The Strawbs(ストローブス)プロフィールと名盤ガイド|フォークとプログレの英国ロック名バンド
The Strawbs — プロフィール
The Strawbs(ストローブス)は、1960年代後半にイングランドで結成されたバンドで、フォーク、フォーク・ロック、そしてプログレッシブ・ロックを自在に行き来する独特の音楽性で知られます。中心人物はメイン・ソングライター/ヴォーカリストのデイヴ・カウジンズ(Dave Cousins)。バンドは長いキャリアの中でメンバーが何度も入れ替わりながらも、フォークの土壌に根ざした叙情性と、プログレ的な壮麗さを併せ持つ楽曲群を残してきました。
来歴と音楽的変遷(概観)
- 初期(フォーク寄り):1960年代後半はアコースティックなフォーク/フォークロック色が強く、サンディ・デニー(Sandy Denny)など初期の英国フォークシーンの人物とも関わりがありました。
- 転機とプログレ志向:70年代初頭からキーボード(メロトロン、オルガン等)やエレクトリックな編成が導入され、構成の大きな組曲的な曲や、ドラマチックなアレンジを持つ作品が増えます。代表的な作品群はこの時期に集中しています。
- 商業的成功と葛藤:一方で「Part of the Union」などのシングルがヒットするなど商業面で成功した反面、よりアート志向の楽曲との間で内部的に方向性の葛藤もありました。
- 以後の活動:メンバー交代や派生ユニットを経ながらも、デイヴ・カウジンズを中心に断続的に活動を続け、多くのライブや新作を発表しています。
代表的なメンバー
- デイヴ・カウジンズ(Dave Cousins) — リード・ヴォーカル、ギター、ソングライティングの中心。バンドの顔であり作曲家。
- トニー・フーパー(Tony Hooper) — 初期の重要メンバーで、アコースティックな側面を支えた。
- リック・ウェイクマン(Rick Wakeman) — 初期に関わったキーボーディスト(その後Yesでの活躍で知られる)。
- ジョン・フォード(John Ford)/リチャード・ハドソン(Richard Hudson) — 1970年代初頭のラインナップで、バンドのポップ寄りシングルの成功に寄与。
- チャス・クランク(Chas Cronk)/デイヴ・ランバート(Dave Lambert)など — バンドの黄金期以降に重要な役割を果たしたメンバー。
The Strawbsの魅力 — 深掘りポイント
- フォーク的叙情とプログレ的スケールの融合
アコースティックな弾き語り的な美しさと、オーケストレーションやキーボードを用いた大きな構築性が同居します。親しみやすいメロディと、劇的な展開を両立させる手腕が特徴です。 - 曲ごとに変わる表情の豊かさ
同じアルバムの中でも静謐なフォーク曲、政治的・社会的なテーマのナンバー、壮大な組曲風の楽曲など幅が広く、聴くたびに新しい面が見えてきます。 - 歌詞の物語性とテーマ性
デイヴ・カウジンズの歌詞は個人的な感情、歴史的/社会的な問いかけ、寓話的な物語などテーマが多彩。聴き手の想像を刺激する語り口が魅力です。 - アンサンブルの色彩感
ヴァイオリンやチェロ、ハモンド・オルガン、メロトロンなどの音色が曲に深みを与え、アコースティック楽器と電気楽器の良質なブレンドが生まれます。 - ライブでの強さ
ストーリーテリングと楽曲の推進力がライブで映え、古くからのファンコミュニティを維持している点も特徴です。
代表作・名盤ガイド(聴きどころ付き)
- From the Witchwood(1971)
フォーク感とエレクトリックな要素のバランスが良く出た作品。静かな叙情と時にドラマチックになる曲構成が、バンドらしさをはっきり示しています。 - Grave New World(1972)
バンドの作風が大きく広がった転換点。アレンジの深み、宗教的/歴史的モチーフを含む歌詞など、コンセプチュアルな側面が強調されています。 - Bursting at the Seams(1973)
商業的にも成功した作品で、「Part of the Union」などのヒット曲を含みます。ポップさとバンド本来のアート寄り要素が同居するアルバムです。 - Hero and Heroine(1974)
ストローブスのプログレ色が最も強く現れた作品のひとつ。ドラマチックで叙事的な楽曲が並び、バンドのクリエイティビティが頂点に達したと評価されることが多いアルバムです。 - その後の作品(概況)
70年代後半以降、メンバーや方向性の変化がありつつも、長年にわたって良質な作品を断続的に発表しています。最新作に近いものを聴くことで、彼らがどう現在まで音楽を継承してきたかがわかります。
注目の楽曲(入門用ピックアップ)
- Part of the Union — 社会的メッセージが明快なシングル・ヒット。ストローブスの明るくポップな面を知るのに最適。
- Lay Down — 力強いコーラスとドラマ性の高いアレンジが特徴のナンバー(シングルヒット)。
- The Hangman and the Papist — 家族や信仰、対立を題材にした深い歌詞と緊張感のある展開。
- Hero and Heroine(曲名) — 大作指向の叙情的楽曲で、バンドのプログレ志向を味わえます。
- Benedictus — 壮麗で印象的なメロディを持つ曲。宗教的なイメージを借りた叙情性が際立ちます。
The Strawbs を聴くときのポイント(入門〜深掘り)
- まずは代表曲】:ヒット曲(Part of the Union、Lay Down)で親しみやすさを掴みつつ、同アルバムや前後のアルバムで幅を確認するのが良い流れです。
- アルバム順で聴く】:初期のフォーク色→70年代のプログレ化という流れが分かりやすく、バンドの変遷を追いやすいです。
- 歌詞に注目】:デイヴ・カウジンズの語り口や比喩表現が曲の世界観を支えています。歌詞カードや解説を合わせて読むと深まります。
- 編成の違いを味わう】:ヴァイオリンやメロトロン、ハモンドといった音色の使い分けで曲の雰囲気が大きく変わるので、音の細部にも耳を向けてみてください。
ライブと現在の評価
The Strawbsはライブで長年にわたり根強い支持を受けてきました。アルバムの緻密さをライブでも再現する力量と、デイヴ・カウジンズの語り(MC)や曲間の流れ作りがファンに好評です。ジャンル的にはプログやフォークの境界領域にあり、同時代のプログレッシブ・ロックや英国フォークへの影響・関係性を語るうえで重要なバンドの一つと見なされています。
誰に薦めたいか
- フォークの叙情性が好きで、そこにもう少し劇的なアレンジや大きな構成を求める人
- 初期プログレ(Genesis、Camel、Yesなど)やブリティッシュ・フォーク系のアーティストが好きな人
- 歌詞の世界観・物語性を重視して音楽を聴くリスナー
最後に(まとめ)
The Strawbsは「フォークの親しみやすさ」と「プログレの構築性」を併せ持った独自の音楽世界を築いてきたバンドです。商業的なヒットと芸術的志向が混在する点、メンバー交代を経ながらもデイヴ・カウジンズを中心に一貫した美学が保たれている点が彼らの大きな魅力。初めて聴くなら「Bursting at the Seams」や「Hero and Heroine」あたりを入り口に、前後の作品で表情の幅を追いかけると、より深く楽しめます。
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参考文献
- Strawbs - Wikipedia
- The Strawbs Official Website
- Strawbs — AllMusic
- Strawbs — Prog Archives
- Strawbs — Discogs


