クラレンス・クレモンズのサックスが彩るブルース/ロック名盤ガイド|おすすめレコードと聴きどころ
Clarence Clemons(クラレンス・クレモンズ)とは
“The Big Man”という愛称で親しまれたクラレンス・クレモンズは、ブルースとロックを結びつける豪快で人間味あふれるサックス・プレイで知られる、ブルース・ロック界の象徴的サクソフォニストです。特にブルース・スプリングスティーン率いるE Street Bandの核心的メンバーとして、ステージ上での存在感、歌心あふれるソロ、そして曲のドラマ性を高めるトーンで多くの名場面を残しました。
コラムの趣旨と読みどころ
ここでは、レコード(LP)で楽しむことを想定して、クラレンスの個性や代表的なプレイが際立つ「おすすめレコード」をピックアップし、それぞれの聴きどころと文脈を深掘りします。レコードの再生・保管・メンテナンスに関する解説は除外し、音楽的な観点に絞って解説します。
おすすめレコード一覧(深掘り解説)
Born to Run(Bruce Springsteen/1975)
クラレンスの名を一躍世に知らしめたアルバム。特にアルバムのハイライト「Jungleland」は、ストーリーテリング的な楽曲構成の頂点に立つ曲で、終盤にかけてのクラレンスのサックス・ソロはまさに劇的クライマックスそのものです。また「Tenth Avenue Freeze-Out」では歌詞の中で“the Big Man”(=クラレンス)を祝福するような描写があり、楽曲自体が彼の存在を肯定しています。
聴きどころ:
- 「Jungleland」— 終盤のロングソロ、フレーズの選び方と音色の変化。
- 「Tenth Avenue Freeze-Out」— コール&レスポンス的なやり取りとアンサンブル内でのアクセント付け。
Live/1975–85(Bruce Springsteen & The E Street Band/1986)
ステージ上でのクラレンスの魅力はスタジオ録音以上に強烈です。本作はその名演を多数収録したライヴ編集盤で、観客との掛け合い、即興の熱、そして“Big Man”のソロ回しを生で体験できる一枚。ライブ特有の伸びやかさとダイナミズムが堪能できます。
聴きどころ:
- ライブでのサックスの“歌う”役割、観客とのインタラクション。
- 曲間の掛け合いやシンガロングを含めた“ステージの物語”としての魅力。
The River(Bruce Springsteen/1980)
重厚で多面的な二枚組作。ポップでキャッチーな曲から深い感情を描くナンバーまで収録する中で、クラレンスは〈曲の色付け役〉として随所に参加しています。バンドの音像を太く、温かくする役割を果たし、シーンや曲調に応じた表現力の幅がよくわかります。
聴きどころ:
- ロックンロール寄りのナンバーでの直球の吹き回しと、バラードでの歌心ある節回しの対比。
- バンド・アンサンブルの中での“飾り”ではなく“語り手”としての存在感。
Born in the U.S.A.(Bruce Springsteen/1984)
商業的に大成功を収めた一枚。アルバム全体のサウンドは大きくポップに編成されましたが、クラレンスのサックスは随所で曲に温度と人間味を与えています。大ヒット群の陰にある叙情性や哀愁を補強する役割に注目です。
聴きどころ:
- ヒット曲群の“裏側を支える”ような配置で、曲ごとの文脈にあわせたトーン選択。
- ポップな生産の中でも生の感覚を残すプレイ。
The Chief(Clarence Clemons/1985)
クラレンス名義のソロ・アルバム。自身のヴォーカルやゲストとの共演を通じて、サックス奏者としてだけでない多面的な魅力を提示しています。ソロ名義ならではの“クラレンス色”を強く感じられる作品です。
聴きどころ:
- サックスを中心に据えつつも、ヴォーカル曲やコラボ曲で見せる表現の幅。
- ソロ作ならではのアレンジ自由度と、フロントマン的な立ち位置での魅力。
Rescue / Red Bank Rockers(Clarence Clemons & The Red Bank Rockers/1983)
クラレンスが中心となって結成したプロジェクト(Red Bank Rockers)による作品。ローカルなニュー・ジャージー色とロック・リズムが融合し、クラレンスのプレイと曲作りが直線的に出たアルバムです。E Street Bandとは異なる、もう少し“ルーツに根ざした”側面を聴けます。
聴きどころ:
- 地元シーンを背景にした朴訥さと熱量。
- ソロ作品としての自由なアプローチとサックス表現。
The Edge of Glory(Single/Lady Gaga featuring Clarence Clemons/2011)
世代を越えたコラボレーションの好例。レディー・ガガのポップ曲にクラレンスのサックスが加わることで、曲にクラシックなロックの香りと人間味が増しています。晩年のクラレンスがポップの世界でどれだけ自然に溶け込めるかを示す一曲で、彼のキャリアの幅を知るうえで興味深い作品です。
聴きどころ:
- ポップなトラックに対する“生の管楽器”の効力。
- 世代差を超えた相互作用と、クラレンスの最晩年のプレイの一端。
盤選びの観点(音楽的に何を重視するか)
- スタジオ盤で彼のフレーズや音色のニュアンスをじっくり味わいたいなら、オリジナルのアルバム(スタジオ作)を。
- “ステージでの圧倒的な存在感”を味わいたいなら、ライブ音源(Live/1975–85など)は最優先。
- ソロ作や共同プロジェクトを通して“個人の表現”を探るなら、The ChiefやRed Bank Rockers関連のリリースを。
クラレンスのプレイを深く聴くための視点
- 「歌うような」フレーズに耳を傾ける:短いフレーズでもメロディをなぞるように歌う性質がある。
- ダイナミクスの扱い:強く吹くところと控えめに歌うところの差が、曲の劇的効果を担っている。
- 歌と楽器の対話:ボーカルやギターと“会話”するようにフレーズを入れる瞬間が要チェック。
- アンサンブル内での役割理解:単純にソロを取るだけでなく、曲全体の色付け(カウンターラインやリフの補強)をしていることが多い。
まとめ — 何を買うべきかのガイドライン
入門ならまずはBruce Springsteenの「Born to Run」と「Live/1975–85」を。ここで彼の代表的ソロとステージ上の空気感が一気に掴めます。ソロ・プロジェクトやコラボ作品(The Chief、Red Bank Rockers、そしてLady Gagaの“The Edge of Glory”など)に手を伸ばすと、異なる文脈での彼の表現の幅が見えてきます。最終的には「スタジオでの歌心」と「ライヴでの瞬発力」、双方を補完的に聴くことをおすすめします。
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