Spacemen 3 レコード徹底ガイド|初心者向けおすすめ5枚とオリジナル盤の選び方・聴き方
イントロダクション — Spacemen 3 をレコードで聴く価値
Spacemen 3 は1980年代イギリスのサイケデリック/スペース・ロックを代表するバンドで、Peter Kember(Sonic Boom)とJason Pierce(J. Spaceman、のちの Spiritualized)を中心に活動しました。ミニマルで持続するドローン、反復的なギター・フレーズ、薬理的なイメージを帯びた歌詞──これらが混ざり合って生まれる濃密な音像は、アナログ盤で聴くとより有機的で深く感じられます。本コラムでは、初心者からコレクターまで楽しめる「おすすめレコード」を選び、各作品の背景、聴きどころ、レコードを選ぶ際のポイント(再生・保管・メンテナンスに関する説明は除く)を掘り下げます。
おすすめレコード一覧(押さえるべき5枚)
- Sound of Confusion(1986)
- The Perfect Prescription(1987)
- Playing with Fire(1989)
- Recurring(1991)
- 代表シングル&初期EP(編集盤やシングル集を含む)
1. Sound of Confusion(1986)
デビュー・アルバム。初期のSpacemen 3は原始的なサイケとガレージ、パンクの影響を色濃く残しており、その荒々しさとループ感が魅力です。ここには初期のドローン志向や、シンプルで耳に残るリフが詰まっています。
- 聴きどころ:荒々しいギターのミックス感、初期ならではの実験性と即興性。
- 代表曲(例):バンドの初期の衝動を感じさせるナンバー群。デビュー期の音像を確かめたい向きに最適。
- レコード選びのポイント:オリジナル・プレス(Glass Recordsなどの初期プレス)と詳細な再発が多数あるため、ジャケット印刷や見開きのインサートの有無で年代判別するのがおすすめ。
2. The Perfect Prescription(1987)
Spacemen 3 の名盤と評されるコンセプト・アルバム。薬物体験の“導入→頂点→回復”を意図した構成があり、繊細なメロディと浮遊感のあるサウンドスケープが特徴です。バンドの音楽性がより洗練され、ドラマ性を帯びてきた重要作。
- 聴きどころ:「Come Down Easy」などのメロウなナンバーと、全体を通じた半夢半醒の流れ。静と動の対比が美しい。
- 代表曲:Come Down Easy(アルバム中でも象徴的な曲)。
- レコード選びのポイント:オリジナル・Glass Records盤はコレクターズアイテム。後年のリマスターや2LP拡張エディションも音源の収録順やボーナストラックが異なるので、自分が求める体験(オリジナルの流れを重視するか、追加音源を楽しむか)で選ぶと良い。
3. Playing with Fire(1989)
よりソリッドでブルースやゴスペルの要素を取り入れた傾向が強く、Spacemen 3 の“ラスト・イズム”とも言える作品です。音の厚みが増し、ポップなメロディも見え隠れするため、入門用としても適しています。
- 聴きどころ:エフェクトを多用したギターサウンドと、反復による高揚感。バンドのステージ感をそのまま持ち込んだような生々しさ。
- 代表曲:シングル曲を含めたアルバム曲群は、のちのSpiritualizedやSonic Boomの方向性にもつながる。
- レコード選びのポイント:Fire Recordsからの初出盤と様々な再発があるため、マトリクス刻印やレーベル面を確認。特典の色違いや限定盤が出回っているので、コレクション性を重視するなら見極めを。
4. Recurring(1991)
解散前後の編集的な側面を持つアルバムで、シングル曲、未発表曲、再編集トラックなどが混在します。バンド解体の兆候やメンバーの方向性の違いが音に表れており、Spacemen 3 の総体的な断片を味わえる一枚です。
- 聴きどころ:多様な素材が並ぶため、断片的に別の時期や実験の息遣いが感じられる。ファン向けの深掘りアイテム。
- レコード選びのポイント:初回リリースと後年の再発ではトラックリストが異なる場合があるため、所収されている曲目を事前に確認すること。
5. 代表シングル&初期EP(編集盤を含む)
Spacemen 3 はアルバム以外にも短いシングルやEPで重要な発見があるバンドです。特定のシングル・ヴァージョンや別ミックスがファンの間で高く評価されることが多く、編集盤や7インチのオリジナルはコレクターズアイテムになりやすいです。
- 聴きどころ:シングル・ミックスはアルバム版とは違った音像や編集が施されていることがあり、バンドの多面性を知る手がかりになります。
- レコード選びのポイント:7インチ/12インチのイニシャル・プレスは封入物や面の刻印で識別可能。限定カラー盤やプロモ盤も存在します。
録音/制作面から見る聴きどころ
Spacemen 3 の魅力は単曲の良さだけでなく、アルバム全体を通した空気感や持続する「一種の儀式性」にあります。曲がループし、音色が微妙に変化していく過程を楽しむこと。アルバムはコンセプトや流れを重視して作られているため、可能であれば当時のオリジナルな収録順で聴くことをおすすめします。
レコード(盤)を選ぶときの注意点(音質・版元に関するポイント)
- オリジナルと再発の差:初期プレスはマスタリングやテープの質感、ミックスのニュアンスが異なることがあるため、音の“質感”を重視するならオリジナル盤を探索する価値があります。一方で公式リマスターや拡張盤はノイズ除去や追加音源を含む利点があります。
- マトリクスとレーベル確認:プレス元・マトリクス(ランアウト刻印)・帯やインサート類の有無で版を判別できます。通販やオークションで購入する際は写真で確認を。
- 編集盤・コンピレーション:名盤の別テイクやレア音源を集めた編集盤も多いので、曲目リストを確認して重複を避けると良いです。
入門者向けの聴き方の提案(アルバム単位での楽しみ方)
- まずは The Perfect Prescription を一通り通して聴く:コンセプト性と名曲がまとまっているので、バンドの核心に触れられます。
- 次に Playing with Fire:音像の厚みやバンドのポップ/ブルース的側面を確認。
- デビュー作 Sound of Confusion やシングルで初期の荒々しさや実験精神に戻ると、バンドの発展がより鮮明になります。
まとめ
Spacemen 3 は短い活動期間ながらも、いまなお強い影響力を持つバンドです。アナログ盤で聴くことで、リバーブやテープ感、演奏の温度がより直に伝わってきます。まずは「The Perfect Prescription」「Playing with Fire」「Sound of Confusion」を押さえ、興味が湧いたらシングルや編集盤で周辺のレア音源を追いかけるのが王道です。
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参考文献
- Spacemen 3 — Wikipedia
- Spacemen 3 — Discogs(ディスコグラフィ、各プレス情報)
- Spacemen 3 — AllMusic(レビューとディスコグラフィ)
- Fire Records(Playing with Fire / Recurring のリリース元の情報)


