カバー撃ちとは?障害物の奥を狙うバス釣りの必須テクニックを徹底解説

1. カバー撃ちとは

「カバー撃ち(カバーうち)」とは、ルアーを草や枝、倒木、アシ、岩などの“障害物(カバー)”の奥に正確に投げ込み、潜む魚を狙う釣り方のことです。

特にブラックバス釣りでは定番中の定番テクニックで、プレッシャーの高いフィールドや真夏の炎天下でも魚を引き出せる強力な戦略として知られています。

英語では “Flipping & Pitching(フリッピング&ピッチング)” と呼ばれるキャスト技術がベースとなっており、精密なコントロールと瞬時のアワセが求められる釣り方です。


2. 「カバー」とは何か?

カバーとは、魚が身を隠すための水中・水上の障害物全般を指します。
日光や外敵から身を守りつつ、ベイト(小魚や虫)を待ち伏せできるため、魚にとって絶好の居場所になります。

代表的なカバーの種類は以下の通りです。

カバーの種類特徴狙える魚
アシやガマなどの水草夏の定番。日陰と酸素が豊富ブラックバス、ブルーギル
倒木(レイダウン)流れを遮り、陰ができるバス、ナマズ
オーバーハング(木の枝の下)魚が日陰に潜むバス、トラウト
ウィード(藻場)小魚が隠れる住処バス、トラウト
岩・護岸の段差水流のヨレや影ができるシーバス、チヌ

このような「カバーの奥」には、外敵を警戒してじっとしている魚が多く、ルアーをピンポイントで入れることが釣果に直結します。


3. カバー撃ちが有効な理由

魚は基本的に「外敵の目を避けながらエサを待ち伏せする」生き物です。
そのため、日光の強い時間帯や人のプレッシャーが高い場所では、開けた場所よりもカバーの奥でじっとしていることが多いのです。

カバー撃ちは、そうした魚の習性を逆手に取り、障害物の中までルアーを送り込むことで、魚の反射的なバイト(食いつき)を誘います。

特に効果的なのは以下の状況です。

  • 夏場の高水温時(魚が日陰に避難)
  • 人が多く魚がスレているフィールド
  • 風が弱く、水面が穏やかなとき
  • 雨の直後などで濁りが発生したタイミング

4. カバー撃ちに使われるタックル(道具)

カバー撃ちでは、力強く・正確に・障害物の奥を狙う必要があるため、専用のタックルセッティングが重要です。

✅ ロッド(竿)

  • 7ft前後のヘビーパワー(H)またはミディアムヘビー(MH)
  • ティップが硬く、バット(根元)が強いロッドがおすすめ
    → カバーの中から魚を引きずり出すためのパワーが必要です。

✅ リール

  • ベイトリール(ハイギアタイプが理想)
    → 手返しが速く、ラインテンションを常に保ちやすい。

✅ ライン

  • フロロカーボン16〜25lb または PEライン50lb前後
    → 岩や枝に擦れても切れにくく、魚を強引に寄せられます。

✅ ルアー(リグ)

カバー撃ちで使われる代表的なルアーは以下の通り。

ルアー特徴
テキサスリグ根掛かりしにくく、ボトム攻略に最適
ラバージグシルエットが大きく、リアクションバイトを誘発
ノーシンカーワームフワッと自然に落ちて食わせやすい
バックスライドワームカバーの奥に滑り込ませやすい設計

5. カバー撃ちの基本動作

ステップ①:ピッチングまたはフリッピングで投入

竿先を使って、静かにルアーをカバーの奥へ落とし込みます。
水面に音を立てず、「コトン」と落とすのがコツ。

ステップ②:フォール(落下)中に集中

ルアーが落ちる瞬間に食ってくることが多いため、糸の動きから目を離さないようにします。

ステップ③:着底後に誘いをかける

軽くシェイクしたり、少し持ち上げて止めたりして魚にアピール。
反応がなければ、すぐに回収して次のカバーへ移動します。

カバー撃ちはスピードとテンポが重要です。
「1か所で粘らず、数を撃つ」ことで効率的に魚を探すことができます。


6. カバー撃ちのコツと注意点

✅ コツ

  • 落とす位置は「枝の影」や「カバーの際」を狙う
  • キャスト時の音を小さくする
  • ラインテンションを保ち、アタリを見逃さない
  • 釣れたら即アワセ、そして一気に引き抜く

⚠️ 注意点

  • 根掛かりのリスクが高いので、ルアーをロストしても落ち着いて対処
  • 無理に引っ張るとラインブレイクやロッド破損の原因に
  • 立入禁止区域や植物保護区では撃たない

7. カバー撃ちでよく使われるシーン

カバー撃ちは主に以下のような状況で特に効果を発揮します。

  • 真夏の日中:日陰で休んでいる魚を直撃
  • 雨上がりの濁り:見えにくい水中でリアクションバイトを狙う
  • 春の産卵期前後:バスが浅場のストラクチャー周りに寄る時期
  • スレたフィールド:ルアーを見慣れた魚に“変化”を与える

8. まとめ:カバー撃ちは“魚を獲りに行く”攻めの釣り

カバー撃ちは、ただルアーを投げて巻くだけではなく、**魚が潜む場所をピンポイントで攻める「狙撃型の釣り」**です。
難易度は少し高めですが、その分ヒットしたときの達成感は格別。

ストラクチャーと同じく、「魚が隠れやすい場所」を見極める力が釣果を左右します。
最初は浅いアシ際や枝の下など、狙いやすい場所から挑戦してみましょう。

一匹の魚を確実に仕留めたいとき——
カバー撃ちは、あなたの釣りを次のレベルへと引き上げてくれるはずです。