Focusの名盤ガイド:1970年代クラシック期からHamburger Concertoまでのレコード収集と聴きどころ

はじめに — Focusとは

オランダ出身のプログレッシブ・ロック・バンド「Focus」は、1970年代初頭に世界的な注目を集めたインストゥルメンタル中心のグループです。フルートとオルガンを操るThijs van Leerと、技巧派ギタリストJan Akkermanを中心に、ロック、クラシック、ジャズ、フォークの要素を織り交ぜた鮮烈なサウンドで知られます。本稿では、ジャンルや代表曲の解説に加え、レコード収集の観点から「買うべきおすすめ盤」とその聴きどころを深掘りして紹介します。

おすすめレコード(クラシック期)

1. Focus(デビュー作、1970)

ポイント:

  • バンドの原点。インストゥルメンタル中心の構成で、フルート主体の牧歌的な曲から、テンポの良いロック曲まで幅がある。
  • 代表曲「House of the King」はこの時期の名曲で、短く親しみやすいながらもバンドの個性を端的に示す1曲。
  • 収集の目安:初期オリジナル・プレスはコレクター価値が高く、ジャケット状態やインサートの有無で価格が変動します。クリーンなサウンドを求めるなら、近年のリマスター再発(アナログ盤)も検討の余地あり。

2. Moving Waves / Focus II(1971)

ポイント:

  • バンド最大のヒット作が収められたアルバム。代表曲「Hocus Pocus」(ユニークなヨーデルやスキャットを取り入れた短いロック・チューン)と、叙情的なインスト曲「Sylvia」が特に有名。
  • このアルバムでFocusは国際的ブレイクを果たし、演奏の幅と構成力の高さが明確になります。音楽的にも最もバランスの取れた傑作と評価されることが多い。
  • 収集の目安:オリジナルの1971年盤は人気が高いです。音質重視なら良好なコンディションのプレス、あるいは信頼できるマスタリングの再発を探すのが現実的。

3. Focus 3(1972)

ポイント:

  • 長尺曲や叙事的な構成が増え、よりプログレ色が濃くなる時期の作品。演奏技術とアンサンブルの完成度が高く、インストゥルメンタルでの表現力を堪能できます。
  • ジャム的な即興性と洗練されたアレンジが混在しており、じっくりと通して聴くと新たな発見が多いアルバムです。

4. Hamburger Concerto(1974)

ポイント:

  • タイトル作品を含む長大な組曲形式のアプローチで、クラシック的要素とロックの結合をより追求した作品。オーケストラ的なスケール感と、メンバーの演奏力が前面に出た力作です。
  • クラシックからの引用的モチーフや複雑な曲構成が楽しめ、プログレ愛好家には必聴。

5. Mother Focus(1975)

ポイント:

  • 前作群と毛色が異なり、ファンク/ポップ寄りのアプローチを試みた作品。賛否分かれるアルバムですが、バンドの多様性や時代への適応力を示す興味深い過渡期の記録です。
  • 人気のある初期3作と比べると評価は分かれますが、コレクションとして抑えておくとバンドの全体像が見えます。

おすすめレコード(編集盤・再発・現行盤)

  • Ship of Memories(アウトテイク/編集盤): 1976年リリースのコンピ的な位置付け。未発表曲や別テイクを収録しており、コアなファン向けの掘り出し物がある。
  • 良質なリマスター再発: オリジナルのノイズや盤の経年劣化を避けつつ、当時の演奏のダイナミクスを楽しみたいなら、公式リマスターのアナログ再発(180gなど)を検討すると良いでしょう。
  • 日本盤帯付き初回プレス: 日本の初回盤はジャケット印刷や帯の有無でコレクション価値が高いものが多いです。輸入盤との音質差は盤やマスターによるので個別チェックが必要です。

聴き方・注目ポイント(楽曲面からの深掘り)

  • 対位法とアンサンブルの妙:Thijs van Leerのフルート/オルガンとJan Akkermanのギターが対話するようなアレンジが特徴。パート同士の掛け合いに注目して聴くと技量と作曲の工夫がよく分かります。
  • 短い楽曲と長尺組曲の対比:「House of the King」「Hocus Pocus」といった短曲のインパクトと、「Hamburger Concerto」などの大曲の構築性、その両方を楽しむことでバンドの振幅が見えてきます。
  • 即興性と構築性のバランス:演奏の妙味は即興セクションにありつつ、全体としては明確なテーマが貫かれている点が魅力です。

購入の際にチェックしたい点(盤ごとに)

  • プレス年と版(オリジナルか再発か) — オリジナルは音像や雰囲気が当時のまま残っていますが、経年によるノイズやチリが気になる場合は良好な再発を選ぶのも手です。
  • ジャケットの状態・インサートの有無 — コレクター価値に直結します。内袋や歌詞カード、帯などが揃っているか確認しましょう。
  • マスター情報 — 再発の場合、どのマスターを使用しているか(オリジナル・ステレオ・マスター/リマスター)で音質傾向が変わります。ディーラーの説明やレビューを参考に。

どのアルバムから聴くべきか(初心者向けの順番)

  • まずはMoving Waves(1971):代表曲「Hocus Pocus」「Sylvia」が入り、Focusの魅力が凝縮されています。
  • 次にFocus(1970):ルーツと短めの名曲「House of the King」を楽しむ。
  • その後にFocus 3/Hamburger Concerto:より深く長尺作品やクラシカル志向を味わいたい人向け。

まとめ

Focusは短いフックある楽曲から長大な組曲まで幅広く手がけ、演奏力と作曲力のバランスが魅力のバンドです。レコード収集の観点では、オリジナル盤のコレクション価値は高い一方で、音質や実用性を重視するなら再発やリマスター盤も有力な選択肢です。まずは「Moving Waves」を軸に、デビュー作や「Hamburger Concerto」を順に聴くと、バンドの成長と変遷がよく分かります。

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参考文献