The Funk Brothers徹底解説:モータウン・サウンドの核を支えたスタジオ・バンドと聴きどころ・名盤ガイド

はじめに — The Funk Brothersとは何者か

The Funk Brothersは、1959年から1972年頃にかけてモータウン(Hitsville U.S.A.)のレコーディング・セッションで無数のヒット曲の演奏を担ったスタジオ・バンドです。クレジットされることはほとんどありませんでしたが、ジェームス・ジェマーソン(b)、ベニー・ベンジャミン/リチャード・"ピストル"・アレン(ds)、アール・ヴァン・ダイク(key)、ジョー・メッシーナ/ロバート・ホワイト/エディ・ウィリス(g)などのメンバーによるグルーヴとアレンジ感覚が“モータウン・サウンド”の中核を成しました。

The Funk Brothers を聴く価値 — 何を見る(聴く)べきか

彼らの演奏は「個人名義のアルバム」というよりも、モータウンのアーティスト作品やコンピレーションを通して体験するのが基本です。とはいえ、後年にリリースされたドキュメンタリー関連盤や、スタジオ演奏をフィーチャーした編集盤は“演奏そのもの”をストレートに味わえるので、レコード蒐集の対象として特におすすめです。

おすすめレコード(入門〜コア・コレクション)

  • Standing in the Shadows of Motown — Original Soundtrack / The Funk Brothers

    1998年のドキュメンタリー映画『Standing in the Shadows of Motown』のサウンドトラック/関連盤。映画自体はメンバーの証言や歴史を追い、サウンドトラックでは生存メンバーとゲスト・シンガーが当時の名曲を演奏・再現しています。スタジオ・ミュージシャンとしての彼らのプレイを“表に出した”重要作で、クレジットや解説も充実しているため入門盤として最適です。

  • Hitsville U.S.A.: The Motown Singles Collection 1959–1971(ボックス/コンピレーション)

    モータウンを代表するシングル群を年代順にまとめた大定番ボックス。個々のアーティスト名義の盤ですが、バックで演奏しているのはほとんどがThe Funk Brothersです。彼らの演奏スタイルの変遷(初期のシンプルなグルーヴから、60年代中盤以降の洗練されたアレンジまで)を俯瞰できます。

  • Selected Motown Artist Albums(代表的なアーティストの名盤)

    The Funk Brothersは多くのアーティスト作品で演奏しています。以下は“彼らの演奏が肝”になっている代表作の一例です(レコードで聴く価値あり):

    • Marvin Gaye — What's Going On(1971): アルバム全体の演奏の密度と感情表現が際立ちます。
    • The Temptations — (シングル)My Girl(およびその時期の作品): 名ベース・ラインとホーンの絡みが分かる好例。
    • The Supremes / Martha & the Vandellas / The Marvelettes 等の60年代中盤のシングル群: モータウン・サウンドの典型を味わえます。

    (注:上記はアーティスト名義のレコードですが、演奏の主軸はThe Funk Brothersです。)

  • Standing in the Shadows of Motown — The Funk Brothers: Instrumental / Session Compilations

    インストルメンタルやセッション音源を集めた編集盤も散見されます。名称は編集盤によって異なりますが、「Funk Brothers instrumental」「Motown instrumentals」等のキーワードで探すと、ベース・イントロやパーカッションの細かい処理、セッションのディテールが分かりやすく聴けます。

  • 再発アナログ(リイシュー)盤

    近年は高音質リマスターやアナログ・リイシューが多く出ています。オリジナル・シングル音源やステレオ/モノミックスの違いで印象が変わるため、気に入った曲は複数盤で聴き比べるのも面白いです(例えばモノ盤のストレートなグルーヴ感、ステレオ盤の解像度の違いなど)。

各レコードの注目ポイント(聴きどころガイド)

  • ベース(ジェームス・ジェマーソン)

    メロディックかつリズミカル。ベース・ラインが楽曲の“歌”を作る例が多いので、低域を意識して聴くと彼の天才ぶりがわかります。

  • ドラム/グルーヴ

    スネアやハイハットの刻み方に個性があり、楽曲ごとの推進力を作ります。曲のテンポや空気感を決める要素として注目してください。

  • ギター/パーカッションのアクセント

    小さなカッティングやパーカッション(ジャック・アッシュフォード等)の細かい効果音が曲に特有の“躍動”を与えています。イントロや間奏の細部に耳を向けると発見が多いです。

  • アンサンブル感

    彼らの最大の強みは「一糸乱れぬバンド感」。ホーン・アンサンブルやリズム隊の呼吸を意識して聴くと、モータウン・サウンドの秘密が見えてきます。

コレクションの楽しみ方・探し方のヒント

  • 初めはドキュメンタリー盤(Standing in the Shadows of Motown)や大手コンピ(Hitsville U.S.A.系)で全体像を掴む。
  • 気に入った曲が見つかったら、そのシングルのオリジナル盤やリイシューの差異(モノ vs ステレオ、テイク違い)を調べて聴き比べる。
  • メンバー個々(ジェマーソン、ヴァン・ダイク、ジャック・アッシュフォード等)に焦点を当てて関連音源やインタビューを読むと、演奏の“狙い”がより理解できる。

注意点

The Funk Brothersは多くの場合クレジットに表れません。ですから「どのレコードに彼らが全員で入っているか」を断言するのは困難で、年代・制作状況によってメンバーの入れ替わりや外部ミュージシャンの参加がある点は留意してください。とはいえ“モータウンの黄金期”の音源を追えば、彼らの演奏に触れることができます。

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参考文献