Television(バンド)入門:Marquee Moonを軸に聴くべきおすすめレコードと聴きどころ
イントロダクション — Televisionとは何者か
Televisionは1970年代初頭にニューヨークで結成されたロックバンドで、トム・ヴァーレイン(Tom Verlaine)の詩的でモダンなボーカルとギター、リチャード・ロイド(Richard Lloyd)とのツイン・リード・ギター、フレッド・スミス(Fred Smith)とビリー・フィッカ(Billy Ficca)によるタイトなリズム隊が特徴です。CBGBを中心としたNYパンク/ニュー・ウェーブの文脈で語られることが多い一方、彼らの音楽はパンクの単純さだけにとどまらず、ジャズ的な即興性やアート・ロック的な構築性を併せ持っており、ギター・インタープレイの美学を確立しました。
おすすめレコード(厳選)
Marquee Moon(1977)
間違いなくTelevisionを語るうえでの代表作。シーンに与えた衝撃、ギター・アンサンブルの完成度、長尺のタイトル曲が持つドラマ性──これらが一体となった名盤です。パンク的な切迫感と、ジャズやサイケデリックの余白を取り入れた構成力が同居しており、以後のポストパンク/インディー・ギター・バンドに多大な影響を与えました。
おすすめポイント:
- タイトル曲「Marquee Moon」は長尺のギター・コンポジションとして聴き応え抜群。最初から最後までの流れを一曲として楽しんでほしい。
- 冒頭の「See No Evil」など短めの楽曲も、緊張感のある演奏でアルバム全体のバランスを整える。
- 歌詞は詩的で抽象的。言葉とギターが織りなす空間性に注目すると新たな発見がある。
Little Johnny Jewel(シングル / 1975)
オーク(Ork)レーベルから出た初期のシングルは、バンドの原型がよく分かる重要音源。10分を超える長尺で、荒削りながらも即興的なギターのやりとりや緊張感が詰まっています。Marquee Moonに至るプロセスを知るために必聴です。
Adventure(1978)
Marquee Moonの後に発表された2nd。本作はよりソングライティング寄りで、短めの曲が並ぶため聴きやすさが増しています。一方で即興的なギター・バトルは控えめになり、サウンドは洗練されました。「Marquee Moon」と比較して違った魅力(緻密なポップ性や構築美)を楽しめます。
おすすめポイント:
- よりコンパクトな楽曲群から、バンドの別の側面(成熟した作曲能力)を発見できる。
- Marquee Moonで感じたギターワークのスリルが薄れた分、歌やメロディのフックに耳を向けると面白い。
Television(1992)
解散後の再結集作で、成熟したメンバー同士の落ち着いた演奏が特徴。Marquee Moon期の即興飛び交う熱気とは趣が違いますが、ライティングや演奏の緻密さ、バンドとしての一体感を示す良作です。往年のファンが求める“続き”というよりは“新しい章”として受け止めると楽しめます。
各レコードの聴きどころ・視点
- ギターの「対話」を聴く:トム・ヴァーレインとリチャード・ロイドはソロを奪い合うのではなく、メロディと対位法的なフレーズで会話するように弾きます。互いの音を聴き合う姿勢に注目してください。
- 「時間」の扱い方:Marquee Moonのような長尺曲では、展開やダイナミクスの変化を追う楽しみがあります。曲を区切らずに一気に通して聴くと構造の巧みさがわかります。
- 言葉と情景:ヴァーレインの歌詞は直接的なメッセージよりもイメージや断片で情景を作るタイプです。詩的表現と音の空間が合わさったところにバンドの魅力があります。
- ライブ音源を比較する:スタジオ盤とライブでは演奏の即興性やテンションが違います。初期シングルや良質なライヴ盤を合わせて聴くと全体像が見えます。
入手・聴き方のアドバイス(選び方)
- コレクター向け:オリジナル盤(70年代の初版)には歴史的価値がありますが、状態により音質差が大きいことも。ジャケットやマトリクス(刻印)を確認して購入するのが望ましいです。
- 音質重視のリスナー:近年のリマスターや再発(180gやリマスター盤)はノイズ処理や音像整理がされていることが多く、よりクリアにギターのディテールを聴けます。
- まずはデジタルで全体像を掴む:初めて聴くならストリーミングやCDで各アルバムの構成や代表曲を把握してから、気に入った作品のアナログ盤を探すと失敗が少ないです。
なぜ今聴くべきか — その影響力と普遍性
Televisionの音楽は、単なる時代の産物ではなく、ギター・アンサンブルの可能性や「ロックでの即興表現」を深めた点で今日でも色褪せません。多くのインディー/オルタナ系ギターバンドが彼らの影響を公言しており、緻密さと即興性が同居するサウンドは現代の耳で聴いても新鮮です。音楽史的な位置づけを踏まえつつ、まずは「良い曲をじっくり聴く」ことから入ってみてください。
最後に
Televisionは「ギター好き」が繰り返し聴きたくなるバンドです。Marquee Moonのドラマ性、Little Johnny Jewelの生々しさ、Adventureの楽曲志向──それぞれ違う魅力を持っています。どの作品から入るかは好みによりますが、入門としてはMarquee Moonを軸に、気になるサイドを掘っていく流れをおすすめします。
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