INXSのプロフィールと名盤ガイド:ブレイクの軌跡とダンスロックの魅力
INXS — プロフィールと概略
INXS(インエックスエス)は、オーストラリア出身のロック/ダンスロック・バンドで、1977年にシドニーで結成されました。メンバーはマイケル・ハッチェンス(ボーカル、故人)を中心に、アンドリュー・ファリス(鍵盤・ギター)、ティム・ファリス(ギター)、ジョン・ファリス(ドラム)、ギャリー・ビアーズ(ベース)、カーク・ペンギリー(ギター・サックス)らによる7人編成が最も知られています。鋭いリズム感、ダンサブルなギターとシンセ、セクシーで情感豊かなボーカルにより、1980年代から1990年代にかけて国際的な成功を収めました。これまでに世界で約5,500万枚以上の売上を記録しています。
結成からブレイクまでの流れ
バンドはオーストラリア国内のパブやクラブで活動を重ね、初期はニューウェーブやポストパンク、パブロックの影響を受けつつ独自のダンス志向のロックを作り上げていきました。1980年代前半のアルバム群で着実に評価を高め、1987年のアルバム「Kick」で世界的なブレイクを果たします。その頃の楽曲はMTVやラジオで大きく流れ、INXSの名前をポップ/ロックのメジャーシーンに定着させました。
音楽的特徴とサウンドの魅力
- リズム重視のアンサンブル:タイトでグルーヴィーなリズム隊(ジョン・ファリスのドラム、ギャリー・ビアーズのベース)と、ファンク/ダンスの要素を取り入れたビート感が楽曲の骨格です。
- ギターとシンセの融合:ロックのギターリフと当時の先端的なシンセサイザーの組み合わせで、クラブでも通用する「踊れるロック」サウンドを作り上げました。
- ボーカル表現の多様性:マイケル・ハッチェンスのセクシーで表現力豊かな歌声は、スローナンバーの情感からダンサブルなナンバーまで幅広く映えます。微妙なフレージングや間の取り方が曲に独特の色気を与えます。
- 洗練されたアレンジとプロダクション:シンプルながら効果的な楽器配置、印象的なコーラスライン、サックスやギターの装飾的フレーズが曲の印象を強めます。
- 曲作りのペアワーク:アンドリュー・ファリスのメロディ/コード進行とハッチェンスの歌詞・メロディラインの協働が多くのヒットを生みました。
代表曲と名盤の紹介
以下はINXSを知る上で押さえておきたいアルバムと代表曲です。時代ごとの変化と魅力を感じ取ってください。
- Shabooh Shoobah(1982) — 初期の国際的な評価を得た作品。「The One Thing」など、ポップと新波のクロスオーバーを示す曲が含まれます。
- Listen Like Thieves(1985) — バンドの音楽性がさらに研ぎ澄まされ、「What You Need」などのヒットで米国市場でも注目を集めました。
- Kick(1987) — INXSの代表作。シングル「Need You Tonight」「Devil Inside」「New Sensation」「Never Tear Us Apart」などを収録。ロックとダンスの最良の融合が詰まったアルバムで、彼らの商業的・文化的ピークの一つです。
- X(1990) — 「Suicide Blonde」など、より成熟したサウンドでダンサブルかつロック色の強い楽曲が並びます。
- Elegantly Wasted(1997) — マイケル・ハッチェンスが亡くなる前年に発表された作品。バンドの成熟と陰影が同居する一枚です。
楽曲の聞きどころ(注目点)
- 「Need You Tonight」:ミニマルで強烈なリフと、間の使い方、マイケルの低く甘い語りかけるボーカルに注目。
- 「Never Tear Us Apart」:映画的でストリングス的な扱いのキーボードと、情緒的な歌詞、劇的なクライマックスが魅力。
- 「What You Need」:ベースラインとリズムの掛け合いが奏でるグルーヴ感を感じてください。
ライブとパフォーマンスの魅力
INXSは生のパフォーマンスでのエネルギーが非常に高く評価されました。特にマイケル・ハッチェンスはカリスマ性のあるフロントマンで、ステージ上での存在感、観客との間合いの取り方、セクシュアルな魅力は伝説的です。楽曲自体が踊れる構造になっているため、ライブは観客を巻き込むダンスパーティーのような一体感を生み出しました。
なぜ今も愛され続けるのか(魅力の分析)
- 普遍的なメロディとフック:良いフックとメロディは時代を超えて残り、若いリスナーにも響きます。
- ジャンル横断性:ロック、ポップ、ファンク、ダンスを自然に横断するサウンドは、さまざまなリスニングシーンに馴染みます。
- 映像表現の強さ:MTV時代に映像と強く結びついた楽曲が多く、ビジュアル面での印象が記憶に残りやすい点も大きいです。
- エモーショナルな深み:ダンサブルな曲であっても感情の深度やメランコリーを含む作品があり、単なるナンパなダンスロックに留まらない豊かさがあります。
- 物語性とノスタルジア:80〜90年代のシーンを象徴する存在として、当時の音楽文化や思い出と強く結びついています。
影響と遺産
INXSはオーストラリアの国際的な音楽輸出の成功例の一つであり、後進のロック/オルタナティブ/ダンス系バンドに多大な影響を与えました。また、ポップとロック、ダンスミュージックの融合はその後のクロスオーバー制作における一つの指標となっています。マイケル・ハッチェンスの存在は、ボーカリスト像の一つの定義を作ったとも言えるでしょう。
その後の活動と変遷
1997年にマイケル・ハッチェンスがこの世を去って以降、オリジナルの黄金期は終わりましたが、バンドは再編や新しいボーカリストとの活動を続け、2005年にはテレビ番組(オーディション形式)を通じて新ボーカリストを選ぶなどの試みも行いました。オリジナル・ラインナップの作品群は今も多くのベスト盤や再発で聴くことができます。
入門者への聞き方ガイド
- まずは「Kick」を通して聴く:ダイジェスト的にバンドの魅力が凝縮されています。
- アルバム単位で聴く:特に「Listen Like Thieves」「X」「Elegantly Wasted」などで時代による変化を追うと面白いです。
- ライブ映像を見る:マイケルのステージングやバンドの一体感が音源以上に伝わります。
- 歌詞に注目する:単なるダンス曲に見えても、内包する感情や物語性が深いことが多いです。
注意点
本稿はバンドの音楽性・歴史・魅力に焦点を当てています。個別の人物の私生活やセンシティブな出来事の詳細な扱いはここでは割愛しています。
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参考文献
- INXS 公式サイト
- INXS - Wikipedia
- INXS - AllMusic(バイオグラフィー)
- INXS | Biography — Britannica
- INXS — Rolling Stone(アーティストページ)


