Buffy Sainte‑Marieの名盤完全ガイド:1960年代のフォーク革命と聴きどころを徹底解説
はじめに — Buffy Sainte‑Marie とは
バフィ・セント=マリー(Buffy Sainte‑Marie)は、カナダ出身のクリー族(Cree)のシンガーソングライター/アクティビストです。1960年代のフォーク・リバイバル期に登場し、反戦や先住民の権利、アイデンティティを鋭く歌い上げる一方で、早くから電子音響を取り入れるなど音楽的にも先進的でした。本コラムでは“まず買って聴きたい”という視点で代表的なレコード(アルバム)を厳選し、それぞれの聴きどころ、背景、どんな人におすすめかを深掘りして紹介します。
おすすめレコード目次(概観)
- It's My Way!(1964) — デビュー作、反戦・社会派の原点
- Little Wheel Spin and Spin(1966) — 詩的でダイレクトなメッセージ
- Fire & Fleet & Candlelight(1967) — 編曲・プロダクションの変化
- Illuminations(1969) — 電子音響・実験性の到達点
- Buffy(1974)/1970s の流れ — ポップ/ソウル志向の側面
It's My Way!(1964) — デビュー作で刻まれた“声”
なによりまず聴いてほしいのがデビュー作。ストレートなフォーク編成を基盤に、彼女のソングライティング(反戦、個の尊厳、先住民の視点)と声質の魅力がダイレクトに出ています。ここで書かれた曲の多くがその後のカバーや再評価を生み、アーティストとしての基盤を築きました。
- 聴きどころ:歌詞のメッセージ性(反戦・社会批評)と素朴な演奏の説得力。
- おすすめの聴き方:歌詞を追いながら、当時のフォーク・シーン(1960年代半ば)の文脈で聴くと、曲のインパクトが深まります。
- コレクティブル情報:オリジナルのVanguardレーベル初版はコレクターに人気。再発盤もあるのでコンディションとマトリクスを確認しましょう。
Little Wheel Spin and Spin(1966) — 詩的な痛みと鋭い視線
デビューから引き続き、強烈なメッセージ性と詩的表現が磨かれた一枚。政治的な主題(植民地主義や先住民の問題など)とプライベートな感情が混ざり合い、フォークの枠内で表現の幅が広がっています。
- 聴きどころ:社会問題を真正面から扱いつつ、個人的なトーンが混じる歌詞の深さ。
- こんな人におすすめ:フォークの言葉(歌詞)を重視するリスナー、60年代の社会運動と音楽の結びつきに興味がある人。
Fire & Fleet & Candlelight(1967) — 編曲や大人の表現への移行
この時期はアーティストとしての表現がさらに洗練され、編曲やプロダクションに変化が見られます。より多彩なサウンド・アプローチでフォークの枠を越えた楽曲も並び、曲の幅が広がるのを感じられるアルバムです。
- 聴きどころ:フォークの骨格を保ちながらも、より複雑なアレンジや大人の視点が加わる点。
- おすすめ用途:初期の生々しさと、後の実験的な面の“橋渡し”として聴くと興味深いです。
Illuminations(1969) — 電子とフォークの先鋭的な融合(必聴)
バフィのキャリアの中でも特に注目される一枚。フォーク的なソングライティングに、当時としては斬新な電子音響やエフェクト、オーケストレーションが融合され、聴覚的な冒険が繰り広げられます。商業的な大ヒット作ではありませんが、芸術的影響力は非常に大きく、後の実験的フォークやエレクトロフォークに与えた影響は無視できません。
- 聴きどころ:歌詞のメッセージ性はそのままに、音響的な工夫(テープ・エフェクト、電子音、非伝統的な編成)が曲ごとに効果的に使われています。
- コレクター向け情報:オリジナル盤は入手難度が上がる傾向にあり、価格も高め。良質なリイシューや公式デジタル配信で聴くのも現実的な選択です。
- こんな人におすすめ:フォークだけでなく電子音響や実験的なポップ/アート・ミュージックに関心があるリスナー。
1970年代以降の流れ — 「Buffy」やその後の作品群
70年代にはよりポップ/ソウル寄りのアレンジや幅広いプロダクションが見られる作品もあり、彼女の音楽性はジャンル横断的に広がっていきます。メッセージを持ち続けつつも、商業的に届きやすい楽曲制作にも挑んでいる時期です。
- 聴きどころ:ポップやソウルの文脈で再現される彼女の歌唱とソングライティング能力。
- こんな人におすすめ:60年代のフォーク一辺倒ではなく、幅広いプロダクションやポップソングとしての側面を味わいたい人。
選び方と買い方のコツ(レコードそのものの扱いは除く)
どの盤を選ぶかは、あなたが何を重視するかで変わります。メッセージ/歌詞重視なら初期のVanguard期(1960年代)のアルバム、音響的実験性を楽しみたいなら「Illuminations」、より幅広いアレンジやポップ性を求めるなら70年代の作品を狙うと良いでしょう。盤の入手は、以下の点に注意すると失敗が少ないです(ここでは取引の一般的な視点のみ触れます)。
- オリジナル盤はコレクターズ価値があるが価格が高め。まずは良好なリイシューで音楽を把握してから投資判断すると安心。
- 盤の状態(表記のあるグレード)とジャケットのコンディション、そして盤のプレス情報(マトリクス)を確認する。
- 信頼できるレコードショップや評価のあるオンライン出品者から購入する。詳細な写真と説明を要求するのは正当な行為。
代表曲(彼女のソングライティングを知るために押さえておきたい曲)
- Universal Soldier — 反戦歌として広く知られる代表作。彼女のソングライティングの社会的インパクトを象徴します。
- Until It's Time for You to Go — 多くのアーティストにカバーされたバラードで、柔らかなメロディと普遍的な歌詞が魅力。
- My Country 'Tis of Thy People You're Dying — 植民地主義や先住民の視座を鋭く歌った曲。メッセージ性の強い作品として重要です。
聴きどころの深掘り(歌詞・文脈・表現技法)
バフィの楽曲を深く理解するためには「歌詞の政治性」と「音楽表現の両義性」に注目すると良いです。単にプロテスト・ソングとして切り捨てられがちですが、その言葉づかいは詩的で多層的。さらに、声質やフレージングが感情を補強し、時にはアイロニーや諧謔を含みます。加えて、1960年代後半にはスタジオを使った音響的実験が加わり、メッセージが音によって拡張される点も独特です。
まとめ — どれから聴くべきか
初めて触れるなら、まずはデビュー期(It's My Way!/Little Wheel Spin and Spin)で“歌と言葉”の力を知り、その後で「Illuminations」に進むのが理想的な流れです。これにより、彼女の歌世界が時代とともにどのように拡張されたかを実感できます。さらに深めたい人は70年代以降の作品やコンピレーションで変遷を追ってみてください。
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参考文献
- Buffy Sainte‑Marie — Wikipedia
- Buffy Sainte‑Marie — AllMusic(バイオ・ディスコグラフィ)
- Buffy Sainte‑Marie — Discogs(リリース一覧)
- NPR — Buffy Sainte‑Marie 関連記事
- Vanguard Records(彼女の初期作が発売されたレーベル)


