Robbie Robertson徹底解説:The Bandの名作からソロ作品まで網羅、おすすめアルバムと聴き方ガイド
はじめに — Robbie Robertsonとは
Robbie Robertson(ロビー・ロバートソン)は、カナダ出身のギタリスト/ソングライターで、1960〜70年代に中核をなしたロック・グループ「The Band」の主要ソングライターとして名を馳せ、その後ソロ/コラボレーションや映画音楽制作でも独自のキャリアを築きました。アメリカ南部やカナダ先住民の影響、映画的な語り口、濃密なプロダクション感が特徴で、ロック/ルーツ・ミュージックの深みを現代に伝える重要な存在です。
おすすめレコード解説(深掘り)
1. The Band — Music from Big Pink (1968)
なぜ聴くべきか:The Bandの最初期名作で、ロバートソンの初期ソングライティングが際立つアルバム。フォーク、カントリー、R&B、ゴスペルが混ざり合った“ルーツ回帰”的なアプローチが聴きどころです。バンド全体のアンサンブル感と、人間味のある語り(歌)が強く出ています。
- 代表曲:The Weight(邦題「ウェイト」)
- 聴きどころ:アンサンブルボーカル、スライドやリズム・ギターの有機的な絡み、素朴だが深い歌詞世界
- おすすめポイント:ロバートソン作/共作の楽曲が多く、後の作品群を理解するための出発点になる
2. The Band — The Band (1969)
なぜ聴くべきか:通称“ブラウン・アルバム”。ロバートソンの名曲群が集中し、アメリカの歴史や個人的物語をドラマティックに歌う作風が確立された一枚です。バンドとしての完成度も高く、ロック史の金字塔に数えられます。
- 代表曲:Up on Cripple Creek、The Night They Drove Old Dixie Down、King Harvest (Has Surely Come)
- 聴きどころ:ストーリーテリング型の歌詞、スワンプ/ルーツ感、メンバー間のコール&レスポンス
- おすすめポイント:ロバートソンの“歴史を語る”才能、曲作りの幅を味わえる
3. The Band — The Last Waltz (サウンドトラック / 1978)
なぜ聴くべきか:解散コンサート(および同名の映画)を収めた作品。ロバートソンがバンドの軸として残した実演記録であり、ゲストを迎えた多彩な演奏の中でロバートソンの曲と演奏が輝きます。ライブならではの熱量と余韻が楽しめます。
- 代表曲:The Weight(ライブ)、ロバートソン作のナンバーの演奏全般
- 聴きどころ:ステージ上の相互作用、スタジオ作品とは異なる荒削りな魅力
- おすすめポイント:ロバートソン作の“本領”がライヴでどのように発揮されるかを知る絶好の資料
4. Robbie Robertson — Robbie Robertson (ソロ・デビュー, 1987)
なぜ聴くべきか:ソロ1作目は、Daniel Lanoisの空間的でアンビエント寄りのプロダクションを得て、ロバートソンの語りとムード志向の作風が大きく開花しました。ストーリーテラーとしての成熟とモダンなサウンドプロダクションの融合が魅力です。
- 代表曲:Somewhere Down the Crazy River、Showdown at Big Sky、Broken Arrow(アルバムを代表する語りの強い曲)
- 聴きどころ:電子的な空間処理と生楽器の併存、語り/コーラスのレイヤー、映画音楽的な瞬間
- おすすめポイント:ロバートソンの“映画的語り”がソロで如何に昇華されたかを感じられる作品
5. Music for The Native Americans / Robbie Robertson and the Red Road Ensemble (1994)
なぜ聴くべきか:ロバートソンのルーツ(先住民的要素)に焦点を当てたプロジェクトで、伝統音楽的要素と現代プロダクションが融合します。文化的な問いかけと音楽的実験が両立した意欲作です。
- 代表曲:Some notable tracks include pieces that blend chant-like vocal work with modern arrangements(アルバム全体がテーマ作)
- 聴きどころ:先住民の声や伝統楽器の扱い、テーマ性の強いコンセプト
- おすすめポイント:文化的背景を踏まえた音楽の作り方、ロバートソンの多様性を知るための重要作
6. Contact from the Underworld of Redboy (1998)
なぜ聴くべきか:エレクトロニクスや現代的なビートを積極的に取り込んだ実験的作品。伝統とモダンの接点をさらに推し進めた音像が試みられており、ロバートソンの作家性の幅を示すアルバムです。
- 代表曲:アルバム全体が一つのサウンド・ステートメントとして配置されているため、通して聴くことを推奨
- 聴きどころ:サンプリング、エレクトロニクス、従来のロバートソン像とは異なるサウンドメイク
- おすすめポイント:伝統回帰だけでなく、再解釈・更新を続けるロバートソンの創造性を感じたい人向け
7. How to Become Clairvoyant (2011)
なぜ聴くべきか:T Bone Burnettがプロデュースし、ゲストにEric ClaptonやSteve Winwoodらが参加した比較的ポップな傑作。長いキャリアを経たロバートソンの“円熟”が伝わる楽曲群と、暖かいプロダクションが魅力です。
- 代表曲:アルバムタイトル曲を含むミディアム〜スロー中心の曲が中心
- 聴きどころ:生演奏の温度、シンガーソングライターとしての落ち着いた語り口
- おすすめポイント:ロバートソンの晩年作品としての完成度と、名うてのゲスト陣による厚み
聴き方・楽しみ方のヒント
- ストーリーテリングに注目する:ロバートソンの曲は歌詞で物語を語るタイプが多いので、歌詞(和訳)を追いながら聴くと世界観が深まります。
- プロダクションの変遷を辿る:The Band期の生っぽさ→1980sのアンビエンス感→90s以降の文化的実験、という流れを時系列で聴くと作家としての変化がよくわかります。
- ライブ音源とスタジオ音源を比較する:The Last Waltzのような映像/ライブ記録とスタジオ録音を交互に聴くと、曲の表情が大きく異なることに驚きます。
- コラボレーションに注目:制作プロデューサーや客演ミュージシャン(例:Daniel Lanois、T Bone Burnett、Eric Claptonら)の色が曲に与える影響が大きいので、その違いを楽しんでください。
盤の選び方(簡単なガイド)
初めて買うなら:入門用としてはベスト盤やThe Bandの代表作(Music from Big Pink、The Band)をまず押さえるのが手堅いです。ソロに入るなら1987年のソロ・デビュー盤と2011年のHow to Become Clairvoyantの系統が分かりやすい。
コレクション欲があるなら:The Last Waltzのオリジナル盤/リマスター盤、ソロ作の初回プレスやリマスター盤(ボーナストラック/ライナーノーツが充実しているもの)を検討すると深掘りが捗ります。
まとめ
Robbie Robertsonは、単なるギタリストやロックの一員ではなく、語り手として、文化と歴史を音で表現する作家です。The Band期の根源的なルーツ感から、ソロでの映画的・民族的な探求、電子的実験まで、その音楽のレンジは広く、どの作品から入っても新しい発見があります。まずはThe Bandのクラシック2作とソロの1987年作、そこから興味に応じて「Music for The Native Americans」や「Contact from the Underworld of Redboy」へと広げるルートをおすすめします。
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参考文献
- Robbie Robertson — Wikipedia
- The Band — Wikipedia
- Music from Big Pink — Wikipedia
- The Band (1969) — Wikipedia
- The Last Waltz — Wikipedia
- Robbie Robertson (1987) — Wikipedia
- Music for the Native Americans — Wikipedia
- Contact from the Underworld of Redboy — Wikipedia
- How to Become Clairvoyant — Wikipedia
- Robbie Robertson — AllMusic


