ピーター・グリーン徹底解説: 初期Fleetwood Macからソロ期まで聴くべき名盤と音楽的特徴
はじめに — Peter Greenという存在
Peter Green(ピーター・グリーン)は、1960年代後半のブリティッシュ・ブルース・リバイバルを代表するギタリスト/ソングライターです。Fleetwood Macの創設者としての功績はもちろん、独自のトーン、静謐で哀感に満ちたフレーズ、そしてブルースに根ざしたソウルフルな楽曲で多くの音楽家に影響を与えました。本コラムでは、ピーター・グリーンの音楽を深掘りし、特にレコードとして手に入れて聴く価値のある作品を解説します。
おすすめレコード(代表作・深掘り解説)
Peter Green's Fleetwood Mac(1968)
デビュー作にあたるアルバムで、初期Fleetwood Macの純度の高いブルース志向が詰まっています。ピーター・グリーンの繊細かつ強靭なギターと、当時のローテク録音による生の空気感が魅力。ブルーススタンダードの解釈とオリジナル曲のバランスが良く、彼の音楽的ルーツを知るには最適です。
聴きどころ:ブギー寄りのリズム感、ミニマルで的確なソロ、黒人ブルースへの敬意が感じられるボーカル表現。
Mr. Wonderful(1968)
デビュー直後に続けてリリースされた2作目。よりダイレクトなブルース・トーンが押し出されており、バンドとしての演奏力が向上しています。ブルースの名曲カヴァーとオリジナルを織り交ぜた内容で、当時のライブ感と録音の温度感が味わえます。
Then Play On(1969)
ピーター・グリーンがバンドをリードして制作した意欲作で、単なるブルースバンドを超えようとする実験性とアレンジの幅が広がったアルバムです。ダニー・カイリーン(Danny Kirwan)の加入もあり、曲調に耽美さやメロディ志向が加わりました。代表曲「Oh Well」など、ロック/ブルースの落としどころを巧みに表現しています。
聴きどころ:短いパートに凝縮された強烈なフレーズ、アンサンブルの緻密さ、楽曲ごとの多様な色合い。
The Pious Bird of Good Omen(1969) — コンピレーション
シングル曲や未収録トラックを集めた編集盤で、「Albatross」や「Black Magic Woman」(ピーター作/Fleetwood Mac版)などの代表的シングルをまとめて聴ける良盤。特に「Albatross」はインスト曲ながら英国で大ヒットし、その静かな美しさはピーターの音楽的幅を示しています。
聴きどころ:「Albatross」の浮遊感、「Black Magic Woman」の原型に触れること。
Green Manalishi (The Singles / 単曲群)
「Green Manalishi (With the Two-Prong Crown)」はピーター・グリーンの晩期Fleetwood Macにおける重要なシングル。サイケデリックかつ激しいギター表現が特徴で、後年の彼の精神状態や創造性に関する議論を呼びました。この曲はロック寄りの攻撃性とブルース感の両立を示します。
The End of the Game(1970)
ピーターが最初にバンドを離れた直後に制作した即興志向のインスト・アルバム。従来のブルース・ソングライター像とは違う、実験的で抽象的な側面が出ています。好みは分かれますが、彼の内面・音楽観の変化を追う上で重要です。
In the Skies(1979)
ソロとしての復活作で、メロディ重視の良質な作品。過去のブルース路線とはまた違う、温かく深い歌心が戻ってきた印象があります。ギターのトーンも再び人々の注目を集め、彼の成熟した音楽性が表れています。
聴きどころ:抑制の効いたフレージング、歌メロとギターの対話。
Peter Green Splinter Group — The Robert Johnson Songbook(1998)
1990年代〜2000年代にかけてのSplinter Group(ピーターが結成したバンド)での代表作の一つ。ロバート・ジョンソンの曲を中心としたトリビュートで、ピーターのルーツであるデルタ・ブルースへの敬愛が全面に出ています。声とギターの両方で圧倒的な説得力を持つ演奏が多数収められています。
聴きどころ:原曲へのリスペクトを保ちつつ、ピーター独自の解釈が加わったブルース演奏。
ベスト/編集盤(入門用)
初めて聴くなら、初期Fleetwood Macのコンピレーションや「Greatest Hits」的な編集盤を手に取るのが早道です。短時間で代表曲群(Albatross、Black Magic Woman、Oh Well、Green Manalishiなど)に触れられます。
深掘りポイント — 音楽的特徴と背景
ギター・トーンと奏法
ピーター・グリーンは極めて歌うようなフレーズを奏でるプレイヤーでした。1音1音に余韻と間を残す弾き方、抑制の利いたビブラート、そして「Greeny」と呼ばれる有名なレス・ポール(独特のアウト・オブ・フェーズ・トーンを生む個体)など、音色そのものが強い個性となっています。ソングライティング
ブルース・カヴァーを土台にしつつ、メロディックでありながらどこかもの悲しい曲を書く才能がありました。「Black Magic Woman」「Oh Well」「Albatross」など、シンプルながら印象的なフレーズで聴き手の感情を直撃します。精神面と創作の変遷
1960年代末〜1970年代初頭にかけての精神的な変化(LSD体験や精神疾患の影響とされる記述は多くあります)は、彼の音楽にも表れています。爆発的でサイケデリックな表情(Green Manalishi)と、内省的で静かな表情(Albatross/In the Skies)という対照が、彼の作品群の魅力を形成しています。影響と継承
ピーター・グリーンの作った曲は後進にも大きな影響を与えました。例えば「Black Magic Woman」はSantanaによって世界的に知られるようになり、彼のメロディセンスと曲作りの強さが証明されています。
聴きどころ・購入ガイド(どこから聴くか)
まずは入門編:編集盤や「Peter Green's Fleetwood Mac」+「The Pious Bird of Good Omen」を通して、初期の代表曲を押さえるのがおすすめです。
より深く:オリジナルアルバム(Then Play On)は制作意図やバンド内の化学反応が分かるため、作品群を順に辿る価値があります。
晩年の成熟を味わう:In the SkiesやThe Robert Johnson Songbookは、成熟したギタリスト/歌い手としてのピーターを理解するのに適しています。
まとめ
Peter Greenの魅力は、テクニックの上に成り立つ「声のあるギター」と、ブルースに根ざしたが故に多層的な感情を引き出すソングライティングにあります。初期Fleetwood Macでのブルース・スピリット、ソロ期の実験性、Splinter Groupでのルーツ回帰――どの時期にもユニークな価値があり、レコードで聴くことで時代ごとの音像や演奏の空気感を味わえます。
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