ラムジー・ルイスの名盤をアナログLPで徹底解説|トリオ初期から70年代クロスオーバーまで聴き方とおすすめ曲
はじめに — Ramsey Lewisとは
Ramsey Lewis(ラムジー・ルイス、1935–2022)はシカゴ出身のジャズ・ピアニスト/バンドリーダーで、ジャズの枠を越えてソウルやポップ、ファンクと結びついた“クロスオーバー”なサウンドで広い層に支持されました。トリオでのシンプルかつグルーヴィーな演奏から、1970年代以降のエレクトリック/フュージョン寄りの作品までキャリアは多彩。ここではレコード(アナログ盤)で聴くに値する代表作と、その音楽的魅力を深堀りして紹介します。
1. The In Crowd(1965) — ラムジー・ルイス・トリオ(Argo/Chess)
概要:ライヴ録音の代表作で、タイトル曲「The 'In' Crowd」のヒットで一躍ブレイクした一枚。トリオはラムジー(ピアノ)、Eldee Young(ベース)、Redd Holt(ドラム)という黄金ラインナップです。
- 音の魅力:手数を詰め込みすぎず、シンプルなフレーズと抜群のグルーヴで会場の一体感をそのまま伝えるタイプのライヴ盤。
- 代表曲:「The 'In' Crowd」(スカッとしたリズムとキャッチーなメロディ)、「My Ship」など。
- 聴きどころ:ジャズの即興性とポップさのバランス、観客の反応が入ったライヴ・エネルギー。
- コレクター視点:オリジナルのArgo/Chess盤は人気があります。初期トリオ期の代表作として価値が高いです。
2. Wade in the Water(1966)
概要:ゴスペルやリズム&ブルースの影響をより強く打ち出した作品で、同名のカバー曲がヒット。トリオの演奏が持つ“スピリチュアルでソウルフル”な面が前面に出たアルバムです。
- 音の魅力:ブルースやゴスペル的なリフの反復と、そこから生まれるスウィング感。トリオの緊密なアンサンブルが光ります。
- 代表曲:「Wade in the Water」(力強いビートと覚えやすいフレーズ)など。
- 聴きどころ:ジャズという枠組みを超えて黒人音楽のルーツに立ち返る表現性。
- コレクター視点:60年代中盤のArgo期は単なるジャズ盤以上のポップシーンでの注目度が高く、当時のオリジナルは需要があります。
3. Sun Goddess(1974) — Columbia期の名盤
概要:1970年代のクロスオーバー/ジャズ・ファンクを代表する一枚。プロデュースやゲスト参加にEarth, Wind & Fireの影響が見え、ファンク、ソウル、R&Bとジャズが融合したサウンドです。
- 音の魅力:エレクトリック・キーボードやリズム重視のアレンジで、グルーヴ感が強い。フュージョン的な洗練とポップ性を併せ持つ。
- 代表曲:「Sun Goddess」など、ほぼインスト中心でありながらメロディの強さが印象的。
- 聴きどころ:アコースティック・ピアノ中心の初期作とは趣が違う、70年代的プロダクションとダンサブルなグルーヴ。
- コレクター視点:Columbia期の人気作で、オリジナルLPはジャケットやカラーヴァリエーションで人気。音圧・ミックスが良いプレスを選ぶと満足度が高いです。
4. Salongo(1976)
概要:ラテン、アフロ、フュージョン的要素を取り入れた中期以降の傑作。リズムの多彩さと洗練されたアンサンブルが特徴で、聴きどころの多いインスト中心のアルバムです。
- 音の魅力:パーカッシブなリズムと複雑なアレンジが交差し、都会的で知的なダンス感覚も兼ね備えます。
- 代表曲:アルバム全体がコンセプト的にまとまっているため、通しで聴くのがおすすめ。
- 聴きどころ:70年代中盤のフュージョン/クロスオーバー志向が成熟した時期の表現。
- コレクター視点:当時のColumbiaプレスの中~後期作品のひとつとして人気。再発盤も多いためエディションを確認して好みの音を選ぶと良いです。
5. trio期の初期作(おすすめの入門盤)
概要:ラムジーがまず評価を受けたトリオ中心の初期録音群。ここで示された「空間の取り方」「メロディ作り」「バンド内の対話」が以後のスタイルを形成しました。
- 音の魅力:アコースティック・ピアノを軸にしたクリーンなカルテット/トリオ・ジャズ。シンプルな伴奏でメロディが際立ちます。
- 聴きどころ:若き日の演奏には発展途上の冒険心と基礎の強さが同居しており、後年のヒット曲群の源流を感じられます。
- コレクター視点:初期プレスやアナログ独特の音像が好きなら探索の価値あり。トリオ名義でまとめられた編集盤も見つけやすいです。
聴き方の提案・各アルバムの向き不向き
- 「The In Crowd」「Wade in the Water」:ジャズ初心者〜ライトリスナーに刺さる、メロディとグルーヴ重視の作品。パーティー的な場面や最初にラムジーを掴むには最適。
- 「Sun Goddess」「Salongo」:70年代のファンク/フュージョン寄りのサウンドが好きな方、ダンサブルなインストを好む方におすすめ。
- 初期トリオ録音:伝統的なジャズ・トリオの魅力を求めるリスナーやピアノ・トリオの聴き比べをしたい方に。
おすすめの聴き進め方(プレイリスト例)
- 入門:The In Crowd → Wade in the Water(トリオ黄金期を一気に体感)
- 深掘り:Sun Goddess → Salongo(70年代のクロスオーバー/フュージョン路線を堪能)
- 網羅:初期トリオ集 → 60sヒット → 70sクロスオーバー(時代ごとの変化を追う)
なぜアナログで聴く価値があるか(音楽的理由)
ラムジー・ルイスの魅力は「生々しいタッチ感」と「会場の空気やリズムの余白」にあります。特にライヴ盤やトリオ演奏では、アナログ盤のレンジ感・位相感がピアノのニュアンスやドラムのスナップ、観客の反応などを豊かに伝えてくれるため、作品ごとの空気感を直に感じ取りやすい点が魅力です。
購入・収集のヒント(注意点は簡潔に)
- ラベル/レーベルを確認:60年代はArgo/Chess、70年代はColumbiaが中心。初期盤・オリジナルと再発で音作りが異なる場合があります。
- エディションの確認:ジャケット違い、リマスター有無で価格差が出ることが多いので、試聴や盤面の情報をチェックしてください。
- コンピレーションとの違い:ヒット曲だけ集めた編集盤も多く出ていますが、アルバム全体の流れで聴くと各作品の魅力がより伝わります。
まとめ
Ramsey Lewisは「メロディセンス」と「グルーヴ感」を併せ持つピアニストで、60年代トリオ期のシンプルな魅力から、70年代のファンク/フュージョン期まで幅広いレパートリーがあります。まずは「The In Crowd」「Wade in the Water」「Sun Goddess」を押さえ、気に入れば初期トリオ録音や「Salongo」などへ掘り下げると、彼の音楽的旅路がよく見えてきます。
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