ジム・メシーナの全貌:Poco時代からLoggins & Messinaまでのカントリー・ロック史と名盤ガイド
ジム・メシーナとは:簡潔なイントロダクション
ジム・メシーナ(Jim Messina)は、アメリカのギタリスト/プロデューサー/ソングライターとして1960年代後半から活躍した音楽家です。カントリー・ロックの黎明期に深く関わり、Poco の立ち上げ期に参加したほか、ケニー・ロギンスと組んだデュオ「Loggins & Messina」として1970年代初頭に多くのヒットを残しました。プレイヤー/アレンジャー/プロデューサーとしての手腕により、フォーク、カントリー、ロック、ポップが融合した瑞々しいサウンドを生み出した点が彼の大きな特徴です。
おすすめレコード(総論)
ジム・メシーナに関わるレコードは大きく分けて三つのフェーズで楽しめます。1) Poco に関わった初期のカントリー・ロック期、2) Loggins & Messina としての黄金期(スタジオ作・ライブ作)、3) ソロやその後の活動を集めた音源群。以下では、特に聴きどころの多い代表盤を厳選して紹介します。
Poco — Pickin' Up the Pieces(1969)
なぜ聴くべきか:Poco のデビュー作は、カントリーとロックをブレンドした"カントリー・ロック"というムーブメントを具現化した作品の一つです。ジム・メシーナはプレイヤー兼プロデューサー的な立場で関与し、バンドの初期サウンド形成に大きく貢献しました。ギターのアンサンブル、スチールギターやハーモニーのアプローチなど、後のカントリー・ロックに与えた影響がよく分かります。
- 聴きどころ:アーシーなアコースティックとリードギターの絡み、初期のカントリー寄りアレンジ。
- おすすめトラック例:アルバムタイトル曲やスローからアップテンポまでの流れを一気に聴くとバンドの方向性がわかります(アルバム全体での聴取推奨)。
Loggins & Messina — Sittin' In(1971)
なぜ聴くべきか:Loggins & Messina のデビュー作で、ケニー・ロギンスのソングライティングとメシーナのアレンジ/プロデュースが初めて本格的に融合したアルバムです。フォーク的な素朴さとポップな構成、そして豊かなコーラスワークが魅力。アコースティック楽器中心ながらスタジオでの緻密な演出が光ります。
- 聴きどころ:温かくメロディアスな楽曲群と、自然なハーモニー。アコギやペダルスチール、リズムのバランスが絶妙です。
- 代表曲(聴いてほしい曲):ケニー・ロギンス作の歌が中心となるため、彼の初期の名曲群を味わえる点が魅力。
Loggins & Messina — Full Sail(1973)
なぜ聴くべきか:「Sittin' In」からさらにサウンドの幅を広げた作品で、スタジオワークの深さとダイナミクスの扱い方が際立ちます。メシーナのアレンジ力がより前面に出ており、曲ごとに異なる色合いを持たせながらも統一感を失わない構成が見事です。音楽的な引き出しの多さを味わえます。
- 聴きどころ:バンドアンサンブルとスタジオ・プロダクションの融合。ミディアム〜スローテンポの曲で聴かせる抒情性が魅力。
- コアな魅力:楽曲アレンジの細部(ストリングスやハーモニーの重ね方)にメシーナの才覚が表れています。
Loggins & Messina — On Stage(ライブ、1974)
なぜ聴くべきか:スタジオ作での緻密なアレンジとは別に、ライブならではの即興的な演奏やテンションの高さを楽しめる1枚です。メンバーの演奏力や片手間ではないコーラスワーク、アコースティックとエレクトリックを行き来するダイナミクスが映えます。スタジオ音源とは違う表情を知るために有用です。
- 聴きどころ:演奏のテンポ感やアドリブ、会場の空気感が伝わるパフォーマンス。
- おすすめ点:バンドとしての強さ、ライブ・アレンジの妙を体感できます。
Loggins & Messina — So Fine(1975)/Finale(1977)
なぜ聴くべきか:1975年の「So Fine」はR&Bや50s〜60sの楽曲カバーに挑んだ意欲作で、二人のルーツ音楽への愛情とアレンジ力が表れています。1977年の「Finale」はデュオとしての総括的な意味合いを持つライブ/ベスト的な作品で、代表曲をライブで振り返るのに最適です。どちらもキャリアを通じてのメシーナの役割を理解する手助けになります。
- 聴きどころ:「So Fine」はノスタルジックなカバー解釈、「Finale」は総括的な構成でキャリアを俯瞰できる点。
ソロ/レア音源について(入門的ガイド)
メシーナはデュオやバンド活動の印象が強いですが、ソロ作やプロデュースワークにも注目すると音楽性の幅が見えてきます。ソロ曲やコンピ盤を掘ることで、アレンジやプロデュース時のこだわり—歌ものの盛り上げ方や楽器の配置など—がより鮮明に感じられます。コアなファンはコンピレーションやリイシュー盤、デモ音源もチェックすると新たな発見が多いです。
聴き方・楽しみ方の提案
- 時代順に聴く:Poco 時代→Loggins & Messina のスタジオ作→ライブ作→ソロ/コンピという順で聴くと、彼のサウンドメイキングの変遷が分かりやすい。
- スタジオ音源とライブを比較:緻密なアレンジとライブでのダイナミクスの違いを味わうと、メシーナの手法がより明瞭になります。
- 歌詞とアレンジの関係を観察:シンプルなフォークからポップ寄りのアレンジまで、歌の“空間”をどう作るかに注目すると勉強になります。
入手のヒント
- オリジナル盤、リイシュー盤のいずれもそれぞれの魅力があります。リイシューはリマスターやボーナス・トラックが付くことが多いので、初めてならリイシューから入るのも手です。
- ライブ盤や編集盤は代表曲を一気に押さえられるため、まず代表作群を知りたい場合に便利です。
- デジタル配信やストリーミングで概観した後に、気に入ったアルバムのアナログやCDを探すと効率的です。
後日談と影響
ジム・メシーナの仕事は、単にヒット曲を生んだというだけでなく、70年代前半のアメリカ西海岸的なサウンド・美学を確立する一助となりました。特にフォーク〜カントリー〜ポップを横断する柔軟さは、多くのシンガーソングライターやバンドに影響を与え続けています。音楽史的にも、彼の関わったプロジェクト群は“クロスオーバーの好例”として評価されます。
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