Flora Purim入門ガイド:名盤5選と聴きどころ—『Light as a Feather』『Butterfly Dreams』『Open Your Eyes You Can Fly』を深掘り
はじめに — Flora Purimとは
Flora Purim(フローラ・プリム)はブラジル出身のジャズ/フュージョン歌手。ボサノヴァやMPBの柔らかい感性と、ジャズ/フュージョンの即興性を融合させた独自の歌唱で1970年代以降、国際的に高く評価されました。夫である打楽器奏者のAirto Moreira(アイアルト・モレイラ)らと共にシーンを牽引し、Chick Corea率いるReturn to Foreverなど多くの重要プロジェクトにも参加しています。
聴きどころ共通ポイント
- ブラジル音楽のリズム感(サンバ/バイーア感)が基盤にありつつ、ジャズ的なスケール感やモーダルな即興性を併せ持つ。
- 高域の伸びと独特のビブラート、そしてときにスキャットを織り交ぜる表現力。言葉の意味よりも「声の色」と「フレージング」を前面に出す場面が多い。
- 夫アイアルトやトップクラスのフュージョン奏者との相互作用で、歌がバンドの一楽器のように扱われるアレンジが特徴。
おすすめレコード(代表盤を深掘り)
1. Return to Forever — Light as a Feather (1972)
完全にFloraのソロ作ではありませんが、彼女の名前を世界に知らしめた重要作。Chick Corea率いるReturn to Foreverの代表作で、Floraは数曲にヴォーカル参加しています。
- 聴くべき曲:500 Miles High(Floraのヴォーカルが鮮烈)
- なぜ聴くべきか:このアルバムでFloraの声がフュージョン・コンテクストでどのように機能するかがよく分かります。バンド・アンサンブルの中での“声の位置づけ”や、ブラジル音楽とモーダル・ジャズの化学反応を体感できます。
- ポイント:ヴォーカルがソロ楽器のように扱われる箇所、リズム隊と声の掛け合いを注意して聴いてください。
2. Butterfly Dreams (1973)
Floraのソロ・キャリアのターニングポイントとも言える一枚。ブラジル音楽の抒情性とジャズ/フュージョンの洗練が高い次元で融合しています。
- 聴くべき曲:アルバムの冒頭〜中盤にかけてのトラック群(バラードからアップ・テンポまで変化が豊か)
- なぜ聴くべきか:Floraの歌唱の幅(柔らかい口端の処理、ダイナミクスの使い分け、スキャットのセンス)がまとまって聴ける名盤。プロダクションも当時のアメリカのジャズ・フュージョンの雰囲気をよく残しています。
- ポイント:歌詞の言語(英語・ポルトガル語)や発音の使い分け、そしてパーカッションとの密なグルーヴに注目すると新しい発見があります。
3. Open Your Eyes You Can Fly (1976)
タイトル曲はMilton Nascimento/Chick Corea系の楽曲解釈を含むもので、Floraのブラジリアン・ルーツとフュージョン的感性がより自由に表現された作品です。
- 聴くべき曲:タイトル曲を含む数曲(バラードとファンキーなトラックのコントラストが魅力)
- なぜ聴くべきか:よりコンテンポラリーなサウンドプロダクションと、歌い手としての冒険心が感じられる。歌とリズムの“対話”がさらに推し進められています。
- ポイント:アレンジの隙間での声のニュアンス、インストとボーカルのバランス感を意識して聴くと面白いです。
4. Stories to Tell(1974)
(70年代中盤のソロ作のひとつとして)Floraが持つ物語性を前面に出した作品。リラックスしたブラジル色とジャズの洗練が並存します。
- 聴くべき曲:アルバム全体の流れを通して聴くと、歌唱による「語り」の巧みさがわかります。
- なぜ聴くべきか:ソロ作品としての統一感、パーソナルな表現が強く出ているため、Floraの“声そのもの”をより深く味わえる一枚です。
5. 後年の活動・ライブ盤(断続的に発表された作品群)
90年代以降もFloraは録音・演奏を続けており、ライブ録音やコラボレーション作品で別の側面を見せます。生のアンサンブルで聴くと、声の即興性や観客との化学反応が活きますので、ライブ盤や共演盤も合わせて聴くことをおすすめします。
各アルバムの楽しみ方(聴きどころの視点)
- イントロ〜テーマ提示の段階で「サウンドの地平線」(どの楽器と声が主役か)を確認する。
- Floraがスキャットやソロをとる箇所では、楽器ソロと同様に「モチーフの展開」を追う。声の反復や変形は即興の設計図になっていることが多い。
- ブラジル音楽由来のリズム(シンコペーション、クラーベに近い感覚)とジャズ的なハーモニーのずれを聴き分けると、楽曲の“引力”が見えてくる。
プレスやエディションの選び方(簡単に)
オリジナル・プレス(1970年代の米盤や欧州盤)は当時の音色や空気感を色濃く残しており、雰囲気重視で楽しみたい場合に向きます。一方でリマスター再発は音のクリアさや低域の安定感が増すため、現代的に聴きたい場合におすすめです。好みで選んでください(特定の盤の品質についてはタイトルごとに個体差があるので購入前に音源を確認することを推奨します)。
最後に — どこから聴くべきか
初めてFloraを聴くなら、Return to Foreverの「Light as a Feather」で彼女の声がフュージョン文脈でどう機能するかを体験し、その後ソロ作(特に「Butterfly Dreams」「Open Your Eyes You Can Fly」)で歌の個性と表現の幅を掘り下げる流れをおすすめします。
参考文献
- Flora Purim — Wikipedia
- Light as a Feather — Wikipedia (Return to Forever)
- Flora Purim — AllMusic
- Flora Purim — Discogs
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