初心者が聴くべきモダンジャズ名盤6選 — ジャズ入門の第一歩

本コラムでは、1950年代後半から1960年代にかけてリリースされた、モダンジャズの多彩な魅力を堪能できる6枚の名盤をご紹介します。マイルス・デイヴィスの『Kind of Blue』、キャノンボール・アダレイの『Somethin’ Else』、ジョン・コルトレーンの『Blue Train』、アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズの『Moanin’』、デイヴ・ブルーベック・カルテットの『Jazz Impressions of Japan』、ジョン・コルトレーンの『A Love Supreme』の6作品を取り上げ、それぞれの背景、代表曲、聴きどころ、学習ポイントを詳しく解説します。
はじめに
モダンジャズは、1940年代末から1960年代にかけて発展したジャズの潮流であり、ビバップを出発点としてモーダルジャズ、ハードバップ、クールジャズ、スピリチュアルジャズなど多様なスタイルが花開きました。各アルバムには演奏者の個性や音楽的実験が色濃く反映されており、初心者でも作品を通してジャズの基本構造や即興の魅力に触れることができます。
レコード選びのポイント
- リリース年と録音スタジオ:当時の技術や録音環境がサウンドに影響します。
- 演奏メンバー:各作品のバンド構成をチェックすることで、どの奏者がどのようにソロを取るかを予習できます。
- 代表曲とコンセプト:コンセプトアルバムはテーマ性が強く、通しで聴くことで統一感を味わえます。
- スタイル別学習ポイント:モーダル演奏の理解には『Kind of Blue』、ハードバップの躍動感は『Moanin’』で掴めます。
おすすめレコード6選
1. Kind of Blue – Miles Davis(1959年8月17日リリース)
『Kind of Blue』はモーダルジャズを代表する金字塔で、シンプルなコード進行の枠組みを脱して即興の自由度を追求した一枚です。
- 録音日・場所:1959年3月2日、4月22日、ニューヨーク〈Columbia 30th Street Studio〉。
- 参加メンバー:マイルス・デイヴィス(tp)、ジョン・コルトレーン(ts)、キャノンボール・アダレイ(as)、ビル・エヴァンス(p)、ポール・チェンバース(b)、ジミー・コブ(ds)、ウィントン・ケリー(p)。
- 代表曲:「So What」「Freddie Freeloader」「Blue in Green」
- 聴きどころ:モードごとに与えられた音階を基に各奏者がメロディを構築する手法を聞き取り、ビル・エヴァンスの静謐なタッチとコルトレーンの旋律的ソロを対比させると理解が深まります。
2. Somethin’ Else – Cannonball Adderley(1958年3月9日録音、同年8月リリース)
キャノンボール・アダレイ唯一のBlue Note作品であり、マイルス・デイヴィスがサイドマンとして参加したことで知られます。
- 録音日・場所:1958年3月9日、ヴァン・ゲルダー・スタジオ(ニュージャージー)。
- 参加メンバー:キャノンボール・アダレイ(as)、マイルス・デイヴィス(tp)、ホレス・シルバー(p)、ポール・チェンバース(b)、アーティ・ブレイキー(ds)。
- 代表曲:「Autumn Leaves」「Love for Sale」「Dancing in the Dark」
- 聴きどころ:ホレス・シルバー作の軽快なリズムに、アダレイとデイヴィスが絶妙な掛け合いを見せる“デュオ・インタープレイ”を体感しましょう。
3. Blue Train – John Coltrane(1957年9月15日録音、1958年リリース)
コルトレーン初のBlue Noteリーダー作で、ハードバップの精髄を堪能できます。
- 録音日・場所:1957年9月15日、ヴァン・ゲルダー・スタジオ(ハッケンサック)。
- 参加メンバー:ジョン・コルトレーン(ts)、リー・モーガン(tp)、カーティス・フラー(tb)、ケニー・ドリュー(p)、ポール・チェンバース(b)、アート・ブレイキー(ds)。
- 代表曲:「Blue Train」「Moment’s Notice」「Lazy Bird」
- 聴きどころ:コルトレーンの緻密な旋律構築と、モーガンのエネルギッシュなトランペットソロの対比に注目し、ハードバップの推進力を感じ取れます。
4. Moanin’ – Art Blakey & The Jazz Messengers(1958年10月30日録音、同年リリース)
ハードバップの代表作として不動の評価を得る一枚で、ソウルフルなグルーヴが圧巻です。
- 録音日・場所:1958年10月30日、ヴァン・ゲルダー・スタジオ(ニュージャージー州)。
- 参加メンバー:アート・ブレイキー(ds)、リー・モーガン(tp)、ボビー・ティモンズ(p)、ジャッキー・マクリーン(as)、ベン・タッカー(b)。
- 代表曲:「Moanin’」「Are You Real?」「Along Came Betty」
- 聴きどころ:ボビー・ティモンズ作のタイトル曲のテーマとコール&レスポンス構造、ブレイキーのダイナミックなドラミングに注目しましょう。
5. Jazz Impressions of Japan – The Dave Brubeck Quartet(1964年6月16–17日録音、同年8月10日リリース)
春の日本ツアーから着想を得たコンセプトアルバムで、東洋的な旋律をクールジャズに投影しています。
- 録音日・場所:1964年6月16–17日、CBS 30th Street Studio(NYC)。
- 参加メンバー:デイヴ・ブルーベック(p)、ポール・デスモンド(as)、ユージン・ライト(b)、ジョー・モレロ(ds)。
- 代表曲:「Tokyo Traffic」「Fujiyama」「Koto Song」
- 聴きどころ:邦楽のスケール感を取り入れた「Koto Song」や、都市音のような「Tokyo Traffic」で、和のエッセンスとクールジャズの対比を楽しめます。
6. A Love Supreme – John Coltrane(1964年12月9日録音、1965年リリース)
コルトレーンの霊的探求を表現した組曲形式のスピリチュアルジャズの傑作です。
- 録音日・場所:1964年12月9日、ヴァン・ゲルダー・スタジオ(エングルウッドクリフス)。
- 参加メンバー:ジョン・コルトレーン(ts)、マッコイ・タイナー(p)、ジミー・ギャリソン(b)、エルヴィン・ジョーンズ(ds)。
- 構成:四部構成の組曲「Acknowledgement」「Resolution」「Pursuance」「Psalm」
- 聴きどころ:開幕パートでのコルトレーンのチャント(“a love supreme”)と、マッコイ・タイナーとの対話的演奏から、音楽を通じた祈りや感謝の表現を感じ取れます。
まとめ
以上の6枚は、モダンジャズのエッセンスを短時間で効率的に学べる名盤揃いです。各作品を順に聴き進めることで、モード奏法からハードバップ、クール、コンセプトアルバム、スピリチュアルジャズまで、ジャズの幅広い表現を体系的に体験できます。まずはお気に入りの一枚から取り組み、徐々に深掘りしてみてください。新たな発見と感動が待っています。
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