Voivodのプロフィールと音楽性を徹底解説 — 名盤・代表曲・影響まで網羅
Voivod — プロフィール
Voivod(ヴォヴォド)は、1982年にカナダ・ケベック州ジョニエールで結成されたプログレッシブ/スラッシュ・メタル・バンドです。初期メンバーはデニス “Snake” Bélanger(Vo)、デニス “Piggy” D'Amour(G)、ミシェル “Away” Langevin(Dr、アートワーク担当)、ジャン=イヴ “Blacky” Thériault(B)で、以降メンバー交代や悲劇的な出来事を経ながらも現在まで活動を続けています。
彼らは初期のスラッシュ/ハードコアの衝動をベースに、徐々にプログレッシブで前衛的、サイエンスフィクション色の強い独自世界を確立。音楽性の実験性とビジュアルを一体化させたアーティストとして、多くのミュージシャンやリスナーに影響を与えてきました。
音楽性の特徴と進化
Voivodの魅力は、単に速く/激しいだけのメタルに留まらない“歪んだ知性”にあります。代表的な特徴を挙げると:
- 変拍子や複雑な曲構造を取り入れたプログレッシブ性
- ディソナント(不協和)なコード進行やピッチベンド、奇妙なトーンを多用するギターワーク
- サイエンスフィクションやディストピアを描くリリックと、アルバム全体を貫くコンセプト性
- ドラマー/ビジュアルアーティストとしてのAwayの存在感(アートワークと音楽が密接)
- 90年代以降の実験的・産業的なサウンド導入と、2000年代以降の再びヘヴィかつ緻密な作風への回帰
このようにVoivodは、スラッシュのスピード感、プログレの構築力、アヴァンギャルドなサウンドデザインを融合させ、時代ごとに姿を変えながらも独自性を保ち続けています。
代表曲・名盤(概説)
- War and Pain (1984)
デビュー作。初期スラッシュの荒々しさを色濃く残した作品で、Voivodの原点を知るうえで重要。
- Killing Technology (1987)
スラッシュからより実験的/メカニカルな要素へと変化が始まった転機的アルバム。テクニカルで先鋭的なアプローチが顕著。
- Dimension Hatröss (1988)
コンセプト性とプログレッシブ性が深化した一枚。曲の構成美と異質なメロディが同居する名盤として評価が高い。
- Nothingface (1989)
批評的にも商業的にも大きな注目を浴びた作品。よりメロディックかつ実験的なサウンドが完成形に近づいた一枚です。
- Angel Rat (1991)/The Outer Limits (1993)
90年代初頭はヴォーカルや音像に変化が見られ、よりメロディック・アンビエンス寄りの試みも。賛否は分かれますが進化の過程として重要です。
- Negatron (1995)/Phobos (1997)
90年代中盤は産業的でダークなトーンを取り入れた実験期。ヘヴィさと暗黒的なサウンドが前面に出ました。
- Katorz (2006)/Infini (2009)
ギタリストPiggy(デニス・ダムール)の死(2005年)を受けて発表された作品群のうち、Piggyの未発表ギタートラックを基に制作されたものが含まれ、追悼と継承の意味合いを持ちます。
- Target Earth (2013)
新ギタリスト(Daniel “Chewy” Mongrain)加入後の再始動盤。Piggyのスピリットを受け継ぎつつ新しい解釈を提示しました。
- The Wake (2018)
批評的に高く評価されたアルバム。プログレッシブな構築、陰影のあるサウンド、豊かなアイデアが詰まった“復活作”として位置づけられています。
- Synchro Anarchy (2022)
近年作。伝統と現代性を併せ持つサウンドで、新旧のファン双方へアピールする作風です。
Voivodの“魅力”を深掘りする
- ギター・サウンドの独自性
Piggyが切り拓いたディソナントで鋭いギター・トーンは、単なる速弾きやリフの連続とは異なり〈不安を喚起する美〉を作り出します。微妙なピッチ処理やノイズ的な表現が曲全体に異世界感を与えます。
- コンセプト/世界観の徹底
アルバム単位の物語性やサイエンスフィクション的イメージが一貫しており、音楽・歌詞・アートワークが有機的に結びつきます。これによって単なる“曲の集合”ではない没入体験が生まれます。
- Awayの芸術性
ドラマーとしての高度な演奏力に加えて、アルバム・アートワークやビジュアル面の責任者でもあるAwayの存在が、音楽の世界観を視覚面でも強固にしています。
- 変化を恐れない姿勢
商業的成功やシーンのトレンドに迎合せず、常に実験を続ける姿勢がファンを惹きつけます。メンバー交代や悲劇を経ても音楽的探究心を保ち続けている点も大きな魅力です。
- ライブでの説得力
スタジオ作での緻密さだけでなく、ライヴでのパフォーマンスにも定評があります。難解な構成や複雑なリズムを現場で体現する技量は、ミュージシャンシップの高さを示しています。
聴きどころ・入門のすすめ
初めてVoivodを聴く場合、取っ掛かりとしては次のような順序がおすすめです:
- 「Nothingface」:プログレッシブ性とキャッチーさのバランスが良い。
- 「Dimension Hatröss」:コンセプトと実験性を体感できる名盤。
- 「The Wake」:近年作の中でも完成度が高く、現代のVoivodを知るのに最適。
- さらに深く掘るなら「War and Pain」や「Killing Technology」で原点回帰、「Negatron」「Phobos」などで90年代の暗黒期を味わってみるのも面白いでしょう。
聴く際は、単にリフの強さを追うだけでなく、ギターの不協和音やリズムのズレ、音像の“隙間”に耳を傾けるとVoivodならではの美学が見えてきます。
ライブの特徴
Voivodのライヴはテクニカルさとエネルギーを兼ね備え、スタジオの実験性を損なうことなくダイナミックに展開されます。Awayのドラミングはリズム面での“羅針盤”になり、リフとリフの間の空間処理やテンポの急変にも安定感があり、観客はその緊張感と解放感を同時に楽しめます。
影響と評価
Voivodはその独自のアプローチで、後続の多くのプログレッシブ/エクストリームメタル・バンドに影響を与えました。「単なるスラッシュではない」ことを示した先駆者として、メタル界隈で高い評価を受けています。批評家からは作品ごとの実験性や一貫した世界観、演奏技術が注目されてきました。
まとめ
Voivodは、スラッシュ/メタルという器の中で敢えて“不協和”や“実験”を持ち込み、音楽・美術・物語を統合することで唯一無二の世界を築いたバンドです。長年のキャリアを通じて変化と継承を繰り返しながらも核となるクリエイティビティを失わず、メタルの可能性を拡張し続けています。初めての方も、長年のファンも、それぞれ別の入口から深い魅力を発見できるバンドです。
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