レコード再生時の音程ずれ完全ガイド:原因究明から音質回復テクニックまで
レコード再生時の音程ずれは、主にワウ・フラッターやベルトドライブの経年劣化、レコード盤の偏心・ウォープ、トーンアームのセッティング不良、電源ノイズや振動などの要因が複合的に絡んで発生します。人間の耳は約0.2%程度の周波数差を識別できるため、ごく小さな回転速度の変動でもピッチ変動として感じられます。
本コラムでは、これらの要因を詳細に解説し、ストロボディスクによる速度測定、ベルト交換、カートリッジセッティング、レコードフラットナー、デジタル補正プラグイン、プロによるオーバーホールといった対策を順序立てて紹介します。
音程ずれの主な原因
ワウ・フラッター
ワウはゆっくりしたピッチ変動、フラッターは速い揺れを指し、回転機構のムラや盤面の問題で生じます。特にカートリッジへの負荷変動やモーター制御回路の精度不足が、再生音の揺れとなって可聴化されることがあります。
ベルトドライブ機構の劣化
ベルトドライブ式ターンテーブルでは、ベルトの伸びや硬化によってスリップが発生し、回転速度が不安定になることが多いです。
さらに、プーリーに付着したホコリや摩耗粉もフラッターを悪化させる要因となります。
セッティング不良
針圧やアジマス角度、VTA(垂直トラッキング角)がメーカー推奨値から外れていると、スタイラスのグリップ力が揺れ、ピッチ変動として現れます。
レコード盤の偏心・変形
センターホールの偏芯プレスは、溝が真円上を回転しないため、内周部で顕著にピッチ揺れが発生します。また、熱や湿度によるウォープは、スタイラスのトラッキング安定性を損ない、回転速度の微小な変動をもたらします。
環境・機器要因
電源ノイズや外部振動はモーターに微振動を与え、ワウ・フラッターの発生を誘発します。特に設置台の共振や床振動が問題となるケースも少なくありません。
音程ずれを解消する対策
1. 回転速度の確認と調整
ストロボスコープディスクやストロボライトで回転速度を測定し、33⅓rpm/45rpmが±0.1%以内にあるか確認します。速度がずれている場合は、ターンテーブル付属の調整ネジや電子ピッチコントロールで微調整を行います。
2. ベルト交換・メンテナンス
ベルトの推奨交換周期(5~10年)を超えた場合は新しいベルトと交換し、適切なテンションを維持します。プーリーやプラッター側のベルト溝をイソプロパノールなどで清掃し、摩耗粉や汚れを除去します。
3. セッティングの見直し
カートリッジの針圧、アジマス角度、VTAを再度チェックし、水平出しも含めてメーカー推奨値に合わせます。専用プロトラクターでアジマスを精密に調整することが、ピッチと音質の安定に直結します。
4. 偏心盤・ウォープ盤への対応
偏心が原因の場合は、センタープレイヤー上で盤の位置をずらしながら最も偏心の少ない位置を探して再生します。深刻なウォープには、Pro-Ject「Flatten It」やAFI「FLAT.DUO」、Furutech「DF-2」といったレコードフラットナーを用い、加熱・冷却によって平坦化します。
5. 電源・振動対策
高品質な電源レギュレーターやアイソレーションインシュレーターを導入し、電源の安定化と振動の低減を図ります。これによりモーター回転の微振動が抑えられ、ワウ・フラッターの発生を最小化できます。
6. デジタル補正オプション
iZotope RXのWow & Flutterモジュールを使用すれば、長いワウから速いフラッターまで自動検出・補正が可能です。
7. プロによるオーバーホール
内部ベアリングやモーター、駆動系の総合点検・潤滑剤交換を専門業者に依頼し、回転精度を根本から再構築します。
機械的要因から盤面の物理的問題、環境要因まで、多岐にわたる原因を特定し、段階的に対策を講じることで、正確なピッチと安定した音質を回復できます。ストロボ計測で速度を合わせ、ベルト交換やセッティング調整、レコードフラットナーやデジタル補正を活用し、最終的にプロのオーバーホールで機構を最適化しましょう。
エバープレイの中古レコード通販ショップ
エバープレイでは中古レコードのオンライン販売を行っておりますので是非一度ご覧ください。
https://everplay.base.shop/
また、レコードの宅配買取も行っております。
ダンボールにレコードを詰めて宅配業者を待つだけで簡単にレコードが売れちゃいます。
是非ご利用ください。
https://everplay.jp/delivery