Mountainの名盤を深掘り解説:Climbing! から Flowers of Evil までの軌跡

Mountain — 短くも濃いロックの存在

Mountain は1969年前後から活動したアメリカのハードロック/ヘヴィブルース・バンド。レスリー・ウェスト(ギター&ヴォーカル)の太く荒々しいトーン、フェリックス・パッパラルディのプロダクション感とアレンジ、コーキー・レインのダイナミックなドラムワークが特徴です。商業的にはシングル「Mississippi Queen」で知られますが、アルバム全体を通してのダイナミックな演奏力とドラマチックなアレンジこそが彼らの魅力です。

おすすめレコード(アルバム別 深掘り)

  • Climbing!(1969)

    デビュー作。代表曲「Mississippi Queen」を含み、バンドの基本フォーマットが出来上がった一枚です。レスリー・ウェストのギター・トーンと、重心の低いリフ、フェリックスの温かいプロダクションが強く出ています。初期の荒々しさと楽曲のメロディ性が両立しており、Mountain入門盤として最も推奨される作品です。

    聴きどころ:ギターの音色(サスティーン)、シンプルながらパンチのあるリズム隊、アルバム全体の流れ。

  • Nantucket Sleighride(1971)

    タイトル曲を中心によりドラマチックで構成力のある楽曲が並ぶ2作目。長尺のインストや叙情的なアレンジ、ストリングスやホーンの導入などによって、単なる「ギター・バンド」以上の表現を試みています。ライブ映えするエピックな演奏が多く、アルバム単位での聴きごたえが強い作品です。

    聴きどころ:組曲的な展開、弦楽器の使い方、ライブでの表現力が想像できるスケール感。

  • Flowers of Evil(1971)

    アルバムの前半がスタジオ曲、後半がライブ録音という構成になっている興味深い作品。スタジオ曲では凝ったアレンジやスタジオならではの表現が見られ、ライブ側ではバンドの生の破壊力がそのまま記録されています。バンドの二面性(スタジオ志向とライブ志向)を同時に楽しめる点が魅力です。

    聴きどころ:スタジオ曲の緻密なアレンジと、ライブパートの即興性・爆発力の対比。

  • Avalanche(1974)

    初期三作ほどの評価には及ばない面もありますが、成熟した演奏とアンサンブル感が聴ける一枚。若干の方向転換や音作りの変化が見られ、バンドがシーンの中でどう自分たちの音を保とうとしたかがわかります。山の頂上を登るようなエネルギーとは別の側面を好むリスナーにおすすめです。

    聴きどころ:演奏の安定感、アンサンブルの微妙な変化、曲作りの幅。

  • Go for Your Life(1985)など再結成期の作品

    1980年代の再結成作や以降の作品はスタイルや音質に時代性が出ます。クラシック期の延長線上にある演奏も多いので、80年代録音の音像や再結成期の解釈に興味がある人には要チェックです。ただし「初期の荒々しさ」が聴きたければ前述の70年代作品を優先すると良いでしょう。

盤選びのポイント(レコード固有の話として)

  • オリジナル・プレス vs 高音質リイシュー
    オリジナル盤は雰囲気や時代の空気感を楽しめますが、針飛び・ノイズの問題や入手難度が高いことがあります。近年の高音質リイシュー(180gプレスやリマスター盤)はノイズが少なく音の解像度が高い場合が多いため、音質重視ならリイシューも有力な選択肢です。

  • マスターソースの確認
    「オリジナルマスターからのリマスター/カッティングか」「オリジナル・テープが使われているか」は重要な指標です。リマスターの説明やライナーの表記をチェックしましょう。

  • ライブ録音の出所
    Flowers of Evil のようにライブ音源が含まれる作品は、ソース(サウンドボード/放送録音など)によって音質差が出ます。公式リリースか非公式流通かを確認すると安心です。

  • 盤のバリエーション(カラーヴァイナル、ジャケット差)
    コレクター要素としてジャケットの仕様違い(インナースリーブ、歌詞カードの有無、帯の有無など)や限定カラーヴァイナルの存在を確認すると楽しみが広がります。

聴き方の提案 — 作品ごとの楽しみ方

  • Climbing! は“入口”としてじっくり
    代表曲だけを切り取るのではなく、アルバムの流れでレスリーの音色やフェリックスのアレンジを味わってください。曲間の空気感や曲順の流れが魅力を増幅します。

  • Nantucket Sleighride は“ドラマ”を楽しむ
    長尺曲や壮大な展開を活かして、集中して一気に聴くのがおすすめです。ヘッドフォンよりはスピーカーで低域の押し出しを体験すると良いでしょう。

  • Flowers of Evil は“比較”が面白い
    スタジオ曲とライブ曲の対比を楽しむことで、バンドの制作力と演奏力両方の魅力が見えてきます。

まとめ — Mountain のレコードを選ぶ理由

Mountain の魅力は、レスリー・ウェストの“一発で伝わる音”と、パッパラルディの作り出す音世界、そしてライブの瞬発力にあります。代表作である Climbing!、Nantucket Sleighride、Flowers of Evil はそれぞれ異なる側面を提示してくれるので、目的に応じてオリジナル盤や高音質リイシューを選んで楽しんでください。

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参考文献