Gongの全時代を徹底解説:初期名盤から再結成期までの聴き方と必聴アルバム
Gong — 概要と魅力
Gong(ゴング)は、ディーヴィッド・“デイヴィッド”・アレン(Daevid Allen)を中心に生まれたサイケデリック/プログレッシブ・ロックの奇才集団です。1960年代末から断続的に活動を続け、サイケデリックな詩世界、ジャズやアヴァン/ワールド要素の混淆、そして独特のユーモアと宇宙観に満ちたコンセプトで多くのリスナーを魅了してきました。
Gongの歴史は大きく分けて「初期(Magick Brother〜Camembert)」「Radio Gnome Invisible三部作(Flying Teapot / Angel’s Egg / You)」「ピエール・ムーラン(Pierre Moerlen)期のジャズ/フュージョン路線」「再結成/2000年代以降の復活期」に分かれ、それぞれ音楽性もリスナー層も異なります。本稿では各時代を代表する“レコード”を選び、その魅力を深掘りします。
おすすめレコード — 入門と必聴盤
1. Magick Brother(1970)
初期Gongを知るうえで重要な1枚。まだ後のファンタジー路線が顕著ではないものの、サイケデリック/フォーク、実験性が混ざり合った逸品です。
- 代表的な聴きどころ:のちのGongらしいユーモラスな詩世界の萌芽、アコースティックな温度感と即興性。
- おすすめポイント:初期の素朴さやバンド形成期の空気を感じたい人向け。Radio Gnome以前のGongの基礎がわかります。
2. Camembert Electrique(1971)
Magick Brotherの延長線上にありつつ、よりロック色とサイケデリックな展開が強まった作品。Gongの初期名盤のひとつとして評価が高いアルバムです。
- 代表的な聴きどころ:エネルギッシュなギター、サイケデリックなサウンドスケープ、奇抜な歌詞世界。
- おすすめポイント:Gongに初めて触れるロック寄りのリスナーに最適。後のコンセプト作に繋がる音像が見えてきます。
3. The Radio Gnome Invisible Trilogy(全体の聴きどころ)
Flying Teapot(1973)、Angel’s Egg(1973)、You(1974)の三部作は“ラジオ・ノーム・インヴィジブル”という物語を媒介に、Gong独自の宇宙観と音楽的到達点を示した名作群です。プログレ/サイケの金字塔としてしばしば言及されます。
- Flying Teapot(1973):三部作の導入。メロディとサウンドエフェクト、物語導入部としての魅力。
- Angel’s Egg(1973):ストーリーが深まる中、豊かな音響と詩的イメージが展開される中核作。
- You(1974):三部作の完結編で、テーマの総決算的な要素が強い。完成度が高く、批評的評価も高い。
- おすすめポイント:Gongの“世界観”を体験したいなら必聴。サイケ・プログレ好きには最優先で手に取ってほしいシリーズです。
4. Shamal(1976)
Radio Gnomeの物語的要素からやや離れ、よりジャズ寄りかつアンダーステイトメントな作風を示したアルバム。ラインナップも変化し、音の色合いが変わります。
- 代表的な聴きどころ:ジャジーなリズム、控えめで洗練されたアレンジ、メロウで閉じた雰囲気。
- おすすめポイント:三部作の派手さに疲れた人、より落ち着いたGongを味わいたい人に。
5. Gazeuse! / Expresso II(1977–78) —(Pierre Moerlen’s Gong期)
ピエール・ムーラン(Pierre Moerlen)を中心とした派生的プロジェクト群で、パーカッションやマリンバ・シンセなどの打楽器寄りアプローチが特徴。ジャズ・フュージョン寄りの技巧性が前面に出ます。
- 代表的な聴きどころ:技巧的なドラム/パーカッション、器楽中心の構成。ロックというよりフュージョン/ジャズ寄りの完成度が高い。
- おすすめポイント:Gongの“もうひとつの顔”を知りたい人、インスト志向のリスナーにおすすめ。
6. Zero to Infinity(2000)
デイヴィッド・アレン公認の再結成期の代表作。オリジナルの精神を引き継ぎつつ、現代的なプロダクションでまとめられています。
- 代表的な聴きどころ:温故知新的アプローチ、ポップなメロディとサイケデリックなテクスチャの同居。
- おすすめポイント:古参のファンにも新規にも受け入れられる“現代のGong”。復活期の入門盤として有効。
7. 2032(2009)
1974年のYouに繋がる“未来/再会”をテーマにした、再結成後の大作。物語性と音楽性を融合させた壮大な一枚で、長年のファンを満足させる要素が多くあります。
- 代表的な聴きどころ:物語性の回帰、音響的な広がり、往年のGongらしさへの回帰。
- おすすめポイント:三部作ファンやコンセプトアルバム好きに特に刺さる作品。
8. ライブ盤・編集盤(補助的推薦)
Gongはライヴでの変化や即興が大きな魅力のため、オフィシャル/アンオフィシャル含めライブ録音やボックスセットもコレクションとして価値があります。初期の熱量や1980年代以降の変化を追うのに有効です。
選び方と聞きどころのガイド
- 「物語とキャラクター」を楽しみたい:Radio Gnome Invisible三部作(Flying Teapot / Angel’s Egg / You)。
- 「初期の荒削りで生っぽい音」を求める:Magick Brother、Camembert Electrique。
- 「ジャズ/フュージョン寄りの技巧」を聴きたい:Pierre Moerlen期(Gazeuse!/Expresso II、他)。
- 「現代的な再解釈」を好む:Zero to Infinity、2032。
- 「ライヴでの即興と息づかい」を味わう:各種ライヴ盤やボックスを検討。
おすすめの聴き方(音楽体験の深め方)
- まずは三部作のいずれか1枚(Flying Teapotなど)で“物語”に触れる。
- 次にCamembert ElectriqueやMagick Brotherで初期のアプローチを比較する。変化の幅がよくわかります。
- 興味が湧いたらShamalやExpresso IIでジャンル横断的な側面を追い、最後にZero to Infinityや2032で現代の解釈を聴くと「Gongという生き物」の全体像が見えてきます。
注目すべきメンバーと役割
- Daevid Allen(ギター/ボーカル):バンドの創始者で物語と詩的イメージの源泉。
- Gilli Smyth(ヴォイス/スペースウーマン):サイケデリックな語りやヴォイス・エフェクトで独自の世界観を演出。
- Pierre Moerlen(パーカッション):1970年代後期の音楽性をフュージョン寄りに導いた中心人物(派生ユニットも主導)。
- その他多数:Tim Blake(シンセ)、Steve Hillage(ギター)など、メンバー交代で音楽性は大きく変化します。
購入やリイシューについてのポイント(簡潔に)
- 初期〜三部作の名盤は複数のプレス/リイシューが存在します。音質やボーナストラックの有無が版によって異なるため、購入前に収録内容を確認すると良いでしょう。
- ピエール・ムーラン期などは、ジャズ寄りのリリースがまとまったボックスや再発が出ていることがあるため、目的に応じて選び分けるのがおすすめです。
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参考文献
- Gong (band) — Wikipedia
- Magick Brother — Wikipedia
- Camembert Electrique — Wikipedia
- The Flying Teapot — Wikipedia
- Angel's Egg — Wikipedia
- You (Gong album) — Wikipedia
- Shamal — Wikipedia
- Expresso II / Gazeuse! — Wikipedia
- Zero to Infinity — Wikipedia
- 2032 — Wikipedia


