レコードで聴くレニー・クラヴィッツ:初期から近作までのおすすめアルバムと選び方ガイド
序文 — レニー・クラヴィッツをレコードで聴く意義
レニー・クラヴィッツはロック、ファンク、ソウル、サイケデリックを横断する作家/演奏家/プロデューサーです。彼の作品は「演奏の生々しさ」「アナログ的な温度感」が魅力で、レコードの質感と非常に相性がいい。ここでは初期から近作まで、レコードで持っておきたいおすすめアルバムをピックアップし、各作の音楽的特徴・聴きどころ・レコードで選ぶ際のポイントを深掘りして解説します。
Let Love Rule(1989) — デビュー作のエッセンス
特徴:ソウル/レトロR&Bとロックを混ぜた出発点。プリンスやスライ&ザ・ファミリー・ストーンの影響が色濃く、アコースティックな暖かさと泥臭いロック感が同居しています。クラヴィッツがほぼ自分で演奏・プロデュースしたDIY精神が伝わる一枚。
- 必聴トラック:Let Love Rule、I Build This Garden、Mr. Cab Driver
- 聴きどころ:アナログ寄りのヴォーカル・トーンと太いベース。初期の手作り感がレコードに合う。
- レコード選びのコツ:オリジナル・プレスは雰囲気重視。音像のクリアさを求めるなら近年のリマスター/180g再発を検討。
Mama Said(1991) — アコースティックで内省的な展開
特徴:デビュー作の延長線上にありつつ、よりアコースティックでメロウな曲が多い。個人的な歌詞と歌心が前面に出た作品で、ギターの質感やストリングスの温度感が魅力。
- 必聴トラック:It Ain't Over 'Til It's Over、Always on the Run、Fields of Joy
- 聴きどころ:ミドルテンポのグルーヴと生々しいアコースティック・ギター。ヴォーカルの倍音やハーモニーがレコードでよく映える。
- レコード選びのコツ:静かなパッセージやハーモニーの拡がりを楽しむなら良盤のプレス(低ノイズ)を優先。
Are You Gonna Go My Way(1993) — ロックの到達点
特徴:レニーの代表作のひとつ。タイトル曲をはじめ、ガッツのあるレトロなハードロック/ファンクを展開。ギター・サウンドの攻撃力、エネルギー感が最高潮に達するアルバムです。
- 必聴トラック:Are You Gonna Go My Way、Believe、Is There Any Love in Your Heart
- 聴きどころ:ギター・トーンの豊かさ(中低域の充実)、ドラムのアタック感。大音量でもつぶれないダイナミクスがレコードで映える。
- レコード選びのコツ:ダイナミクス感を楽しむなら重量盤の良好なマスターからのカッティングを選ぶと良い。オリジナル・プレスは市場でも人気。
Circus(1995)と5(1998) — 実験性とポップ性の両極
特徴:Circusはサイケデリック/エクスペリメンタルな要素が強く、5はポップ/ダンサブルな要素を取り入れた作品(「Fly Away」などのヒット曲を収録)。制作スタイルや音作りが変化していく過程が伺えます。
- 必聴トラック(Circus):The Resurrection、Rock and Roll Is Dead
- 必聴トラック(5):Fly Away、American Woman(カバー)、I Belong to You
- 聴きどころ:Circusは音の実験や空間処理、5はリズムのタイトさとシンセ/ループの使い方。作風の違いを並べて聴くと面白い。
- レコード選びのコツ:ポップ寄りの5はシングルカットされた盤やプロモ盤も人気。Circusはアルバム全体の空間感を味わうためにLPで通しで聴くのがおすすめ。
Baptism(2004)〜Black and White America(2011)〜Strut(2014) — 成熟と多様性
特徴:Baptismはロックとソウルの融合を再提示し、Black and White Americaは政治的・社会的テーマと個人的な表現が融合した野心作。Strutは70sファンク回帰の色合いが強く、ホーンやリズム隊が充実しています。
- 必聴トラック(Baptism):Where Are We Runnin'、Storm
- 必聴トラック(Black and White America):Stand、Rock Star City Lights
- 必聴トラック(Strut):New York City、Sex
- 聴きどころ:アレンジの多彩さ、編成の豪華さ(ストリングス、ホーン、コーラス)。音像が厚くなっており、良いプレスは各パートの分離感を高める。
- レコード選びのコツ:楽器や編成の重なりをクリアに再生するため、ノイズの少ないカッティングと盤質の良い再発を狙うと満足感が高い。
Raise Vibration(2018)以降の作品 — 現在形のメッセージ
特徴:成熟したソングライティングとメッセージ性。音作りも現代的な要素を取り入れつつ、クラヴィッツらしいアナログ感を保っています。近年作は録音品質が高く、LPでも細部がよく出ます。
- 必聴トラック:モダンなロックとスピリチュアルな歌詞が交差する曲が中心。
- 聴きどころ:制作技術の向上により、低域の締まりや高域の情報量がバランス良く出る。
- レコード選びのコツ:最新作はオフィシャルな180gプレスや限定カラー盤など再発が出ることが多い。パッケージ情報(マスターやリマスター表記)を確認すること。
初めての1枚を選ぶなら
入門用なら「Are You Gonna Go My Way」か「5」をおすすめします。前者はロックのダイナミズムとレニーらしいギター・パワーが直球で伝わり、後者はメロディとプロダクションのバランスが良く、代表曲が多いので取っつきやすいです。
コレクター向け:盤の選び方/探し方のポイント
- オリジナル・プレス vs 再発:オリジナル・プレスは当時の空気感に魅力があるが、盤質やノイズの問題がある場合も。音質重視なら信頼できるリマスター/180g再発を検討。
- 日本盤の魅力:日本盤はマスターや製造が良好なことが多く、帯(obi)や解説が付くためコレクション価値が高い。
- プレス情報の確認:Discogsなどでマトリクス番号やリイシューの情報をチェックすると、どのプレスが良好か見分けやすい。
- 状態評価:レコードはA〜Dの状態評価が流通しているので、音飛びやノイズが気になる場合はVG+以上を目安に。
鑑賞のための聴き方(おすすめの順序・シチュエーション)
- アルバム通しで聴く:レニーのアルバムは曲順の流れで表情が変わることが多い。LPでA面→B面を通しで聴くと楽曲間の繋がりやテーマが見えやすい。
- 比較リスニング:初期作と中期以降を並べて聴くと制作手法やサウンドの変化がよくわかる。
- ヘッドルームを確保:ダイナミックな作品(Are You Gonna... 等)は再生時に音量を上げて聴くと気持ち良いが、スピーカーの許容範囲内で。
まとめ — 何を重視してレコードを選ぶか
レニー・クラヴィッツの魅力は「時代を横断する音楽性」と「演奏者自身による生々しい表現」です。コレクションの入口としては代表作(Are You Gonna Go My Way、5、Let Love Rule)を押さえつつ、盤の状態やプレスの由来を確認して選ぶと、レコードならではの音楽体験がより深まります。
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参考文献
- Lenny Kravitz 公式サイト
- AllMusic - Lenny Kravitz
- Wikipedia - Lenny Kravitz
- Discogs - Lenny Kravitz(プレス/盤情報の参照に便利)
- Rolling Stone - Lenny Kravitz(記事・レビュー)


