SXGAとは:1280×1024(5:4)規格の基本定義・歴史・利点・現代の位置づけを徹底解説
SXGAとは — 基本定義と概要
SXGA(Super Extended Graphics Array、あるいは単に「Super XGA」)は、パソコン用ディスプレイの解像度規格の一つで、標準的なピクセル数は1280×1024ピクセル、アスペクト比は5:4です。ピクセル総数は1,310,720(約131万画素)で、主に1990年代末から2000年代前半にかけて、デスクトップ用液晶ディスプレイや一部のノートPC・プロジェクタで広く採用されました。
技術仕様(代表値)
- 解像度:1280 × 1024 ピクセル
- 縦横比:5:4(幅:高さ = 5:4)
- ピクセル数:約1,310,720ピクセル
- ピクセル比:一般に正方形ピクセル(pixel aspect ratio = 1:1)
- 代表的なモニタサイズでのDPI例:17インチ(対角)で約96 DPI、19インチだと約85 DPI(概算)
歴史と経緯
VGA、SVGA、XGAと続くPC向け解像度シリーズの一つとして登場しました。XGA(1024×768)の次のステップとして、高解像度を必要とするビジネス用途やCAD、表計算などの効率向上を目的に普及しました。とくに初期の薄型LCDが17~19インチで普及した時期に、デスクトップ環境の標準解像度として広く使われました。
SXGAの利点
- 垂直解像度が1024ピクセルと高く、表示可能な行数が増えるため、文書作成や表計算、開発作業などで視認性と作業効率が向上する。
- 1280ピクセルの横幅により、多くのアプリケーションでツールパレットと作業領域の両立がしやすい。
- 当時の多くのグラフィックカードやモニタがSXGAをネイティブサポートしており、ドライバやハードウェア側の互換性が高かった。
欠点・注意点(現代観点)
- アスペクト比が5:4であるため、現在主流の16:9や16:10のワイド画面コンテンツ(動画、ゲーム等)とは形状が異なり、映像の表示やレイアウトに違和感が出ることがある。
- 現代の高解像度(フルHD以上、いわゆるハイDPI)と比較すると表示領域・細部の密度が低く、同じ物理サイズだと「粗く」見える。
- SXGAネイティブのモニタが減少しているため、入手性や交換機種の選択肢が限られる。
- ソフトウェアやWebコンテンツがワイドレイアウトを前提に設計されることが多く、横幅が狭い表示領域での閲覧・操作性に影響が出る場合がある。
周辺規格との比較
- XGA(1024×768、4:3) — SXGAは横・縦ともに大きく、表示領域が増える。
- SXGA+(一般に1400×1050)— SXGA+は1400×1050で、概ね4:3に近く幅が広い。名称の混同に注意。
- UXGA(1600×1200、4:3)— さらに高解像度で、より細かい表示が可能。
- フルHD(1920×1080、16:9)— ワイドで動画や近年のアプリに適しているが、縦方向のピクセル数はSXGAより少ない(1080 > 1024 は僅差だがアスペクト比の違いが操作感に影響)。
実務上の利用例・設置時の目安
SXGAは次のような用途で効果を発揮しました。
- 事務作業・会計・表計算:縦方向の表示が多くなるため、Excel等での作業効率が向上。
- ソフト開発・プログラミング:ソースコードの表示行数が増え、スクロールが減る。
- CAD・設計系アプリ:詳細な図面の表示やUI配置がしやすい(ただし現在はさらに高解像度が好まれる)。
- 業務用端末や産業機器:仕様が安定していることから長期間利用されるケースがある。
ディスプレイ方式と接続上の注意
SXGAはLCDやCRTを問わずサポートされてきました。アナログ(VGA)接続でも1280×1024のタイミングを伝送可能ですが、アナログ特有の調整(位相や同調)が必要な場合があります。デジタル接続(DVI/HDMI/DisplayPort)であればネイティブ解像度がそのまま表示されるため、画質やシャープネスの点で有利です。表示リフレッシュレートについてはモニタやグラフィックカードの対応に依存するため、ドライバやスペックを確認してください。
互換性とスケーリング
現代のOSではスケーリング(DPIスケーリング)機能があるため、低DPIなSXGA表示を拡大して読みやすくすることが可能です。ただし、アプリケーションによってはスケーリング対応が不十分で文字やUIがぼやけることがあるため注意が必要です。また、16:9のコンテンツを正しく表示するには左右に余白(レターボックスや黒帯)が生じる、あるいは拡大して切り取られるといった表示の差異が出ます。
現在の立ち位置とまとめ
SXGAはかつてのデスクトップ環境における重要な標準解像度の一つでした。縦方向のピクセル数が多く作業性が高い反面、ワイド化が進んだ現代では採用機会が減っています。とはいえ業務用や組み込み用途、互換性を重視する環境では今なお現役のことがあり、解像度・アスペクト比の特性を理解しておくことはディスプレイ選定やシステム設計時に有用です。
参考文献
- SXGA - Wikipedia(日本語)
- SXGA - Wikipedia(English)
- List of common resolutions - Wikipedia(解像度一覧)
- VESA(Video Electronics Standards Association)公式サイト


