Goblinの映画音楽レコード徹底解説:厳選盤とリイシュー選びのコレクター必携ガイド

はじめに — Goblinという存在

イタリアのプログレ/ロック・バンドGoblinは、1970年代を中心に映画音楽シーンへ強烈な印象を残したグループです。特にダリオ・アルジェントらイタリアン・ホラー映画とのコラボレーションで知られ、シンセとフルバンド編成を融合させたダークで不穏なサウンドは、映画本編と切っても切れない一種の「キャラクター」として愛されています。本コラムでは、コレクター/リスナー視点で“買っておきたい”レコードを厳選し、それぞれの魅力や選ぶ際のポイント、リイシュー事情や注意点まで深掘りして解説します。

Goblinを聴く前に押さえておきたい基礎知識

  • 映画音楽=サウンドトラックが中心。バンドの代表作は多くが映画サントラとして発表されています。

  • メンバー構成の変遷と派生の存在。オリジナル・ラインナップによる作品と、後年にメンバーや名前をめぐる分岐があるため、裏表記やクレジットを確認することが重要です(例:Claudio Simonetti名義のプロジェクトや「Goblin Rebirth」等)。

  • オリジナル盤(イタリア初出)がコレクターズ・アイテムになりやすい一方、近年は専門レーベルのリイシューも多数出ているため、音質やライナーの充実度で選ぶ楽しみがあります。

おすすめレコード(厳選)

Profondo Rosso (Deep Red) — 1975

おすすめ理由:Goblinを代表する“出発点”であり、劇中のテーマがバンドの代名詞となった作品。ジャズ的ピアノ、ヘビーなギター、シンセの不穏さが混在する構成で、映画音楽としてもロック作品としても聴き応えがあるアルバムです。

  • 代表曲:「Profondo Rosso(Main Theme)」はメランコリックでありながら緊迫感がある名旋律。

  • レコ盤選び:オリジナルのイタリア盤(初出)はコレクター価格がつくことがあります。近年のリマスター盤はノイズが少なく聴きやすい反面、音づくり(EQやダイナミクス)は版によって差があるため、試聴できるなら聴き比べを推奨します。

  • 聴きどころ:序盤のテーマの反復とアレンジ変化、クライマックスに向けた緊張の高め方。

Suspiria — 1977

おすすめ理由:Goblinが最も広く知られるきっかけとなった傑作サウンドトラック。妖しくも美しいメロディと、合唱的な要素、効果音的なサウンドデザインが融合した極めて独創的な一枚です。ホラー映画の音楽表現の可能性を大きく押し広げた作品でもあります。

  • 代表曲:「Suspiria」メインテーマは不朽の名曲。短いフレーズの反復で深い不安感を作る手法が印象的。

  • レコ盤選び:オリジナルCinevox盤は人気が高くプレミアがつく場合があります。近年は国内外で高品質なリイシュー(リマスター+ボーナス収録)も出ているため、付属の解説や音源出典を確認すると良いです。

  • 聴きどころ:楽曲のミニマルさとテクスチャの緻密さ、映画映像と結びついた“視覚的”な音作り。

Dawn of the Dead (Zombi) — 1978

おすすめ理由:ジョージ・A・ロメロ監督の名作(イタリア版タイトルは「Zombi」)に提供したサウンドトラック。前述の二作とは色調が異なり、より実験的かつロック寄りのアプローチが光ります。映画音楽の枠を超えてバンド作品として楽しめる点が魅力です。

  • 代表曲:映画の緊張を支えるインスト群が中心。場面ごとのスコアの役割が明確で、サントラ単体でもドラマ性が高いです。

  • レコ盤選び:オリジナル盤と再発盤で収録曲・トラック順に違いが出ることがあるので、購入前にトラックリストの確認を。

Tenebrae (Tenebre) — 1982

おすすめ理由:80年代の電子音響/ニュー・ウェイヴの影響が色濃く出た作品。アルジェント作品群の中でも時代色が強く出ており、シンセワークやリズム・セクションの音作りに80年代的なエッジが感じられます。

  • 代表曲:タイトル曲はシンプルなリフと不穏なメロディの組合せが印象的。映画のスリラー性を増幅させる役割を果たしています。

  • レコ盤選び:80年代以降の制作物はオリジナル・プレスの入手難度が比較的低い場合もありますが、当時のミックス/マスタリングの風合いを楽しみたいならオリジナルに価値があります。

その他注目作・コンピレーション

オリジナルの映画サントラ以外にも、未発表曲やライブ音源、編集盤などがコレクターズ市場に出回ることがあります。またメンバーによるソロ・プロジェクトやリユニオン盤も複数存在するので、求める「サウンド像」に合わせて広く探すと面白い発見があります。

購入時のチェックポイント(音質以外)

  • クレジット表記:バンド名・個々の作曲者・録音年を確認。特に近年の再結成や派生プロジェクトではクレジット表記が紛らわしい場合があります。

  • 盤のバージョン:オリジナル盤、国内盤、海外再発、公式リマスター、ブート(非公式)などが混在。公式リイシューは音源由来やライナーがしっかりしているケースが多いです。

  • 収録曲の差異:ボーナストラックや未使用音源の有無、トラック順の違いなどをチェック。

  • 付属物:オリジナルLPでは映画パンフレットの別刷り、インナースリーブや英語/イタリア語のライナーが付く場合があり、コレクター価値に影響します。

どのエディションを選ぶべきか?(ケース別の指針)

  • まずは「サウンド重視」:近年公式にリマスターされたリイシューを。ノイズが抑えられ、EQ処理も聞きやすくなっていることが多いです。

  • コレクション性を求めるなら:オリジナル・イタリア盤(Cinevox等)を探す。ただし高価・入手困難な場合が多いので、信頼できる出品かどうかを確認してください。

  • ディープな資料性を求めるなら:拡張版やデラックス・エディション(未発表音源や詳細ライナー付)がおすすめ。

聴く楽しみ方の提案

Goblinの音楽は映画と一体化している部分が大きいですが、サントラ単体でも「物語性」や「場面転換」を感じられる構成になっています。アルバムを通してドラマを追うように聴くと、個々の短いトラックの連なりが映像的に響き、発見が多いです。お気に入りの一枚を見つけたら、その映画本編(可能なら複数版)と照らし合わせてみると、より深い楽しみ方ができます。

最後に(注意点)

Goblinのディスコグラフィは意外と複雑で、クレジットやタイトルの表記ゆれ、複数の再発形態があります。購入前にリリース情報(年、レーベル、トラックリスト)を必ず確認することをおすすめします。また、近年はライセンス再発が増えており、音質や付属情報の充実度はエディションごとに大きく異なります。

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参考文献