Van Halenの全史:エディの革新が生んだロックの革命

Van Halenの誕生と初期

Van Halenは1970年代初頭、カリフォルニア州パサデナ近郊でオランダ系移民の兄弟、エドワード(エディ)・ヴァン・ヘイレン(ギター)とアレックス・ヴァン・ヘイレン(ドラムス)を中心に結成されました。初期は「Mammoth」というバンド名で地元クラブを中心に活動し、1974年にデビッド・リー・ロス(ボーカル)が加入することで現在の核が固まりました。1977年にワーナー・ブラザースと契約し、1978年にセルフタイトルのデビューアルバム『Van Halen』を発表。爆発的なテクニックとキャッチーな楽曲で一躍注目を浴び、彼らはアメリカン・ハードロック/アリーナ・ロックの代表格となりました。

1978年以降の躍進と特徴的サウンド

デビュー作に収められた「Eruption(エラプション)」はエディの2ハンド・タッピング奏法を世に知らしめるインストゥルメンタルで、ロックギターの技術的基準を引き上げました。同作には「Runnin' with the Devil」「Ain't Talkin' 'Bout Love」などの代表曲も含まれ、短期間で高い商業的成功を収めます。続く『Van Halen II』(1979)や『Women and Children First』(1980)、『Fair Warning』(1981)、『Diver Down』(1982)、そして1984年の『1984』といった一連のアルバムは、派手なギターワーク、ポップなメロディ、ロスのカリスマ的パフォーマンスを核に、バラエティに富んだロック像を描きました。

エディ・ヴァン・ヘイレンのギター革新

エディは単なる速弾きのギタリストではなく、サウンドそのものを再定義した人物です。以下の点が特に重要です。

  • 2ハンド・タッピングの普及:片手で弦を叩くようにタッピングする奏法を実用化・一般化し、多くの後進ギタリストに影響を与えました。
  • 楽器改造とフランケンストラト:自身で改造したギター(“Frankenstrat”)により、ピックアップ構成や配線で独自のトーンを追求しました。
  • ハーモニクスやピッキングの混成:ハーモニクスを効果的に使用し、速いピッキングとピッキング+レガートの混合で独特なフレーズを生み出しました。
  • プロダクション上のアイデア:アンプのブーストやマイキング、エフェクトの使い方でも新しい基準を作りました。

これらにより、彼は単なるテクニシャン以上の「音楽的イノベーター」として評価されます。

デヴィッド・リー・ロス期のステージ性と作曲

デヴィッド・リー・ロス(以後Roth)は歌唱だけでなく、ステージ上でのショーマンシップとユーモアでバンドのイメージを形成しました。楽曲はギターリフを軸にしたストレートなロックが多く、Rothの語り口や派手なコーラスワークが大衆性を高めました。アルバム『1984』からのシングル「Jump」はバンド初の全米シングルチャート1位を獲得し、シンセサイザーを大胆に導入したことも彼らの音楽的拡張を示しています。

内部抗争とボーカル交代:サミー・ヘイガー時代

1985年、Rothとの軋轢により彼が脱退し、1985年にサミー・ヘイガー(通称Sammy Hagar)が加入します。ヘイガー期はバンドのサウンドがよりメロディアスかつポップ寄りになり、アルバム『5150』(1986)はバンド初の全米1位を獲得しました。以降『OU812』(1988)、『For Unlawful Carnal Knowledge』(1991:通称F.U.C.K.)、『Balance』(1995)といった成功作を生み、商業的にはバンド史上屈指の成功を収めます。

1990年代後半以降の変遷と復活

1996年にヘイガーが脱退し、元Extremeのゲイリー・シェローネが加入して1998年に『Van Halen III』を発表しましたが、評価と売上は賛否両論に分かれました。2000年代以降は度重なる再結成話とツアー、メンバーの確執が取り沙汰されましたが、2007年にはRothとの再結成ツアーが実現。その後エディの息子、ウルフギャング・ヴァン・ヘイレンがベースとして参加し、2012年にオリジナル曲を中心とした『A Different Kind of Truth』をリリース。これは1970年代の初期デモや未発表曲を再構築した側面が強い作品で、批評的にも商業的にも一定の成功を収めました。

晩年と遺産

エディ・ヴァン・ヘイレンは長年にわたるがん闘病の末、2020年10月6日に逝去しました。彼の死はロック界に大きな衝撃を与え、多くのミュージシャンやメディアがその影響力と功績を称えました。Van Halenというブランドはメンバー間の確執や時代による変遷を経ながらも、ハードロックの定番として幾多のバンドやギタリストにインスピレーションを与え続けています。

音楽的影響と後世への波及

エディの奏法は80年代以降のギターヒーローたちに直接的な影響を与え、タッピング奏法やフィンガーワークはギタリストの標準的テクニックとなりました。さらに、Van Halenはプロダクションの面でもアリーナ・ロックの見本となり、リフを基盤にしたシンプルで強力な楽曲設計とステージ演出の両立を示しました。ポピュラーミュージックにおける「ギター・ヒーロー」像の形成にも大きく寄与しています。

代表的ディスコグラフィ(主要アルバム)

  • Van Halen(1978)
  • Van Halen II(1979)
  • Women and Children First(1980)
  • Fair Warning(1981)
  • Diver Down(1982)
  • 1984(1984)
  • 5150(1986)
  • OU812(1988)
  • For Unlawful Carnal Knowledge(1991)
  • Balance(1995)
  • Van Halen III(1998)
  • A Different Kind of Truth(2012)

批評的視点と評価の多様性

Van Halenは長年にわたって高い人気を保ちながらも、音楽的評価は一枚岩ではありません。批評家の中には商業主義的だと評する者もいれば、革新的なギター・ワークとポップ性の融合を高く評価する者もいます。だが、セールスやライブでの影響力、そして楽器演奏の面で残した遺産は議論の余地がほとんどないほど大きいと言えます。

結論:Van Halenが残したもの

Van Halenは単なる一つのバンドにとどまらず、エディ・ヴァン・ヘイレンという個の革新がロックの表現を拡張した事例です。巧妙なリフ、メロディ、ステージ・パフォーマンス、そしてテクニカルなギター奏法──これらが組み合わさることで、彼らは1970〜90年代のロック・シーンに不可逆的な影響を与えました。バンドは紆余曲折を経て変容しましたが、その中心にある“音楽的エネルギー”は現在でも多くのリスナーとプレイヤーに受け継がれています。

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参考文献