クライド・スタッブルフィールドとFunky Drummerを深掘り:ファンクのグルーヴとサンプリング史を学ぶ厳選レコードガイド

序文 — “ファンクの心臓”を刻んだドラマー、クライド・スタッブルフィールドとは

クライド・スタッブルフィールド(1943–2017)は、ジェームス・ブラウンのバンドで「グルーヴの基準」を作り上げたドラマーとして知られます。とりわけ「Funky Drummer」のワンループはヒップホップやサンプリング文化に計り知れない影響を与え、彼の名前は“最もサンプリングされたドラマー”として語られることが多いです。本稿では、クライドのプレイを楽しみ、理解を深められるレコード(オリジナル盤・公式コンピレーション含む)を厳選して紹介します。曲ごとに「ここを聴け」というポイントを示し、彼のドラミングの魅力を掘り下げます。

おすすめレコード(必聴クラシック)

  • James Brown — 「Cold Sweat」(シングル/関連アルバム)

    概要:1967年発表の「Cold Sweat」はファンクの黎明期を代表するトラックのひとつ。クライドの“ミニマルかつ鋭利な”スネアのパターンや、ベースとのロックしたグルーヴが楽曲の中核です。

    聴き所:スネアのタイミング(裏拍のアクセント)とキックの抜き差し。ループ的に繰り返される揺らぎの中で、彼が如何にして“余白(間)”を音楽に作るかに注目してください。

  • James Brown — 「Ain't It Funky」(1970)

    概要:ジャム的要素の強いインスト/短い歌モノが混在するアルバム。ファンクの“ノリ”を多彩に示す楽曲群のなかに、クライドのグルーヴが散りばめられています。

    聴き所:曲ごとに表情を変えるドラムワーク。ハイハットやタムの使い方、ゴーストノートの入り方を追うと、彼の微妙なニュアンスが見えてきます。

  • James Brown — 「Sex Machine」(1970)

    概要:スタジオ・ライブ混合のアルバムで、ジェームス・ブラウンのファンクの“原石”が詰まっています。複数のドラマー(ジョン“ジャボ”スタークスら)との対比で、クライドのパートを味わうことができます。

    聴き所:同じ曲の中でもドラムのフィーリングが曲により変化するので、クライドの持つ“ポケット感”とアクセント付けの対比をチェックしましょう。

  • James Brown / コンピレーション — 「In the Jungle Groove」(1986)

    概要:「Funky Drummer」をはじめ、ジェームス・ブラウンの代表的なファンク曲を集めた編集盤。サンプリングを通じて馴染みのあるドラム・ブレイクを一枚で確認できます。

    聴き所:「Funky Drummer」のブレイクをループで繰り返し聴き、スティックのタッチ、タイミングの微妙な揺らぎ、テンポ感の“立ち上がり”を体感してみてください。

  • シングル/インスト盤 — 「Funky Drummer」トラック単体

    概要:曲単体で聴くと、クライドの一打一打がより明瞭に分かります。もし可能なら複数のリマスターやオリジナル盤で聴き比べてみてください(マイク録りやミックスの違いで印象が変わります)。

    聴き所:ドラム・ブレイク(約20秒〜30秒程度)の「間」と「粒」──シンコペーションの刻み方、ハイハットの開閉、スネアの微妙なレベル差。これが彼の“ダンスさせる力”です。

おすすめレコード(深掘り:聴き比べ、関連作品)

  • James Brown の各種編集盤(ベスト/アンソロジー)

    概要:複数の編集盤は年代順・セッション別に曲を整理してくれるため、クライド在籍期の演奏を時系列で追いやすいという利点があります。

    聴き所:年代ごとの変化(60年代後半→70年代初頭)に注目。彼のドラムがより“削ぎ落とされていく”過程がわかります。

  • ジェームス・ブラウン周辺ミュージシャンの作品(メンバーがスピンオフした盤)

    概要:メンバーやブラス隊、ベーシストなどがリリースしたソロ作やJB's名義の音源にも、クライドの影響が強く現れています。直接参加しているものと影響を色濃く受けている作品の両方をチェックすると、彼の“言語”が広がります。

    聴き所:ベースとの対話、ブラス・アンサンブルに対するドラムの返し方を意識して聴くと、彼のリズム設計が立体的に見えてきます。

聴き方・分析のポイント(プレイヤー/リスナー向け)

  • ゴーストノートとスネアの扱い — クライドの魅力は“音の余白の作り方”です。表拍だけでなく、裏拍や小さなゴーストノートでグルーヴを凝縮している点に着目しましょう。

  • ベースとのロック(ポケット) — ベーシストとの密な相互作用が彼のグルーヴを成り立たせています。ベースラインとスネア/キックの関係を同時に聴き、どの音をグリップしているかを探ってください。

  • マイク/ミックス差を意識する — リマスターや編集盤によってドラムの定位やニュアンスが変わります。可能なら複数ソースを比較して“クライド本来のタッチ”を探るのがおすすめです。

  • ループで反復して分析する — 特に「Funky Drummer」などは短いブレイクを反復して聴くと、スティックの跳ね方、テンポの微妙な揺れ、フィルのクセが浮かび上がります。

なぜ“クライド流”は今も重要なのか

サンプリングやモダンなビートメイキング文化において、クライドの演奏は“生のグルーヴの教科書”と言えます。機械的に均一化されたリズムではなく、「人が叩くことで生まれる微妙なズレ」と「意図的な隙間」が、トラックに生命を与えます。彼の演奏を聴くことは、現代のプロデューサーやドラマーにとってリズム感の根源を学ぶことに他なりません。

まとめ — 初めて彼を聴く人へのロードマップ

  • まずは「Funky Drummer」のブレイクを単体で聴く(反復して体に刻む)。
  • 次に「Cold Sweat」や「Ain't It Funky」などのアルバムで文脈(曲全体の構造)を確認。
  • 編集盤(In the Jungle Groove 等)で、同時期の他トラックと聴き比べ、彼の表現の幅を掴む。
  • 最後に、ベースラインやブラスとの対話を意識して、曲ごとの“役割”の違いに耳を向ける。

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参考文献