Mady Mespléの魅力と聴き始めガイド|フランス歌曲・オペラの厳選レコードと聴きどころ

はじめに — Mady Mesplé の魅力

Mady Mesplé(マディ・メスプレ、1931–2020)は、フランスが生んだ代表的なコロラトゥーラ・ソプラノの一人です。透明感と軽やかな高音、フランス語の美しい発音と表現力に優れ、19世紀後半のフランス・オペラから20世紀の歌曲、現代作品まで幅広く歌いました。本コラムでは、Mady Mesplé を聴き始めるのに最適なレコード(LP/アルバム)を中心に、その魅力と各盤の聴きどころを詳しく解説します。

Mady Mesplé を聴く上での基本的なポイント

  • 声質の特徴:軽やかでクリア、細かな装飾や早いパッセージの正確さが魅力。声量そのものは“重厚”ではないため、役柄・曲目の選び方で力を発揮します。

  • レパートリー傾向:Delibes や Gounod といったフランス・オペラ、フランス歌曲(mélodie)、そして20世紀フランス作品への取り組みが特に知られます。

  • 解釈の特色:細部への配慮(フレージング、リズム感、フランス語の語尾処理)により、同じアリアでも“言葉の響き”が活きる歌唱を聴かせます。

おすすめレコード(厳選)と聴きどころ

  • Delibes — Lakmé(ラクリメ)〈全曲/抜粋盤〉
    なかでも「ベルの歌(Bell Song)」は Mady Mesplé の代名詞とも言えるハイライト。高音での伸びや装飾の正確さ、フレーズの軽やかさが際立ちます。オペラ全曲盤であれば歌唱だけでなくオーケストラとのバランスや場面ごとの演出も楽しめますし、抜粋盤やアリア集は“耳慣れ”するには手軽です。

  • フランス歌曲(mélodies)アルバム
    Fauré、Hahn、Poulenc 等を中心とした歌曲集は、Mady Mesplé のフランス語発音と繊細な表現を最も近く感じられるレパートリーです。ピアノ伴奏との対話性、語尾の処理や呼吸の使い方など、歌手としての技巧が細かく聴き取れます。

  • ビヴァルディ〜ラモーなどバロック/古典に接近した録音
    Mesplé はバロックやロマン派以前の短いアリアやシャンソンにも取り組んでおり、器楽的な色彩が強い古楽寄りの編曲と相性が良いです。細かな装飾や音程の正確性、言葉のクリアさが映えるため、古楽好きにもおすすめできます。

  • 20世紀フランス作品/現代曲集
    プーランクをはじめとする20世紀フランス作品や当代作曲家の小品もレパートリーに含まれ、モダンな響きの中での語り口や色彩感が楽しめます。オーケストラ伴奏の名演や室内楽的な録音、放送ライヴ録音などで違った側面が現れます。

  • アリア集・名場面集(コンピレーション/ベスト盤)
    初めて聴くなら編集盤やベスト盤が便利です。代表的なハイライトを短時間で把握できるほか、年代の異なる録音を並べて聴くことで歌手の成熟や表現の変化を追う楽しみもあります。

  • ライヴ録音・放送音源コレクション
    スタジオ録音とは異なる緊張感や舞台上のコミュニケーションを味わえます。ステージでのアクションや語りが音に反映され、臨場感ある Mesplé を堪能できます(放送音源は音質や編集の程度に差があるので注意)。

盤選びの実務的アドバイス(内容重視)

  • 「オリジナルLP(初出盤)」は当時のキャスト/演奏・解説を追体験できるという魅力があり、写真や解説が充実していることが多いです。一方で「リマスターCD/デジタル再発」は音質改善や追加の解説で聴きやすくなっている場合があります。どちらを選ぶかは音質重視か資料性重視かで判断するとよいでしょう。

  • コンピレーション盤は入門に便利ですが、曲目の出自(オペラ抜粋か録音年代)をチェックしてください。特に同じ曲でも伴奏やテイクによって印象がかなり変わります。

  • 「ライブ音源」や「放送録音」は一発勝負の緊張感や独特の雰囲気が魅力ですが、音質差や編集の有無を確認して購入を検討すると安心です。

  • まずはストリーミングやYouTube 等で代表的なアリアや歌曲を試聴し、気に入ったら該当アルバムの入手を検討する、という流れが効率的です。

各盤の「聴きどころ」まとめ(短く)

  • Lakmé:高音のキラリとした輝き、装飾の鮮やかさ。

  • フランス歌曲集:言葉の処理、微妙なニュアンス、ピアノとの対話。

  • バロック〜古典系録音:装飾の正確さと古典的美感。

  • 現代/20世紀曲:色彩感と語り口の現代的解釈。

  • ライヴ録音:臨場感と舞台上の即興的な表現。

聴き始めのおすすめプラン

  • Step 1:代表的なアリア(例:「Bell Song」など)を短時間で聴いて声質の第一印象を掴む。

  • Step 2:フランス歌曲の小品集で語りやニュアンスの細部を確認する。

  • Step 3:興味が湧いた分野(オペラ全曲、現代曲、ライヴ)に深掘りしてアルバムを一本選ぶ。

最後に

Mady Mesplé の魅力は、「美しい高音」だけでなく、言葉の処理や細やかな音楽的判断にあります。フランス語歌曲やDelibes のような作品でその真価がよく現れますので、まずは代表的なハイライト集と歌曲集を聴いて、気に入ったら全集やライヴ録音へと広げてみてください。

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参考文献