Earth, Wind & Fire(EWF)とは?プロフィール・歴史・サウンドの魅力と代表曲・名盤ガイド
Earth, Wind & Fire — プロフィールと歴史概観
Earth, Wind & Fire(以下EWF)は、1969年にシカゴでモーリス・ホワイト(Maurice White)を中心に結成されたアメリカの音楽グループです。ジャズ、ソウル、ファンク、R&B、ポップ、さらにはアフリカ音楽の要素を融合させた独自のサウンドで、1970年代から80年代にかけて世界的な成功を収めました。代表的メンバーには創設者のモーリス・ホワイト、ファルセットで知られるフィリップ・ベイリー(Philip Bailey)、ベースのヴァーディン・ホワイト(Verdine White)、パーカッション/ヴォーカルのラルフ・ジョンソン(Ralph Johnson)らがいます。
音楽的特徴とサウンドの魅力
EWFの音楽の魅力は、ジャンルの壁を越えた“融合”と高い音楽性にあります。以下の要素が特に特徴的です。
- 多層的アレンジメント
ホーン、ストリングス、キーボード、ギター、複数のパーカッションが緻密に重ねられ、各パートが互いに呼応することで厚みのある音像を作ります。商業性を維持しつつジャズ的な和声感も取り入れているため、耳に残るメロディと洗練されたコード進行が両立しています。
- 特徴的なホーン・セクション
タイトでパンチのあるホーン・リフはEWFの“顔”のひとつ。ホーンは単なるアクセントではなく、リズムやメロディの一部として機能し、曲のダイナミクスを形成します。
- ヴォーカルとハーモニー
フィリップ・ベイリーの高いファルセットと、バンド全体で作るコーラスの密度が特徴的です。ゴスペル的な呼応(コール&レスポンス)やドラマチックなブレイクを織り交ぜ、感情表現の幅が広い。
- リズムとグルーヴ
ヴァーディンのアクティブなベースライン、複数のパーカッションやギターの刻みが生む独特のグルーヴ感。ファンクのキレとダンス・ミュージックの躍動性を兼ね備えています。
- アフリカ由来の音色(カリンバなど)
モーリス・ホワイトが取り入れたカリンバ(親しみやすくも異国的な音色)は、楽曲に温かく独特な“色”を与え、グループのアイデンティティの一部となりました(例:「Kalimba Story」など)。
- 精神性/ポジティブなメッセージ
愛、団結、自己啓発、精神的成長といったポジティブなテーマを歌詞に据え、聴衆を鼓舞する歌が多いことも特徴です。古代エジプト的モチーフや宇宙的イメージをビジュアルや歌詞に取り入れ、スピリチュアルで壮大な世界観を提示しました。
代表曲と名盤(おすすめリスト)
ここではEWFを理解するうえで押さえておきたい主要アルバムとシングルを紹介します。
- That's the Way of the World(1975)
アルバムと同名の楽曲や「Shining Star」を含む、EWFの商業的・芸術的ブレイクスルー作。ソウルフルでありながら緻密なアレンジがうかがえます。
- Gratitude(1975)
ライブ録音とスタジオ曲を組み合わせた作品で、ライブのエネルギーとスタジオの洗練が同居しています。「感謝」をテーマにした構成も印象的です。
- All 'n All(1977)
「Fantasy」などを収録。ラテンや世界音楽的な色合いも強まり、サウンドの幅を広げた一枚です。
- I Am(1979)
「Boogie Wonderland」(The Emotionsとの共演)や「After the Love Has Gone」など、ディスコ/ポップ寄りのヒットを多数収録したアルバム。
- Raise!(1981)
「Let's Groove」など、1980年代のダンス・サウンドに対応したキャッチーな楽曲が目立ちます。
- 代表的シングル
- September — 永遠の定番、ダンスフロアでの人気曲
- Shining Star — ロック/ソウル双方での成功を示したアンセム
- Reasons — フィリップ・ベイリーのファルセットが際立つバラード
- Boogie Wonderland — ダンス・クラシック(The Emotionsと共演)
- Let's Groove — 80年代のクラブ・ヒット
ライブとステージングの魅力
EWFのライヴは“音楽の見せ方”にも長けています。衣装や照明、舞台演出にエジプト的・宇宙的モチーフを取り入れた華麗なビジュアルで観客を惹きつけ、完璧な演奏技術とコーラスワーク、ダイナミックなホーン&リズム隊のパフォーマンスが一体となって、大規模アリーナにも耐える圧倒的なエンターテインメントを作り上げます。
制作/プロデュース面のこだわり
創設者モーリス・ホワイトはプロデューサーとしての目線が強く、スタジオでのサウンド作りに非常にこだわりました。楽器の配置や音の重ね方、各パートの音色選択まで細部に注意が払われ、ポップなフックと高度な音楽性が高い次元で両立しています。シンセやエレクトリック楽器の導入も早く、時代に合わせたサウンドアップデートを行ってきました。
影響とレガシー
EWFは単なる“ヒットメーカー”以上の影響力があります。
- ジャンルの壁を越えるクロスオーバーの成功例として、後続のR&B/ポップ/ファンク系アーティストに多大な影響を与えました。
- 多くの楽曲がヒップホップやR&Bでサンプリングされ、現代音楽の文脈でも頻繁に参照されています。
- 圧倒的なステージングとパフォーマンスは後続のショー志向のアーティスト(ブラスの使い方や大掛かりな演出など)に影響を与えました。
- 2000年にはロックの殿堂(Rock & Roll Hall of Fame)に殿堂入りするなど、音楽史的にも高く評価されています。
楽曲をより深く楽しむためのポイント
- まずは代表曲のメロディとコーラスワークに注目することで、EWFの“耳に残る”工夫がわかります。
- ホーンとストリングスの役割分担を聴き分けると、アレンジの巧妙さが見えてきます(ホーンはパンチ、ストリングスは色付けや感情表現の補助が多い)。
- ベースとパーカッションの相互作用を聴くと、リズムの積み上げ方やグルーヴ作りの技術が理解できます。
- 歌詞やビジュアルに散りばめられた“スピリチュアル/ポジティブ”な要素は、時代背景と合わせて読むと深みが増します。
まとめ:なぜ今も響くのか
EWFは高い演奏技術、緻密なアレンジ、圧倒的なポップセンス、そして人々を鼓舞するメッセージ性を兼ね備えています。その結果、世代を超えて愛され、さまざまなジャンルのアーティストに影響を与え続けているのです。単なる“懐かしのバンド”ではなく、現代のポップ/R&Bの文脈でも重要な参照点であり続けています。
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参考文献
- Rolling Stone - Earth, Wind & Fire: History and Legacy
- AllMusic - Earth, Wind & Fire Biography
- Rock & Roll Hall of Fame - Earth, Wind & Fire
- Encyclopaedia Britannica - Earth, Wind & Fire
- Official Site — Earth, Wind & Fire


