Iggy Popおすすめアルバム7選|パンクのゴッドファーザー入門+各作の聴きどころガイド

はじめに — Iggy Popという存在

Iggy Pop(イギー・ポップ)は「パンクのゴッドファーザー」として語られることが多いが、その音楽性はそれだけに留まりません。The Stoogesでの荒々しいガレージ・パンク、デヴィッド・ボウイとのコラボで見せた実験的でニューロマンティック寄りの音作り、90年代以降の復活劇や近年のダークで成熟した作品群まで、キャリアを通じて変化と再発明を続けてきました。本稿では、その中から「是非聴いてほしい」レコードを厳選し、背景、聴きどころ、代表曲、そしてどんなリスナーに向くかを深掘りして紹介します。

The Stooges — Fun House (1970)

The Stoogesの2作目。デビュー作の衝動をさらに突き詰め、ライブ直結の強烈な即興感、スティーブ・マッカイのサックスが曲の狂気を増幅します。録音は粗く生々しいが、それがこのアルバムの美学です。

  • 聴きどころ:冒頭の「Down on the Street」からの一気呵成の勢い、長尺の即興的展開を持つ「L.A. Blues」や「1970」など、演奏の即時性と危うさ。
  • 影響力:ポストパンク、ノー・ウェーブ、ハードコアまで幅広く影響を与えた名盤。
  • おすすめリスナー:ライブ感・即興性が好きな人、ロウで攻撃的なロックが好みの人。

The Stooges — Raw Power (1973)

The Stoogesの3作目で、よりギター主導でストレートな攻めの作品。荒々しさは保ちつつも、メロディと構築性が増し、Iggyの叫びがフックになった曲が多いのが特徴です。

  • 聴きどころ:タイトル曲「Raw Power」、骨太のロック・アンセム「Search and Destroy」など、パンクの原型とも言える楽曲群。
  • 位置づけ:原初的なパンク精神とロックのキャッチーさが同居する一枚。
  • おすすめリスナー:パンクの源流をたどりたい人、力強いギターロックが好きな人。

Iggy Pop — The Idiot (1977)

ソロ初期の重要作。デヴィッド・ボウイと共同作業したアルバムで、産業的で寒色系のサウンドと退廃的な歌詞が特徴です。パンクの破壊的エネルギーとは別の、耽美で陰鬱な魅力を見せます。

  • 聴きどころ:ポストパンク的なテクスチャーを持つ「Sister Midnight」「Nightclubbing」、後にボウイがヒットさせた「China Girl」の原型(オリジナル収録)。
  • サウンドの特徴:シンセや朴訥としたビートが突出しており、従来のロックとは異なる冷たさを感じさせる。
  • おすすめリスナー:80年代ニュー・ウェイヴ/ポストパンクの源流を探る人、ボウイとのコラボに興味がある人。

Iggy Pop — Lust for Life (1977)

The Idiotと同年のリリースながら、よりダイナミックでロックンロール色の強い一作。再起動を感じさせる力強さと、Iggyならではの破天荒さが同居しています。

  • 聴きどころ:「Lust for Life」「The Passenger」など、ライブでも人気の高いアンセムを収録。ドライヴ感のあるリズムとわかりやすいフックが魅力。
  • 特徴:ボウイの関与は引き続き存在するものの、より自己を取り戻した力強さが前面に出る。
  • おすすめリスナー:キャッチーなロックチューンが欲しい人、Iggyの「歌う」面を楽しみたい人。

Iggy Pop — New Values (1979)

70年代末の作で、パンク以降の落ち着きと洗練がちらりと見える作品。ポップ寄りの曲からシリアスなナンバーまで、幅広い表情を持っています。

  • 聴きどころ:メロディ志向の曲が増え、歌心が出てくる。エッジを残しつつも整ったバンド演奏を楽しめる。
  • 位置づけ:ソロ期の中で「整ったロック」を聴かせる好例で、ボウイ期とはまた違う成熟を感じられる。
  • おすすめリスナー:メロディアスなロック作品を好む人、70年代後半の音楽的転換を知りたい人。

Iggy Pop — Brick by Brick (1990)

商業的にも比較的成功した復活作。ヘヴィなギターとストレートなロックが特徴で、シングル「Candy」はキャッチーで幅広いリスナーに届きました。

  • 聴きどころ:ヒット曲「Candy」(Kate Pierson参加)や、タイトなバンドアンサンブルによる曲群。
  • 特徴:90年代のロック・プロダクションを取り入れつつ、Iggyの歌と存在感を前面に出した作り。
  • おすすめリスナー:90年代ロックの空気感が好きな人、Iggyの復活劇を目撃したい人。

Iggy Pop — Post Pop Depression (2016)

ジョシュ・ホーム(Queens of the Stone Age)らとの共同制作による近年の代表作。過去のイメージを内省的に再編しつつ、ダークで洗練されたロックを提示します。批評的にも高評価を得た作品です。

  • 聴きどころ:緻密なアレンジとムーディーなギター、Iggyの落ち着いたボーカルが印象的で、アルバム全体が一つの物語のように聴ける。
  • 位置づけ:ベテランとしての表現の深まりが感じられる重要作。若い世代のミュージシャンとの協働が新鮮。
  • おすすめリスナー:落ち着いたダークロックが好みの人、近年のIggyの成熟した側面を聴きたい人。

アルバム選びのヒント(どの作品から聴くか)

  • 初めての入門:The Stooges — Raw Power または Fun House。パンクの原点を直感的に理解できます。
  • Iggyの「カメレオン性」を知りたい:The Idiot と Lust for Life を続けて聴くと、同年の対照的な表情がよくわかります。
  • 最近の音が気になるなら:Post Pop Depression。モダンなプロダクションで洗練されたIggyを味わえます。

まとめ — 変わり続けるロック・アイコン

Iggy Popは単なる「暴れん坊」ではなく、時代ごとに音楽を取り込み、自らの表現を更新してきたアーティストです。荒々しいガレージ・パンクから耽美な実験、商業的成功、そして成熟した近作まで、彼のディスコグラフィには多様な魅力があります。ここで挙げたレコードはその代表格であり、どれもIggyの別々の側面を強く映し出しています。まずは興味を引かれた一枚から、音の旅に出てみてください。

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