モーツァルト 弦楽四重奏曲第3番 ト長調 K.156 の深層—若きモーツァルトの室内楽的飛躍
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作品概要
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトの弦楽四重奏曲第3番 ト長調 K.156(K6.134b)は、1772年に作曲された若き日の室内楽作品です。しばしば「ミラノ時代」の作品群に分類され、モーツァルトが16歳前後の時期に手がけた弦楽四重奏曲のひとつです。第2楽章は1773年に改訂が行われたとされ、初期の創作力とその後の洗練のプロセスを示す興味深い史料的特徴を持ちます。
作曲の歴史的背景
1772年、モーツァルトはイタリア滞在や旅の影響下で多くの作品を生み出していました。この時期の作品群には交響曲やオペラ・アリア、室内楽が含まれ、イタリアの歌謡性や当時の演奏慣習が色濃く反映されています。弦楽四重奏という編成自体はハイドンをはじめとする先行する作曲家の影響を受けますが、モーツァルトは早くから独自の旋律美と対位法的な扱いを取り入れ、個性ある室内楽語法を発展させていきます。
版と作品番号について
本作は慣例的にK.156と表記されますが、作品のカタログ表記は改訂を経て異表記が残ることがあります。K6.134bといった番号は後年のコーシェル目録改訂で付された注記的な番号です。原稿の成立年や改訂年については複数の史料が参照され、1772年の作曲、1773年の第2楽章改訂という時期付けが一般的に受け入れられています。
編成と楽器の役割
弦楽四重奏(第一ヴァイオリン、第二ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ)の編成を用いながら、モーツァルトはまだ初期段階において「第一ヴァイオリンが主旋律を担う」慣習的な書法を多用します。しかし本作にも対位法的な掛け合いや内声の独立性の萌芽が見られ、後年の成熟した弦楽四重奏作品へとつながる重要な要素が含まれています。
楽曲構成と各楽章の分析
本作は典型的な四楽章構成をとることが多く、以下のように整理できます。
- 第1楽章:アレグロ(ソナタ形式に近い)
- 第2楽章:アンダンテ(改訂あり、歌謡的で内省的)
- 第3楽章:メヌエットとトリオ(舞曲的性格)
- 第4楽章:アレグロ(軽快で締めくくる)
第1楽章(アレグロ)
ト長調の明るさを活かした主題で始まります。第一主題は歌うような旋律線を第一ヴァイオリンが提示し、第二主題はやや対照的に穏やかな流れを作ります。和声進行は比較的保守的ですが、モーツァルトらしい短い動機の展開と対位的な応答がアクセントとなり、短い受け渡しの中に劇的効果を収めています。
第2楽章(アンダンテ)
本作品で特に注目されるのが第2楽章の改訂です。1773年に手を入れたとされるこの楽章は、元の素材に対して表情や装飾、内声の均衡が再考された痕跡があります。旋律は歌謡的で、四声のバランスを取りながらも情感表現が際立ちます。ヴァイオリンの装飾やヴィオラの対話的役割、チェロの支えが調和し、室内楽ならではの親密さが感じられます。
第3楽章(メヌエット)
舞曲的でリズミカルなメヌエットは、古典派の交響的メヌエットにも通じる構成を持ちます。トリオでは調性やテクスチャーの変化が取り入れられ、短くても変化に富んだ聴きどころが用意されています。
第4楽章(アレグロ)
終楽章は軽快なロンド風あるいはソナタ風の処理をされ、作品全体を明るく締めくくります。モチーフの再帰や呼応が巧みに配され、短い楽章の中で統一感を出す手法が見られます。
和声と対位法の扱い
和声進行はまだ古典派初期の保守性を残す一方で、局所的な転調や和声上の色彩感を用いることで情感を豊かに表現しています。対位法的要素は特に内声の独立において顕著で、ヴァイオリン対チェロの応答やヴィオラの補助的主題が作品に深みを与えます。若い作曲家が理論と感性を合わせて探求している様子が窺えます。
演奏と解釈のポイント
- 音楽的バランス:第一ヴァイオリンに主旋律がある場面でも、内声の表情やヴィオラの語りを丁寧に聴かせることが室内楽としての充実を生みます。
- フレージングと歌い回し:歌謡的な主題はアリア的な呼吸を持って扱うと効果的です。息づかいを揃えることで対話性が際立ちます。
- テンポの選択:古典派の軽やかさを保ちつつも、楽章ごとの性格に応じた柔軟なテンポ感が重要です。
- 装飾と改訂の扱い:第2楽章の改訂痕跡を踏まえ、余計なロマン的装飾を避けることで当時の様式感を活かせます。
楽譜と版について
原典版や信頼できる校訂版を参照することが推奨されます。ディテール(反復記号、装飾、ダイナミクスなど)に関しては版によって差異があるため、演奏前には比較検討すると良いでしょう。オンラインで閲覧できる写本や初版資料も存在しますので、史料的観点からの確認も可能です。
おすすめ録音(参考例)
録音は解釈の多様性を示す重要な資料です。演奏団体によってテンポ感やフレージング、音色の選択が異なるため、複数の録音を聴き比べることで作品理解が深まります。歴史的録音から現代演奏まで幅広く探してみてください。
まとめ
弦楽四重奏曲第3番 K.156は、モーツァルトの若年期における室内楽的探求と、旋律美・対位法の萌芽が同居する興味深い作品です。第2楽章の1773年改訂は作曲家自身の再考を示す貴重な手がかりであり、演奏・研究の両面で魅力ある対象となります。本作を通じてモーツァルトの早期様式と成長過程に触れることで、後年の傑作群への連続性を実感できるでしょう。
参考文献
- IMSLP: String Quartet No.3 in G major, K.156(楽譜と写本資料)
- Encyclopaedia Britannica: Wolfgang Amadeus Mozart(作曲家の年表と作品解説)
- Neue Mozart-Ausgabe / Digital Mozart Edition(モーツァルト作品の校訂版・デジタル資料)
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