Everything But The Girl(エヴリシング・バット・ザ・ガール)名盤完全ガイド:80年代〜90年代の音楽的変遷と聴きどころ

Everything But The Girl(エヴリシング・バット・ザ・ガール)とは

イギリス出身のデュオ、Tracey Thorn(ボーカル)とBen Watt(ギター/プロデュース)によるEverything But The Girl(以下EBTG)は、1980年代のジャズ/フォーク由来の洗練されたポップから、1990年代以降のクラブ寄りのエレクトロニカまで幅広く移行した稀有な存在です。Traceyのやわらかくも芯のある歌声と、Benの緻密なアレンジ感覚が組み合わさったサウンドは、ジャンルを超えて多くのリスナーに支持されてきました。

おすすめレコード(名盤と聴きどころ)

  • Eden(1984)

    デビュー作にあたる作品で、ジャズやフォーク、ソフィスティポップの影響が色濃く感じられるアルバム。Traceyのボーカルと女性視点のリリックが早くも際立っており、代表曲「Each and Every One」をはじめ、繊細で温かみのあるアンサンブルが魅力です。EBTGの原点を知るうえで必聴の一枚。

  • Love Not Money(1985)

    初期のポップ/インディ志向が成熟した時期の作品。アコースティックな色合いを保ちつつ、ソングライティングの幅が広がったことが感じられます。静かながら印象に残るメロディと、社会的・私的なテーマを織り交ぜた歌詞が特徴です。

  • Idlewild(1988)

    80年代後半の作品で、アンサンブルの幅がさらに広がった一枚。ジャズ的な要素や室内楽的なアレンジが散りばめられており、トレーシーの歌声の表現力を味わえる作品です。過渡期のサウンドを楽しめます。

  • Amplified Heart(1994)

    90年代初頭のフォーク〜アコースティック志向を具現化したアルバム。ここに収められた楽曲は内省的でポップな旋律が多く、のちにクラブ・リミックスで世界的ヒットとなる「Missing」(アルバムのアコースティックな原曲)が含まれます。原曲の佇まいと、後年のダンス・リミックスが生んだ対比を知るうえでも重要です。

  • Walking Wounded(1996)

    EBTGの音楽的転換点。トリップホップ/ブレイクビーツ/ダウンテンポなど90年代クラブ・エレクトロニクスを大胆に取り入れ、ポップなメロディとエレクトロニックなビートが高い次元で融合しています。「Walking Wounded」「Wrong」などシングル曲の完成度も高く、クラブ〜リスニング双方で評価された名盤です。

  • Temperamental(1999)

    Walking Woundedの延長線上にあるが、よりダークで実験的な傾向を強めた作品。ミニマルでエッジの効いたビートと、Traceyのクールなボーカルが相まって独特の緊張感を生み出しています。エレクトロ、クラブ・ミュージックの文脈でEBTGの深みを味わいたい人におすすめ。

作品ごとの楽しみ方・聴きどころ

  • 初期(Eden〜Idlewildあたり)は、アコースティックやジャズ的な楽器編成、温度感のある歌声が中心。歌詞やメロディの細部に注目するとよいです。

  • Amplified Heartは「歌そのもの」の魅力が際立つ時期で、トレーシーの声質と曲の素朴さを味わうのに最適です。リミックスで知った人も原曲を聴くと新たな発見があります。

  • Walking Wounded以降はエレクトロニカ志向が強まり、音の質感やリズム・プロダクションを楽しむリスニングになります。アレンジやサウンドデザインにも耳を傾けてください。

購入時のポイント(どの盤を選ぶか)

  • オリジナル盤の音色や紙ジャケットの風合いを重視するか、リマスター/再発(180g重量盤など)の音質向上を重視するかで選びましょう。どちらにも魅力があります。

  • Amplified Heartの「Missing」はリミックスで広く知られているため、原盤(アルバム収録のアコースティック原曲)とリミックス12インチを聴き比べるとEBTGの幅がわかりやすいです。

  • Walking WoundedやTemperamentalはプロダクションの細部が楽しめるため、音像の解像度が高い盤(良好なコンディションのアナログ、または高品質なリイシュー)を選ぶと満足度が高いでしょう。

なぜ今も聴かれるのか(普遍性と影響)

EBTGの魅力はジャンルを横断する「歌とサウンドのバランス」にあります。Traceyの声という確かな核があるため、フォーク的なアレンジでもクラブ系の電子音でも、その世界観が一貫しています。90年代以降のエレクトロニカ/ダンスミュージックの流れに柔軟に溶け込みつつ、ポップスとしての完成度を保ち続けた点が、現代のリスナーにも響く理由です。

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参考文献