Cartolaのサンバをレコードで深掘る:入門からコレクター必携の厳選盤と聴きどころ
はじめに — Cartolaとは誰か
Cartola(本名:Angenor de Oliveira、1908–1980)は、ブラジル・リオデジャネイロのサンバ史を語るうえで欠かせない存在です。マンゲイラ(Mangueira)に深く関わり、1930年代から活動を続けながらも、1970年代になって再評価・本格的な録音活動を行い、独特の叙情性と詩的な歌詞で多くの人々の心を掴みました。本コラムでは、レコード収集向けに「どの盤を持つべきか」「各盤の聴きどころと選び方」を中心に深掘りして紹介します。
Cartolaの音楽的特徴と聴きどころ
歌とギターの関係:歌声は柔らかく、節回しはシンプルながら表情豊か。ギター伴奏は装飾を抑え、歌詞の持つ詩情を支える役割に徹しています。
サンバの内部にある「サウダージ」:日常の悲喜や郷愁を丁寧に描く作風で、単なる娯楽音楽を越えた文学性を帯びています。
アレンジの洗練:大掛かりな編成よりも、控えめな伴奏と呼吸感を重視した録音が多く、レコードで聴くと空気感や呼吸が伝わりやすいです。
おすすめレコード(入門〜コレクター向け)
下に挙げるのは「まず押さえておきたい」「深く楽しみたい」観点で選んだおすすめ盤です。入手性や再発の有無、音質の違いなども合わせて解説します。
1. Cartola(1976年、セルフタイトル)
なによりもまずこのセルフタイトル盤(1976年)は、Cartolaが長年の沈黙の後に発表した“正式な”スタジオ作としての意味が大きく、彼の歌と新たな認知を決定づけた作品です。楽曲群は彼の代表作群を含み、歌詞の世界観、声の質感、最小限の伴奏が一体となった名演が並びます。
聴きどころ:詩情に満ちたメロディ、歌い手としての成熟。シンプルな編成ゆえに声のニュアンスや録音の空気感が際立ちます。
盤の選び方:オリジナルのブラジル盤(初版)を探すとコレクション的価値が高いですが、音質面では公式のリマスター再発(CDや近年のヴァイナル再発)が見つかれば、それも安心して楽しめます。希少なオリジナルは針飛びや盤反りのチェックを忘れずに。
2. Cartola(1977年、続編/セカンドアルバム)
1977年に出た続編アルバム(しばしば「Cartola II」として扱われることもあります)は、1976年作の延長線上にありつつ、さらに落ち着いた歌い口と選曲の奥行きを示します。70年代後半のCartola像を補完する重要な一枚です。
聴きどころ:一曲ごとの語り口の完成度、控えめでいて深い伴奏との相互作用。
盤の選び方:こちらもオリジナルLPは日本では入手が難しいことが多いです。音質重視なら信頼できる公式再発を選ぶのが無難。リイシューを購入する際は「マスター情報(リマスター/オリジナル)」を確認してください。
3. 78回転・初期録音の編集盤/アンソロジー
Cartolaは若い頃から78回転盤で多数の作品を残しています。これらを集めた編集盤は、彼の作風の原点や歴史的背景を知るうえで重要です。音色は当時の録音特有の暖かさとノイズ感が混在しますが、歴史資料としての価値は高いです。
聴きどころ:初期の解釈や歌い回し、マンゲイラ時代の楽曲の原型が見えてきます。
盤の選び方:復刻編集盤でノイズリダクションやEQ処理が行われているものと、オリジナルに忠実な無加工の復刻とでは音の印象が異なります。資料性優先か音楽的快適さ優先かで選び分けてください。
4. 厳選コンピレーション(編集盤)
複数のレーベルやリイシューによるベスト/編集盤も多数あります。入門用としては解説が充実した国内外のリイシュー盤や、曲のセレクトが整っているベスト盤が便利です。ただし「ベスト」は編曲やマスタリングの質に差があるため、音源の出所(オリジナルマスターを使用しているかなど)を確認してください。
各盤を選ぶ際のポイント(購入前に確認すべき点)
どのマスターを使用しているか:オリジナルマスター使用 vs デジタルリマスター(リミックスや過度のノイズリダクション)の違いは音像やダイナミクスに影響します。
ライナーやクレジットの有無:解説や歌詞カード、録音年・参加ミュージシャン等の情報は、作品理解を深める助けになります。
プレス国と盤質:オリジナルのブラジル盤は文化的価値が高いですが、最良の音を求めるなら公式の新しいリイシューや専門店によるアナログ再発を検討してください。
収録差異に注意:同じアルバムタイトルでもリージョン(国)によって収録曲が異なる場合があります。コレクション目的ならオリジナル仕様、日常リスニングなら曲揃いの再発を選ぶと良いでしょう。
聴き方の提案 — レコードで深く味わうために
Cartolaの音楽は「言葉」と「間(ま)」が重要です。レコードで聴く際は、声の呼吸、ギターの弦の鳴り、録音の空間感に耳を澄ますと彼の世界観がより立体的に伝わります。詩の一行一行を噛みしめるように聴くと、新たな発見があるでしょう。
コレクションとしての価値と保存のヒント(購入観点)
Cartolaのオリジナル盤は(特に70年代の初回プレスは)熱心なコレクターには人気です。投資目的での購入もありますが、何より「聴くための盤」を選ぶことを優先するのが長く楽しむコツです。購入時は盤の状態、ジャケットの保存状態、付属品の有無(歌詞カード、インナーなど)を確認してください。
代表曲(入門トラック)
「As Rosas Não Falam」— Cartolaを象徴する詩的なナンバー
「O Mundo É um Moinho」— 深い悲哀と人生観が表現された名曲
その他、シンプルな伴奏で歌の魅力が際立つナンバー群
まとめ — どのレコードから始めるべきか
初めてCartolaをレコードで聴くなら、まず1976年のセルフタイトル盤(当該時期のスタジオアルバム)を基点に、その後1977年の続編と初期の78回転録音を聴き比べるのが体系的です。オリジナル盤のコレクションも魅力的ですが、音質と利便性を重視するなら信頼できる公式リイシューを選択するのが実用的です。
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