Thin Lizzyの名盤を深掘りする:ヴィニール収集と聴きどころを完全ガイド
Thin Lizzy — 名盤を深掘りするコラム
Thin Lizzy はフィル・ライノット(ベース/ボーカル)を中心に1970年代に大きな存在感を放ったアイルランドのロック・バンドです。物語性のある歌詞、ツイン・ギターによるハーモニー・リフ、ブリティッシュ/アイルランドらしいメロディ感覚が組み合わさったサウンドは、多くのハードロック/ヘヴィメタル系アーティストにも影響を与えました。本コラムでは、レコード(アルバム)単位で「聴くべき」「コレクションに加えたい」作品を厳選し、それぞれの聴きどころ、歴史的背景、ヴィニールでの楽しみ方(どの版を探す価値があるかの指針)まで深掘りします。
選考基準
- 代表曲の有無と曲の完成度
- バンドの進化(初期→全盛期→終盤)を示す歴史的位置づけ
- ライヴでの定番曲やライヴ盤としての評価
- ヴィニール収集上の価値(オリジナル盤/優れたリマスターなど)
Jailbreak(1976) — 必携の出世作
おすすめポイント:Thin Lizzy を代表する大ヒット「The Boys Are Back in Town」を含む、一般層にも強く訴求したアルバム。バンドの「書く力」と「ロックンロールとしての魅力」が高い水準で結実しています。
- 代表曲:The Boys Are Back in Town、Jailbreak
- 聴きどころ:フィル・ライノットの語り口的な歌唱、ツイン・ギターのフックの強さ。ポップ性とハードロックのバランスが良い。
- レコードで注目すべき点:オリジナル・プレスは雰囲気とダイナミクスが良好。近年のリマスターや180g再発も音像が整っており、クオリティ重視なら良リイシューを検討すると良い。
Live and Dangerous(1978) — ライヴ盤の金字塔
おすすめポイント:Thin Lizzy のライヴ表現を一気に体験できる作品。エネルギー、アレンジの大胆さ、バンドの息の合い方が映える名盤で、多くの評論家も高く評価しています(ステージでの代表曲群を収録)。
- 代表的な収録曲:The Boys Are Back in Town(ライヴ)、Cowboy Song 等の名演が多数
- 聴きどころ:演奏の熱量、ステージ・アレンジでのギターの攻防。スタジオ音源と異なる即興性が魅力。
- レコードで注目すべき点:ライヴ盤特有の臨場感はプレスによって差が出やすいので、音圧と位相の整った良盤を探すのがコツ。オリジナルのレア度が高い個体もあるのでコレクター向け。
Black Rose: A Rock Legend(1979) — ギターと作曲の深化
おすすめポイント:ギタリストとしてのゲイリー・ムーアを迎えた時期の傑作で、曲構成やアレンジの幅が広がった一枚。バラエティ豊かな楽曲群とドラマ性の強い楽曲が並びます。
- 代表曲:Do Anything You Want To、Waiting for an Alibi
- 聴きどころ:スケール感のあるアレンジ、フィルの叙情性。ツイン・ギターの相互作用が深まり、楽曲に厚みが出ています。
- レコードで注目すべき点:サウンドの繊細さゆえに高品質なリマスターや日本盤の良質なマスタリングが評価されることが多いです。
Bad Reputation(1977) — 力強さとメロディの両立
おすすめポイント:ストレートなロック性とキャッチーなメロディが同居する一枚。アルバム全体のまとまりが良く、バンドとしての完成度を感じさせます。
- 代表曲:Bad Reputation、Dancing in the Moonlight (It's Caught Me in Its Spotlight)
- 聴きどころ:起伏ある曲順と演奏のタイトさ。ポップ寄りの楽曲も硬質なロックの文脈で提示される点が魅力。
- レコードで注目すべき点:1970年代後半のプレスは比較的入手しやすいが、オリジナルのジャケットや帯(国内盤)などは価値があります。
Nightlife(1974) — 「Still in Love with You」を含む情緒派
おすすめポイント:バラード「Still in Love with You」を擁し、フィルのソングライティングの繊細さと情感が前面に出たアルバム。ハードな面だけでないThin Lizzyの別面を知るのに重要です。
- 代表曲:Still in Love with You(バンドの名バラード)
- 聴きどころ:歌メロへのフォーカス、アンサンブルの余裕。深夜に聴くと刺さる曲が多い。
- レコードで注目すべき点:雰囲気重視ならオリジナルの音響が好まれるが、現代のリマスターで音のクリアさを得るのも一案。
Vagabonds of the Western World(1973) — 初期の荒々しさと原点
おすすめポイント:初期のブルージーで荒削りなエネルギーが色濃く残った作品。バンドの原点を知るための重要作で、後のツイン・ギター期への橋渡し的な側面があります。
- 代表曲:The Rocker 等(バンドのロック・アンセム的な側面を示す曲)
- 聴きどころ:直球のロック/ブルース感、初期の粗さと勢い。
- レコードで注目すべき点:初期盤の希少性と雰囲気を重視するコレクターが多いです。
Thunder and Lightning(1983) — 最終期の攻撃性
おすすめポイント:後期にジョン・サイクスを迎えて作られた最後のスタジオ作。ヘヴィで激しいギター・サウンドが際立ち、80年代のメタル寄り志向が反映されています。
- 代表曲:Cold Sweat 他
- 聴きどころ:アグレッシブなギター、現代的なプロダクション感。バンドの変化球として興味深い一枚。
- レコードで注目すべき点:80年代初頭の音作りが好きなリスナーには刺さる内容。リイシューも多く存在します。
Johnny the Fox(1976) — 「Don't Believe a Word」を含む
おすすめポイント:Jailbreak と近接する時期の作品で、シングル寄りの短めの曲とストーリー性のある楽曲が混在。名曲「Don't Believe a Word」を収録。
- 代表曲:Don't Believe a Word 他
- 聴きどころ:ヒット志向と深い作曲センスの同居。短い曲でも印象に残るメロディが多い。
コレクションの楽しみ方と聴き比べのコツ(版の選び方)
ヴィニールでのコレクションにおいては「オリジナル・プレスの雰囲気」を重視するか、「音質や利便性」を重視して良質なリマスター/再発を選ぶかで方針が分かれます。目安としては以下の通りです。
- オリジナル・プレス:当時の音場感やアナログ特有の温かみを楽しめる。ジャケットやインサートのオリジナル性もコレクション要素として魅力。
- 高品質リマスター(公式):音の解像度やダイナミクスが改善されていることが多く、再生環境が現代的であればメリットが大きい。
- デラックス/2枚組盤:ボーナストラックや未発表ライブ音源が付属する場合があり、ディープな聴き込みに向く。
聴く順のおすすめ
初めてThin Lizzyをしっかり追うなら、以下の順で聴くと変化がわかりやすく楽しめます。
- Jailbreak(スターター)→ Johnny the Fox → Bad Reputation → Black Rose → Live and Dangerous(ライヴで確信)→ 夜間系バラードが知りたいなら Nightlife → 最終期を見たいなら Thunder and Lightning → 初期のルーツを知るなら Vagabonds / デビュー作へ戻る
フィル・ライノットのソングライティングを聴く
Thin Lizzy の魅力は楽曲の語り口と人物描写にあります。ストレートなロックだけでなく、都市の風景や人間模様を切り取る歌詞が多く、歌詞世界を追いながらレコードをめくると発見が多いです。アルバムごとにテーマやトーンが変化するため、歌詞の視点も注目して聴くとより楽しめます。
まとめ
Thin Lizzy は単なる「70年代ハードロック」以上の深みがあります。代表作「Jailbreak」や「Live and Dangerous」は入門かつ必携。Black Rose や Bad Reputation は楽曲の幅とバンドの成熟を示す名盤です。ヴィニールで集める際は、音質かオリジナル性かで優先順位を決め、リマスターとオリジナルを聴き比べるとバンドの魅力がさらに広がります。
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