Teddy Rileyとニュー・ジャック・スウィング必聴6作:名盤の聴きどころと制作解説
Teddy Riley — ニュー・ジャック・スウィングの立役者を知る
Teddy Riley(テディ・ライリー)は、1980年代後半から1990年代にかけて「ニュー・ジャック・スウィング(New Jack Swing)」を確立したプロデューサー/アーティストです。R&Bのメロディとヒップホップ的なビート、シンセの鋭いステップとコーラス処理を融合させたサウンドは、その後のポップ/R&Bの基盤となりました。本コラムでは、Teddy Riley に触れるうえで外せないレコードをピックアップし、それぞれの聴きどころやTeddyならではのプロダクション特徴を深掘りして紹介します。
おすすめレコード(アルバム/シングル)
Guy — 「Guy」 (1988)
Guy は Teddy Riley が中心となって結成されたグループで、デビュー作「Guy」はニュー・ジャック・スウィングを代表する作品です。硬質なドラムマシン、スウィング感のあるグルーヴ、そして甘く重ねられたリード/バックボーカルのハーモニーが明確に聴き取れます。代表曲「Groove Me」「Teddy's Jam」などで、Teddy の初期の音作りが凝縮されています。
Guy — 「The Future」 (1990)
デビュー作の延長線上にあるが、よりダイナミックで実験的な要素が増した2nd。サウンドデザインやシンセ使い、より複雑なリズムパターンが導入され、Teddy のプロダクション技術の進化を感じられます。R&B的なソウルフルさとクラブ志向のビートのバランスが絶妙です。
Michael Jackson — 「Dangerous」 (1991)
Teddy Riley は Michael Jackson の「Dangerous」制作に深く関わり、アルバムのサウンドに大きな影響を与えました。特にニュー・ジャック・スウィング的な要素をポップに落とし込んだ楽曲群は、当時のメインストリーム・ポップの方向性を変えました。アルバム内のいくつかの重要トラックで Teddy のプロダクション/アレンジが光ります(例:スウィング感の強いリズムセクションや緻密なサンプル&シンセ配置)。
Blackstreet — 「Blackstreet」 (1994)
Teddy Riley が結成に関与したBlackstreetの1stアルバム。R&Bとヒップホップのクロスオーバーをさらに洗練させ、ポップ・シーンでも高い評価を得ました。Teddy のコーラスワークとリズム処理がクリーンに反映されており、90年代中盤のR&Bサウンドを知るうえで必聴です。
Blackstreet — 「Another Level」 (1996)
商業的に最大の成功を収めたアルバムのひとつ。シングル「No Diggity」はブラックストリートを代表するヒットで、Teddy のプロデュース感覚(キャッチーなフック、グルーヴを活かすアレンジ、ゲストとの相性設計)が端的に表れています。R&Bのメロウさとヒップホップ由来のビートの調和が特徴です。
Wreckx-n-Effect — 「Hard or Smooth」 (1992)
このアルバムに収録された「Rump Shaker」は、90年代初頭のダンスフロアを席巻したトラック。Teddy Riley のプロデュースにより、トラディショナルなR&Bの要素にダンスビートとサンプリングのセンスが加わり、大衆的なヒットとなりました。プロダクションの“切れ”とジェネラルなグルーヴ感を学ぶには最適です。
各作品の「聴きどころ」と制作面での特徴
リズム・プログラミングの「スウィング」
Teddy のトラックは、単純にクオンタイズされた4つ打ちではなく、スウィング感を与えるための微妙なタイミングずらし(オフグリッドのグルーヴ)が施されています。これによりビートが“跳ねる”感触を持ち、R&Bの滑らかさとヒップホップの躍動感を同時に実現します。
シンセとキーボードのレイヤー化
アルペジオ的なシンセの刻み、短いシンセ・スタブ(切れ味のある音)、パッドでの空間作りが組み合わさります。これらを重ねることで、少ないパート数でも厚みと動きのあるサウンドが生まれます。Teddy のアレンジは「隙間」も意識したデザインが多く、ボーカルを際立たせる工夫が見られます。
ボーカル・ハーモニーとダブルトラック
リードの歌をダブル(同フレーズを重ねる)する手法や、複数のコーラスを階層的に配置することで、厚みと“掛け合い”を演出します。黒人系R&Bの伝統的なコーラス感覚を、モダンなビートと合成している点が特徴です。
サンプリングと生演奏のブレンド
Teddy はサンプリング/プログラミングを多用しますが、生のギターやベースラインをうまく組み合わせ、機械的になりすぎない温度感を保持します。これがニュー・ジャック・スウィングの“人間味”につながっています。
曲構成のポップセンス
複雑な音作りの中でも、サビのフックやブリッジの盛り上げ方は非常にポップ。クラブでもラジオでも効く構造を念頭に置いた曲作りで、多くのヒットを生みました。
選び方・コレクションの観点(音楽的観点に限定)
「初期のTeddyを知りたい」なら Guy のデビュー作。原点となるサウンドが最も露骨に出ています。
「プロデューサーとしての幅を見たい」なら Michael Jackson の「Dangerous」や Blackstreet の作品。大物アーティストとのコラボや、より洗練されたポップ性が確認できます。
「ダンス/クラブ寄りのヒットを体感したい」なら Wreckx-n-Effect の「Rump Shaker」を含むシングル群が分かりやすいです。
補足(Teddy Riley の影響とその後)
Teddy Riley のサウンドは、90年代以降のR&B・ポップ・ヒップホップのプロダクションに多大な影響を与えました。現代のプロデューサーたちがリズムの「スウィング」感、分厚いコーラス処理、シンセの刻み方を参照する源泉のひとつであり、その遺産は今でも楽曲制作の教科書的存在です。
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