Apollonia 6の概要と成り立ち:プリンスが生んだ80年代ミネアポリス・サウンドの象徴
Apollonia 6 — 概要と成り立ち
Apollonia 6(アポロニア・シックス)は、1980年代中盤のポップ/シンセ・ファンクを代表する女性ボーカル・トリオで、プリンス(Prince)を中心とした音楽的プロデュースのもとに作られました。元々はヴァニティ・6(Vanity 6)というグループが存在しましたが、ヴァニティ(Vanity)の脱退を受け、映画『パープル・レイン』(Purple Rain)の制作過程で主役の相手役に選ばれたApollonia Kotero(アポロニア・コテロ)が新たに加入し、Apollonia 6として活動を始めました。
結成の経緯とシーン背景
1980年代初頭、ミネアポリスを拠点に発展した「ミネアポリス・サウンド」は、ファンク、ロック、シンセ・ポップを融合した革新的な音楽性で注目を集めていました。プリンスはこの流れの中心人物であり、自らのプロデュースで複数の関連プロジェクト(バックアップ・シンガーやサイド・プロジェクト)を生み出していきます。Apollonia 6はその一環として、映画『パープル・レイン』の映像美とセクシャルなステージ・イメージを伴ったパッケージとして誕生しました。
メンバー紹介
- Apollonia Kotero(アポロニア・コテロ) — グループのリード。女優としても活動し、『パープル・レイン』ではヒロイン役で出演。グループのヴィジュアル面、映画での露出により広く知られることになりました。
- Brenda Bennett(ブレンダ・ベネット) — 元々ヴァニティ・6にも関わっていたメンバー。ディープで印象的なボーカルを持ち、グループの色を作る一因となりました。
- Susan Moonsie(スーザン・ムーニー) — こちらもヴァニティ・6の出身で、Apollonia 6でもコーラスやキャラクター性を担いました。
音楽性とサウンドの特徴
Apollonia 6のサウンドは、いわゆる「ミネアポリス・サウンド」をベースにしたシンセ・ファンク/ポップです。特徴は以下の通りです。
- シンセサイザーとファンク・ギターを軸にしたリズム感(タイトでダンサブル)。
- セクシャルで演劇的な歌詞とヴィジュアル表現 — 当時のポップ文化におけるアピール力の強さ。
- プリンスならではのプロデュース手法:ミニマルでありつつもグルーヴを強調するアレンジ、ボーカルの層を重ねた効果的なコーラスワーク。
代表曲・名盤(要点)
Apollonia 6は公式なフルアルバムを1枚リリースしています。代表曲と関連作を挙げます。
- アルバム「Apollonia 6」(1984年) — グループ唯一のスタジオ・アルバム。プリンスが作曲/プロデュースに深く関わり、当時のシーンを反映した音作りが詰まっています。
- シングル「Sex Shooter」 — グループの代表曲。映画『パープル・レイン』やプロモーションにより広く知られるようになりました。ダンサブルで挑発的な楽曲は、Apollonia 6のイメージを代表するトラックです。
- 関連トラック:「Take Me With U」 — これはプリンスとApollonia(アポロニア・コテロ)が共演した曲で、『パープル・レイン』サウンドトラックでも大きな注目を集めました(グループ作ではありませんが、Apolloniaの知名度向上に寄与)。
ヴィジュアルとステージ・パフォーマンス
Apollonia 6のヴィジュアルは、80年代のセクシャルでエッジの効いた美学を体現していました。衣装はラウンジウェアやランジェリー風のステージ衣装を用いることが多く、映画やプロモーション映像での演出と相まって、音楽以上に視覚的なインパクトを与えました。ステージでは振り付けやポージングで観客を惹きつける表現が重視され、シングルのプロモーション映像や映画出演がその注目度を高めました。
当時の評価とその後のレガシー
当時は「プリンスの関連プロジェクト」の一つとして商業的/プロモーション的な位置づけが強かったものの、音楽的にはミニマルかつ洗練されたミネアポリス・サウンドを継承しており、現在でも80年代シンセ・ファンクの一例として評価されています。メンバー個々はその後も芸能活動や音楽活動を続け、特にApollonia Koteroは女優・モデル業で知られ続けています。
Apollonia 6 の魅力を深掘りする
Apollonia 6の魅力は単純なヒット曲だけでは語り尽くせません。いくつかのポイントで深掘りします。
- 演出としての完成度 — 音と映像、キャラクター設計が一体となったプロジェクトであり、映画『パープル・レイン』という文脈の中で映える「ストーリーテリング性」が強い。
- プリンスの創造力の投影 — グループはプリンスの音楽的ビジョンの一部であり、彼のアレンジやプロデュース手法を女性ボーカル主体のフォーマットに落とし込んでいる点が興味深い。プリンスの影響下での抑制されたエロティシズムと洗練されたグルーヴは、当時の商業ポップとは一線を画しています。
- ビジュアル・カルチャーとしての強さ — 1980年代のMTV時代において、見た目のインパクトは楽曲の拡散力を左右しました。Apollonia 6はこの点で非常に戦略的で、映像メディアでの訴求力が高かった。
- コレクターズ的価値と文化的意義 — 限られたリリース量、映画との結びつき、そしてプリンス関連作品としての位置づけから、音楽史的にもコレクターや研究者の関心を集め続けています。
評価のポイントと聞きどころ
初めて聴く人へのガイドとしては、まずは「Sex Shooter」や『パープル・レイン』サウンドトラックでのApollonia参加曲を聴き、当時の映像(プロモーション・ビデオや映画の該当シーン)と合わせて体験することをおすすめします。音楽単体としてはシンセの質感、リズム隊のスナップ感、そしてコーラスの重ね方に注目すると、当時のサウンドプロダクションの妙が分かります。
現在の意義
近年のリバイバル・ブームや80年代リバイバルの文脈の中で、Apollonia 6はその時代性とプリンス関連プロジェクトとしての希少性から再評価されることが多くなりました。音楽史的には「ポップスにおける演出と商業戦略の成功例」として、またLGBTQ+/セクシャリティ表現の歴史の一側面としても興味深い位置を占めています。
まとめ — Apollonia 6 をどう楽しむか
- 代表曲と映画のシーンをセットで体験することで、音楽と映像が相互に強め合う魅力を味わえます。
- プリンスのサウンドに興味がある人は、関連作として必聴。ミネアポリス・サウンドの潮流を女性ボーカル・トリオで表現したユニークさが光ります。
- ヴィジュアル・カルチャーや80年代ポップカルチャーの研究対象としても面白く、音楽史的にも再考の価値があるプロジェクトです。
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参考文献
- Apollonia 6 - Wikipedia (English)
- Apollonia 6 | AllMusic
- Apollonia 6 | Discogs
- Apollonia 6 | Prince Vault


