Steve Jordanのグルーヴを味わう—セッション界の名手が選ぶ必聴レコードガイド

Steve Jordan — グルーヴの職人、セッション界の至宝

Steve Jordan(スティーヴ・ジョーダン)はアメリカのドラマー/プロデューサーで、ソウルフルなフィールと的確なグルーヴで数多くのアーティストのレコーディングやツアーを支えてきました。ロック、ブルース、R&B、ポップスまで幅広いジャンルを自在に横断し、リズム面で作品の骨格を作る“影の名手”として評価されています。本コラムでは、Steve Jordan のプレイが光るおすすめレコードをピックアップし、各盤の魅力とジョーダンの立ち位置を深掘りします。

簡単なキャリア概観

  • 1970〜80年代以降、セッションドラマー/プロデューサーとして活躍。キース・リチャーズ(Keith Richards)やジョン・メイヤー(John Mayer)など、名だたるミュージシャンと長年の協働歴がある。

  • John Mayer Trio の一員としてのライブ活動や、Keith Richards のソロ・プロジェクトでの中心的な役割など、バンド/ソロ両方で重要なポジションを担う。

  • 近年は大物アーティストのツアー/録音における「信頼できる右腕」としての仕事も多く、レジェンド級の現場で重要な役割を果たしている。

おすすめレコード(選定基準:参加の深さ/音楽的影響の大きさ)

以下は「Steve Jordan のカラーが明確に出ている」または「彼の参加がサウンドを決定づけている」と言える作品群です。各盤について、ジョーダンの役割と聴きどころを解説します。

  • John Mayer Trio — Try! (2005)

    参加形態:ドラマー/バンドメンバー(John Mayer, Pino Palladino と共に)

    推薦理由:ライブ感を重視した演奏で、Steve Jordan のタイトで粘るドラミングが前面に出ています。ロック、ブルース、R&B の交差点にあるグルーヴは、ジョン・メイヤーのギター&ボーカルを引き立てながらも独立した存在感を示します。ライブならではのダイナミクスや間合い、スネアやハイハットの微妙なニュアンスが堪能できます。

  • John Mayer — Continuum (2006)

    参加形態:主要なリズムセクションとして演奏(複数トラックでドラム/グルーヴ担当)

    推薦理由:スタジオ作品での洗練されたサウンド作りに、Steve Jordan の抑制の効いたグルーヴが大きく寄与しています。ミディアム〜スローの曲での「間の取り方」やフィールの温度感は、ポップ寄りのアレンジをジャズ/ブルースのグルーヴで支える好例です。

  • Keith Richards — Talk Is Cheap (1988)

    参加形態:主要メンバー/共同制作に深く関与(X-Pensive Winos 関係の仕事)

    推薦理由:キースのソロ・プロジェクトで、ジョーダンはリズム面での要となり、曲ごとのグルーヴ作りやアンサンブルの統率に貢献しました。ロックンロールの直球な推進力と、ブルージーな揺らぎを巧みに両立させるプレイが聴けます。

  • Keith Richards — Main Offender(1992)ほかソロ関連作品

    参加形態:演奏・共同制作で複数作品に参加

    推薦理由:ソロ作品群を通して、ジョーダンの“ドライヴの作り方”やフィーリングの揃え方が繰り返し味わえます。ギター主体のアンサンブルを安定して支える技術は、リズム隊の重要性を再認識させてくれます。

  • The Rolling Stones(ツアー参加/近年のライヴ活動)

    参加形態:ツアー/公演でのドラマー(重要なライヴ・スキルの発揮)

    推薦理由:レコーディング以外にも、世界規模の大舞台でのグルーヴ作りが評価されている点を示す例です。レジェンド級バンドのなかで、曲の“らしさ”を損なわずに安定して演奏する力量は、録音作品にも通じる信頼感を与えます。

聴き方のポイント — Steve Jordan の“らしさ”を聴き取るコツ

  • 「間(ま)」と「抜き」:叩くことよりも叩かない部分でグルーヴを作るタイプ。フレーズの“余白”に注目すると彼の仕事ぶりが分かる。

  • ダイナミクスの振り幅:静かな部分から急に体感レベルを上げるときのドラムの入り方が自然で効果的。曲全体の起伏に対するコントロールに耳を澄ませる。

  • ジャンル横断力:ブルース的なスウィングからロックの推進力、R&B 的なフレーズまで違和感なく切り替える点を評価して聴く。

  • アンサンブル志向:ソロ・フィルや派手なテクニックよりも、バンド全体のグルーヴを優先する姿勢を確認してほしい。

選盤の応用例(シーン別)

  • ライブ直球のグルーヴを味わいたい → John Mayer Trio「Try!」

  • スタジオで練られたサウンドの中の自然なリズムを知りたい → John Mayer「Continuum」等

  • ロックのルーツにある泥臭さと堅牢さを両方楽しみたい → Keith Richards のソロ作

まとめ

Steve Jordan は“歌や楽曲を生かすためのドラマー”であり、そのプレイは派手さよりも確実さ・説得力を重視します。今回紹介したレコードは、彼の様々な顔(ライブの牽引役、スタジオでのグルーヴメーカー、ロックの土台を支える職人)を知るのに適しています。ドラマーやプロデューサーとしての仕事ぶりをじっくり追って聴くことで、音楽の聴き方がまた一段深くなるはずです。

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参考文献