Bernard Edwards(バーナード・エドワーズ)— Chicを生んだ伝説のベーシスト/ソングライター/プロデューサーの軌跡と影響
Bernard Edwards — プロフィール
Bernard Edwards(バーナード・エドワーズ、1952年10月31日生〜1996年4月18日没)は、1980年代以前のディスコ/ファンク/ポップのサウンドを確立した最重要ベーシスト、ソングライター、プロデューサーの一人です。Nile Rodgers とともにバンド「Chic」を結成し、演奏面だけでなく作曲・編曲・プロデュースでも数々のヒットを生み出しました。彼の作るグルーヴはダンスミュージックの基礎となり、ヒップホップやポップ、ハウスなど現代音楽全般に多大な影響を与え続けています。
音楽的な魅力と特徴
Bernard Edwards の魅力は、単純に「速く弾く」「派手に弾く」などの技巧的要素ではなく、楽曲全体を牽引する“音楽的なベース感覚”にあります。以下がその核となるポイントです。
- グルーヴ重視のフレーズ構築 — 繰り返しの中に少しずつ変化を入れ、聴き手の体を自然に動かさせる力がある。無駄を削いだフレーズでありながら非常に表情豊か。
- メロディとリズムの両立 — ベースラインが単なる低音補完にとどまらず、メロディックな役割も果たす。歌メロやギターリフと絡み合いながら曲のフックを形成する。
- サウンドメイクの巧妙さ — アタック感と丸みを両立したトーン、ピックを使った精密なタッチ、コンプレッションを活かした均一な音量感など、レコーディングでの音作りも洗練されている。
- リズムセクションの“懐の深さ” — ドラマー(特にTony Thompson)との強力な相互作用で“ポケット”を作り出し、そこにギター(Nile Rodgers)のカッティングが乗ることでChic独特の躍動感が生まれる。
代表曲・名盤(簡潔な紹介)
- Chic — C'est Chic (1978)
「Le Freak」などを収録。エッジの効いたディスコ・ポップとバーナードのベースが結実した代表作。
- Chic — Risqué (1979)
「Good Times」を含むアルバム。ベースラインがそのまま文化現象となり、後のヒップホップにもつながる重要作。
- Sister Sledge — We Are Family (1979)
Chicのプロデュース/作曲による傑作。タイトなリズムとキャッチーなコーラスでダンスフロア化を牽引した。
- Diana — Diana (Diana Ross, 1980)
「Upside Down」「I'm Coming Out」などを収録。Chicオーガニゼーションのプロデュースがポップチャートを席巻した例。
プロデューサー/ソングライターとしての力量
Edwards はベーシストであると同時に、楽曲設計者としても卓越していました。以下の点がプロデューサー/作曲家としての持ち味です。
- 楽器間の役割分担が明確で、各パートがぶつからず相互補完するアレンジ。
- ダンスフロアを意識したテンポ感とイントロ・アウトロの作り込み。 DJ にとって取り回しの良い曲構造。
- シンプルながら耳に残るフック(ワンフレーズで曲を覚えさせる力)。
- ポップスやR&B、ロックの要素を横断する柔軟性。アーティストの個性を引き出すプロデュース能力。
影響とレガシー
Bernard Edwards のベースラインは、ディスコの黄金期を超えてヒップホップ、ハウス、ファンク、ポップに直接的な影響を与えました。特に「Good Times」のベースは、初期ヒップホップにサンプリングやフレーズの参照として頻繁に使用され、それが文化的潮流を変えるほどの力を持ちました。また、Chicの音楽性は後のアーティスト(Daft Punk、Jamiroquai、Mark Ronson など)に継承され、2017年にはChicがロックの殿堂に殿堂入りするなど、その貢献が正式に評価されています。
ベースプレイの具体的な聴きどころ(学習ガイド)
Bernard のプレイを聴く際には、次のポイントに注目すると彼の技術と音楽性が見えてきます。
- フレージングの反復と差分 — 同じリフでも小さな変化が入る瞬間(終わり方、装飾音、タイミング)を追う。
- ギターとの対話 — Nile Rodgers のカッティングとのスペース取り(どこでベースが下支えし、どこで主張するか)を比較する。
- リズムの“間”の使い方 — オンビート以外に置かれたニュアンス(シンコペーション)でグルーヴが生まれる。
- サウンドの特徴 — ピッキングのアタック、サステインのコントロール、ミックス内での存在感の作り方に注目する。
人柄と舞台裏エピソード(音楽家としての信頼性)
共演者や関係者の証言では、Edwards は冷静で音楽に対するこだわりが強く、同時に現場での決断力と柔軟性を併せ持つ人物として語られてきました。Chic はメンバー間の緻密なコミュニケーションと強いプロ意識で知られ、彼の存在はその中心にあったとされています。
おすすめの聴き方(プレイリスト構成例)
- 入門:Chic「Le Freak」「Everybody Dance」「I Want Your Love」
- 深堀り:Chic「Good Times」、Sister Sledge「We Are Family」
- 影響を追う:「Good Times」を起点に聞く初期ヒップホップ(例:Sugarhill Gang の「Rapper's Delight」)
- プロデュース作品:Diana Ross「Upside Down」「I'm Coming Out」が収められたアルバム
まとめ
Bernard Edwards は、楽器の名手であると同時に楽曲そのものを設計する才能に長けたアーティストでした。そのベースラインは単なる低音ではなく、楽曲の心臓部として働き、ダンスミュージックの進化を促しました。Chic を中心に生み出された数々の作品は、今なお現代の音楽家にとって教科書であり続けています。彼のプレイをじっくり聴くことで、シンプルさの中にある洗練と強い意志を学べるはずです。
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