サール番号(S.)とは?リスト作品の番号体系と使い方を徹底解説

はじめに — サール番号(S.)とは何か

サール番号(S. 番号)は、主にフランツ・リスト(Franz Liszt, 1811–1886)の作品を整理・参照するために用いられる通し番号体系です。一般には「S.」または「Searle(サール)」と表記され、英の音楽学者・作曲家ハンフリー・サール(Humphrey Searle)が編纂したリストに基づいています。リストの多作ぶりと改訂・編曲の多さから、単純なOp.(作品番号)だけでは混乱が生じやすく、サール番号は学術的・実務的な標準参照の一つとして広く用いられています。

サール番号が生まれた背景と意義

リストはピアノ曲、管弦楽曲、歌曲、編曲・校訂など極めて多岐にわたる作品を残し、生前・死後に様々な版・改訂が出回りました。加えて当時の出版事情やリスト自身の改訂が重なり、同一曲に複数の版番号や異なる題名が付されることが少なくありませんでした。こうした事情を受け、体系的に作品を整理するための目録(カタログ)が必要になり、サールはリスト作品の包括的な目録付けを行いました。

サール番号の基本的な表記法

  • 接頭辞「S.」:Searle を示す略号として「S.」が使われます。例:「S.244/2」など。

  • スラッシュ表記:曲集や連作の中の個別曲は「S.番号/曲順」で示されることが多い。例:ハンガリー狂詩曲第2番は「S.244/2」と表記される(S.244がハンガリー狂詩曲集全体の番号)。

  • 別版本・編曲:同一作品に複数の版や編曲がある場合、サール目録内で別のサブ番号や注記が付されることがあり、単独の番号だけで版を特定できない場合があるため、版年や資料を併記するのが望ましい。

他の作曲家のカタログとの比較(文脈理解のため)

作曲家の全作品を整理するためのカタログは他にも有名な例があり、理解の助けになります。たとえばモーツァルトはケッヘル(K.)、シューベルトはドイチュ(D.)、ハイドンはホーボーケン(Hob.)などが知られています。これらと同様にサール番号はリスト研究や楽譜・録音の注記で標準参照として機能します。ただし、各目録は作成者の分類方針に依存するため、番号体系が必ずしも作曲年代順ではない点に注意が必要です。

実務での使い方:スコア、演奏会、録音での表記

  • スコアや楽譜の扉、演奏会プログラム、CDブックレットでは「作品名(S.xx)」の形で併記することが一般的です。例えばプログラム上に「Liebesträume No.3, S.541/3」といった表記が見られます。

  • 録音データベースや図書館の目録、web上のディスコグラフィではサール番号を検索キーにすると同一作品の異版や異題の混同を避けやすくなります。

  • 学術論文で作品の版を特定する場合は、サール番号に加えて初出版年、手稿譜の所蔵館、版の識別子を併記するのが適切です。

サール番号使用上の注意点と限界

  • 完全な唯一解ではない:サールの目録は包括的ですが、リスト作品の新たな発見や版の再評価により注記が変わることがあります。また、サール以前や以後に編纂された別の目録と番号が並存する場合もあります。

  • 版差異の曖昧さ:同一S.番号で複数の版が含まれていることがあり、演奏者・研究者は版の違い(例えば異なるフィナーレやピアノ伴奏の細部)を明示する必要があります。

  • 曲集の内部順序:S.番号が必ずしも作曲年代や最初の出版順を反映しているわけではないため、作曲史的研究では別の補助資料が必要です。

版や編曲、異稿をどう扱うか — 実例的アプローチ

リスト作品はしばしば自作の編曲や他者による編曲が存在します。実務的には次の順で曲を特定します:作品名 → S.番号 → 版(出版社、刊行年)→ 手稿や校訂版の識別子。たとえば有名曲を演奏会で扱う際は、使用する版を明記して聴衆や共演者に混乱を与えないことが重要です。研究発表ならば該当する手稿の所蔵館(例:ライプツィヒ、ブダペストなど)を明示します。

デジタル時代の利便性:データベースと相互参照

インターネットやデジタル図書館の普及で、サール番号はオンラインカタログ(IMSLP、RISM、各国の図書館蔵書検索、音楽配信サービスのメタデータ)と容易に結び付けられます。検索時には「作品名 + S.番号」「S.番号 + edition」などのキーワードで対象が絞れます。ディジタル化された手稿・初版資料へのリンクがあれば、版差異の確認も以前より簡便になりました。

まとめ — サール番号を使いこなすために

サール番号はリスト作品の識別に非常に有用なツールであり、演奏者、研究者、編集者、聴衆にとって共通語になります。ただし番号体系そのものが完璧な解決策ではないこと、版差異や編曲の存在を常に念頭に置くことが重要です。実務ではS.番号だけでなく版情報・所蔵情報を併記すると良いでしょう。

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参考文献