The Pop Group おすすめレコード徹底解説|Y(1979) から Citizen Zombie までの聴き方とプレス差を完全網羅
イントロダクション
英国ブリストル出身のThe Pop Groupは、パンク/ファンク/ノイズ/ダブ/政治的スピーチが混ざり合った強烈なサウンドで1977年後半から活動を始めたバンドです。短期間の活動ながら残した音源は、ポストパンク以降の多くの先鋭的ミュージシャンに影響を与え続けています。本稿では、同バンドの「レコード」として特におすすめしたい作品を選び、音楽的な位置づけ、聴きどころ、コレクション上の注目点(プレスやバージョンの違い)などを深掘りして解説します。
簡潔な背景と音楽性の特徴
The Pop Groupはマーク・スチュワートの激しいボーカルを中心に、ノイズ的なギター、突き刺すようなホーンやサックス、ファンク由来のリズム、そして時にダブ処理を施したミックスを融合させた音像が特徴です。政治的メッセージや社会批判を前面に出した歌詞、実験的で断片的な構成は、当時のロックの常識を壊し、ポストパンク/ノーウェーブ/実験音楽の新たな地平を切り開きました。
おすすめレコード(必聴ディスク)
Y(1979)
デビュー・アルバムにあたる本作は、彼らの多面性が最も凝縮された一枚。パンクの衝動とファンク/ダブの反復、アヴァンギャルドなノイズが同居しています。代表曲「She Is Beyond Good and Evil」や「Thief of Fire」など、攻撃的かつ実験的なトラックが並び、聴く者を一気に引き込む力があります。
聴きどころ:マーク・スチュワートの即興的とも言えるシャウト、断片的なギターリフ、曲中でのダブ処理や急展開。ポストパンクの原点を感じられる作品です。
コレクションの観点:初期プレスは入手難度が高くプレミアがつくことがあります。再発盤でもマスタリングやジャケットの仕様が異なるため、複数バージョンを聴き比べる価値があります。
For How Much Longer Do We Tolerate Mass Murder?(1980)
問題提起をタイトルにしたこの作品は、Yとは別の角度でより政治的・直接的な痛烈さを持っています。実験的な編集や短いインタールード的な曲も含まれ、聴き手に問いかけ続ける装丁になっています。バンドの怒りと切迫感が前面に出た名作といえます。
聴きどころ:短いトラックの断片が連続する構成、ノイズとファンク的ビートの対比。メッセージ重視の歌詞に注目してください。
コレクションの観点:オリジナルはミニ・アルバム扱いで複数形態が存在します。収録曲の差異やシングル版との違いに注目。
Singles & early releases(シングル群/コンピレーション)
「She Is Beyond Good and Evil」「We Are All Prostitutes」といったシングルはバンドを象徴する代表曲で、シングル音源独特の荒々しさや短期集中性が魅力です。オリジナル7インチはコレクターズアイテムとして人気がありますし、シングル集や初期音源をまとめた編集盤も、入門用に適しています。
聴きどころ:シングルならではの尖ったアレンジ、ステートメント性の強い歌詞。アルバム版とシングル版でミックスや演奏が異なることがあるので比較が面白いです。
Citizen Zombie(2015)
再結成後に発表されたスタジオ作で、当時の政治的混迷や不安を受けた現代的な音像が提示されています。往年のアグレッシブさを残しつつ、洗練されたプロダクションと現代的なアプローチが融合しており、「復活作」として高い評価を受けました。
聴きどころ:旧来の衝動的要素と現代のサウンドメイクの共存。新規リスナーにはここから入るのもわかりやすいです。
コレクションの観点:再発や限定盤のカラーヴァイナルなどバリエーションがあるので、ジャケットや封入物の違いもチェックすると良いでしょう。
Honeymoon on Mars(2016)
さらに実験色を押し出した再結成期の作品。サウンドスケープ志向が強く、ノイズや電子的処理、ダブの要素が深化しています。The Pop Groupの音楽的探究心が現在進行形であることを示す一枚です。
聴きどころ:アンビエント的な展開と突発的な騒音の衝突。アルバム全体を通した流れで聴くと独特の世界観が見えてきます。
曲ごとの「聴き方」ガイド(代表曲ピックアップ)
She Is Beyond Good and Evil — 冒頭からの衝撃的なリズムとボーカル。歌詞のアフォリズム的なフレーズに注目しつつ、ギターとベースの不協和音的な絡みを楽しんでください。
We Are All Prostitutes — 反資本主義・反消費主義の宣言とも取れるストレートなタイトルと歌詞。繰り返されるフレーズの中にあるリズムのグルーヴ感を体感するのが鍵です。
Thief of Fire / Splinter in Your Eye(曲による) — ノイズとメロディが共存する瞬間が印象的。アレンジの隙間にあるディテール(パーカッションの響き、加工されたコーラス)に耳を傾けてみてください。
どのプレス/バージョンを選ぶべきか(初心者→中級コレクター向けアドバイス)
まずは内容を知るために再発/コンピレーションで音質・曲順を把握するのが手堅い方法です。特に初期の音源はオリジナル盤が高額になるケースが多いため、再発でサウンドを掴んでからオリジナル狙いに移るのがおすすめです。
オリジナル盤を探す場合はジャケット仕様やレーベル表記(プレス国やマトリクス)に注意。初回盤はジャケットや帯、インナーの仕様が異なることがあり、コレクター価値が変わります。
再結成以降の作品は現代的なマスタリングが施されているため、サウンドのクリアさを重視するなら新しいプレス/リマスター盤が聴きやすいことが多いです。ただし、古いアングラ感を好むならオリジナルの荒削りな質感が魅力になります。
関連アーティスト・フォローアップ
メンバーのソロ活動(例:マーク・スチュワートのMaffiaプロジェクトなど)は、ポストパンク以降の実験的ダブ/電子音楽への橋渡しをする良質な入口です。
同じブリストルや70〜80年代のポストパンク周辺(Public Image Ltd., Gang of Four, Liquid Liquid 等)を並べて聴くと、The Pop Groupの独自性と影響関係がより明確になります。
購入時のチェックポイント(盤や封入物)
ジャケットのコンディション(角潰れ・変色)、インナーや歌詞カードの有無。
盤のセンターホール周りの摩耗、ラベル刻印(初回プレスかどうかの目安)。
リイシューではボーナストラックや別ミックスが追加されることがあるため、収録内容の違いを確認する。
まとめ:何を買うべきか
初めてThe Pop Groupを聴くなら、まずは「Y」と主要シングル(「She Is Beyond Good and Evil」「We Are All Prostitutes」)を押さえるのが最短ルートです。現代的なアプローチを知りたいなら「Citizen Zombie」「Honeymoon on Mars」へ進むと、過去と現在を繋ぐ彼らの音楽的連続性が見えてきます。コレクションとしては、オリジナル盤とリイシュー盤の双方を持つことで、音やマスタリングの違い、歴史的な質感の差を楽しめます。
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参考文献
- The Pop Group — Wikipedia
- The Pop Group — Discogs(検索結果)
- The Pop Group — Pitchfork(検索結果/レビュー等)
- The Pop Group — Rough Trade(検索)


