ホ長調 K.447(以下 K.447)は、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトが後期ウィーン期に手掛けたホルン独奏曲群の一つです。通常モーツァルトのホルン協奏曲は4曲(K.412/386b, K.417, K.447, K.495)として扱われ、いずれも友人であり名手のホルン奏者ヨーゼフ・ロイトゲープ(Joseph Leutgeb)を念頭に作曲されたと伝えられます。K.447は変ホ長調というホルンにとって親和性の高い調性で書かれており、華やかさと歌心を併せ持つ作品です。
作曲年代と成立の背景
K.447の成立年については資料によって表記の揺れがあり、1783年頃とする資料が多い一方で、正確な成立日が明確でない点も指摘されています。いずれにせよ1780年代前半から中盤のウィーンにおけるモーツァルトの創作期に位置し、当時のサロンや宮廷での室内的な演奏需要や、友人ロイトゲープのための実用的なレパートリーとしての性格が色濃く反映されています。
編成と楽器的特性
K.447はソロ・ホルン(当時は自然ホルン)と弦楽器、さらにオーボエ(作品によりオーボエ2本が加わる編成)を伴うことが一般的です。自然ホルンはバルブを持たないため、基本的には自然倍音系列を活用した音階・フレーズが中心になりますが、19世紀以降の〈ハンドストッピング〉技法や当時の奏者の熟練により、ある程度の半音やクロマティックな書法も可能でした。
モーツァルトはロイトゲープの得意技や音域をよく知っており、楽想は技巧的な跳躍やトリル、速いパッセージと、親しみやすい歌い回しをバランスよく織り込んでいます。変ホ長調はホルンの自然調の一つで、鳴りが良く安定した低域と、中高域での明るい響きを得やすい点から、協奏曲作品に適した調性となっています。
楽章構成と音楽的特色
K.447は典型的な三楽章形式をとります。以下に各楽章の特徴を整理します。
- 第1楽章(アレグロ/ソナタ形式的)
協奏曲の導入部に相当する第1楽章は、ソナタ形式を基盤としながらも、ソロとオーケストラの対話が随所にみられます。ホルンは提示部で華やかな主題を担当し、技巧的なスケールや跳躍を用いて存在感を示します。オーケストラは支えに徹する場面と、応答的に主題を受け渡す場面が交互に現れ、古典派の透明なテクスチャが保たれます。
- 第2楽章(ロマンツァ風/歌の楽章)
中間楽章は静かな歌心に満ちた楽想で、ホルンの美しいレガート(歌わせる奏法)が生かされます。自然ホルン特有の暖かい音色が、簡潔ながら感情豊かな旋律線を通して前面に出され、技巧的な見せ場よりも表情や音色のコントロールが重視されます。
- 第3楽章(ロンド/アレグロ)
終楽章は元気で活発なロンド形式が採られることが多く、主題の反復と対照的なエピソードが交互に現れる構成です。ホルンは軽快なパッセージやリズミックな動きを担い、聴衆に明るい印象を残して曲を締めくくります。
作曲上の工夫とホルン表現
モーツァルトのK.447には、限られた当時のホルン技術を逆手に取った魅力的な工夫が見られます。自然倍音列を巧みに利用した開放音の美しさ、低域と中域を行き来する旋律の設計、そして短く効果的なフレージングによって、ホルンの「歌う力」と「管楽器ならではの輝き」を両立させています。さらにオーケストラ内に配置される補助ホルンとの掛け合いによって、音色の重なりや立体感も生み出されています。
演奏と実践上の留意点
現代の演奏では、バルブ付きホルンを用いる場合が多く、楽譜の移調や細かなニュアンス表現が容易になっています。ただし、歴史的奏法に基づく演奏(原典主義)を志向する場合は、自然ホルンやピリオド楽器編成を採用し、当時の音程感や発音法、テンポ感を再現する試みが行われます。
〈カデンツァ〉については、モーツァルト自身が長大な即興的カデンツァを残したわけではなく、演奏家が自ら考案するか、後世の奏者や編曲者のカデンツァを採用するのが通例です。現代のソリストは楽曲の古典的均衡を損なわない範囲で技巧を見せることが期待されます。
楽曲の受容と録音史
K.447はモーツァルトのホルン協奏曲の中でも演奏頻度が高く、20世紀以降の録音史において重要なレパートリーとなりました。近代的なホルン奏者による歴史的評価や、ピリオド系アンサンブルによる新たな解釈が積み重なり、曲想の幅が広がっています。録音によって音色やテンポの取り方、カデンツァの選択が大きく異なるため、複数の演奏を聴き比べることで作品の多面性をより深く理解できます。
楽譜と版の問題
K.447の現代的な信頼できる版としては「Neue Mozart-Ausgabe(新モーツァルト全集)」が挙げられます。また、IMSLP(国際楽譜ライブラリープロジェクト)などで原典や写譜のスキャン画像を参照できるため、演奏や研究の前提として原典比較を行うことが推奨されます。版により装飾やテンポ指示、フレージングの解釈に差が見られることがありますので、演奏者は史料を参照して最適な表現を選ぶべきです。
演奏上の助言(奏者向け)
- フレーズの呼吸と歌い回しを第一に考える。ホルンは歌心で聴かせる楽器である。
- 自然ホルンの特性(開放音の強み、半音の取り扱い)を意識し、現代ホルンでもそれを模倣する発想を持つ。
- 第1楽章と第3楽章では対話性を重視し、オーケストラとのバランスを常に調整する。
- カデンツァは楽曲の様式感を損なわない範囲で技巧を含めるか、古典的な簡潔さを選ぶかを明確に決める。
まとめ — 古典の均衡と人間味
K.447は技術的な見せ場と素朴な歌心が同居する作品であり、モーツァルトの器楽書法と人間関係(特にロイトゲープとの友情)が反映された一曲です。ホルンの音色の多様性、古典派の均整のとれた構造、そして演奏者の個性が響き合うことで、聴き手に深い満足を与えます。現代のリスナー/奏者ともに、原典を参照しつつ多様な演奏解釈に触れることで、この作品の魅力をより豊かに味わうことができるでしょう。
参考文献
- IMSLP: Horn Concerto No.3 in E-flat major, K.447 (Mozart)
- Britannica: Wolfgang Amadeus Mozart — Biography
- Wikipedia: Horn Concerto No. 3 (Mozart)
- Neue Mozart-Ausgabe (Mozarteum Edition)
- AllMusic: Wolfgang Amadeus Mozart — works and recordings
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