Ritchie Blackmore徹底ガイド:Deep Purple・Rainbow・Blackmore's Nightの軌跡と演奏技術・影響
イントロダクション — Ritchie Blackmoreとは
Ritchie Blackmore(リッチー・ブラックモア、1945年4月14日生)は、ハードロック/ヘヴィメタルの黎明期を支えた英国のギタリスト兼作曲家です。Deep Purpleの中核を担い、その後Rainbowを結成、さらにルネサンス・フォークへと転身してBlackmore's Nightを主宰するなど、ロックとフォーク/古楽を跨いだ異色のキャリアで知られます。強烈なリフ、ドラマティックなソロ、クラシック音楽的なフレーズをロック・ギターに落とし込んだスタイルは、多くのギタリストに影響を与え続けています。
略歴とキャリアの流れ
生い立ち・初期(1945〜1960年代) — イングランド西部のウェストン=スーパー=メアで誕生。60年代にはセッションや複数のバンドを経て腕を磨く。
Deep Purple(1968〜1975、1984〜1993) — 1968年の結成から中心メンバーとして参加。1970年前後の「In Rock」「Machine Head」などで象徴的なリフやソロを生み出し、ハードロックの礎を築いた。1984年に再結成、1993年まで在籍。
Rainbow(1975〜1984) — Deep Purple離脱後に結成。より叙情的でクラシカルな要素を強め、名曲「Stargazer」などを残す。
Blackmore's Night(1990年代後半〜現在) — 1990年代後半以降はルネサンス風フォーク路線へと大きく舵を切り、キャンディス・ナイト(Candice Night)と組んで独自の世界観を構築。
代表曲・名盤(各時代からの厳選)
Deep Purple
- Machine Head(1972) — 代表曲「Smoke on the Water」「Highway Star」「Lazy」などを収録。ロック史に残る名盤。
- Deep Purple in Rock(1970) — 「Child in Time」「Speed King」など、ハードロック初期の金字塔。
Rainbow
- Rising(1976) — 「Stargazer」を含む、壮大なコンセプトとオーケストレーションが光る名作。
- Long Live Rock 'n' Roll(1978) — タイトル曲ほか、叙情的かつドラマティックな楽曲群。
Blackmore's Night
- Shadow of the Moon(1997) — ルネサンス/フォーク色を前面に出した出発点。
- Under a Violet Moon(1999) — 中世的な雰囲気とメロディの美しさが魅力。
サウンドと演奏の魅力(何が彼を特別にしているか)
メロディックかつドラマティックなフレージング — 単なる速弾きではなく、物語性のあるメロディを弾く力が際立つ。ソロは「旋律を歌う」ことを意識しており、聞く者の感情を揺さぶる。
クラシック音楽的要素の導入 — ハーモニック・マイナーやディミニッシュ・スケール、クラシカルなアルペジオやシーケンスをロックの文脈に取り込み、壮大さと緊張感を作り出す。
独特のトーンと右手の強いアタック — 明瞭で前に出るトーン、鋭いピッキングによるアタック感、そして指板上での表情づけ(チョーキングとビブラート)が特徴。
リフメイキングの天才 — シンプルなフレーズから曲全体の骨格となるリフを創出し、曲のアイデンティティを強固にする手腕に長けている。
ジャンルを超える適応力 — ハードロック、ヘヴィメタル、シンフォニックな楽曲、そしてルネサンス風フォークまで自在に行き来する幅の広さ。
演奏・作曲面でのテクニック解説(ギタリスト向け)
スケール:ハーモニック・マイナー、フル/ハーフディミニッシュ、ナチュラル・マイナーやモード(特にDorianやPhrygianの雰囲気)を自在に組み合わせる。
フレーズ構成:スピードよりも「動機の反復と展開」を重視。短いフレーズをモチーフに反復・変形してドラマを作る。
テクニック:オルタネイト・ピッキングを基礎に、クリーンなアルペジオ、精度の高いベンドと表情豊かなビブラートを磨くこと。
ダイナミクス:ピッキング強弱、ミュート使い、フィンガーレガートとスタッカートを混ぜることでダイナミックな演奏を行う。
アンサンブル感:キーボード(Jon Lordなど)との掛け合いやリズム隊との密な連携で、ギターが単独で暴走しない「曲全体の語り手」としての役割を持つ。
機材とトーン(概要)
ブラックモアは初期からFender Stratocasterを愛用してきたことで知られます(シングルコイルの明瞭さを活かしたトーン)。アンプはMarshall系の強力な歪みと、クリーンからクランチまでのダイナミクスを活かすセットアップを好みました。重要なのは高ゲイン一辺倒ではなく、ピッキングのニュアンスがそのまま出るセッティングです。
作曲やプロデュース面での特徴
リフ起点の作曲 — 多くの楽曲が印象的なギターリフから出発し、そのリフが曲のテーマを決定づける。
オーケストレーション的な発想 — Rainbow期などではオーケストラやキーボードを活用して映画的・叙事詩的なスケール感を演出。
曲作りにおける完璧主義 — サウンド・バランス、曲の配置、アルバム全体の統一感などに細心の注意を払う傾向がある。
影響と遺産
ブラックモアの影響は幅広く、クラシカルな要素をロックに取り入れたアプローチは、後のネオクラシカル・メタル(例:Yngwie Malmsteenら)に大きな影響を与えました。また、太くて覚えやすいリフと歌のようなソロは多くのギタリストやバンドに模倣され、ハードロック/ヘヴィメタルの定型的一部となっています。さらに、キャリア晩年のジャンル転換はアーティストが自己表現を追求する一つのモデルともなりました。
学び方・練習法(ブラックモアのスタイルを学びたい人へ)
ソロを耳コピーする — 「Stargazer」「Highway Star」「Smoke on the Water」などを丁寧に耳で取り、フレージングの特徴(どの音を伸ばすか、どこで装飾を入れるか)を研究する。
スケール練習:ハーモニック・マイナーやディミニッシュのポジションをゆっくり正確に弾けるようにする。
モチーフの展開練習:短いフレーズを取り、それを反復・転調・リズム変化させて発展させる練習を行う。
ダイナミクスと表情の練習:ビブラート、ベンド、アタックの違いを意識して、同じフレーズを色々なトーンと強さで弾き分ける。
アンサンブル感の養成:バッキングのオルガンやリズムギターと一緒に演奏し、ギターが曲のどの位置にいるべきかを体感する。
人柄と舞台裏
ブラックモアは現場での完璧主義者、しばしば厳しいリーダーとしても語られます。音楽に対して非常に強い美学を持ち、自分の表現に忠実であることを優先する姿勢が、時に周囲との衝突を生んだこともあります。一方で作品に宿る深い美意識や演奏の説得力は、多くの共感と尊敬を集めています。
おわりに
Ritchie Blackmoreは、単に速く華やかに弾くギタリストではなく、メロディ、ドラマ、古典的要素をロックに持ち込んだ希有な存在です。リフで曲を形作り、ソロで物語を語るその技術と感性は、今なお多くのミュージシャンやリスナーにとって学びどころの多いモデルです。Deep PurpleやRainbowの名盤を何度も聴き、自分のフレーズづくりにその哲学を取り入れてみてください。
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参考文献
- Ritchie Blackmore — Wikipedia
- Ritchie Blackmore — AllMusic Biography
- Deep Purple Official Site
- Blackmore's Night Official Site
- Rolling Stone — 100 Greatest Guitarists: Ritchie Blackmore


