アール・キングをレコードで深掘り:ニューオーリンズの名匠を入門からコレクターまで徹底解説
イントロダクション — ニューオーリンズの匠、アール・キングとは
アール・キング(Earl King)は、ニューオーリンズ産のリズム&ブルース/ロック系ギタリスト兼ソングライターとして長年にわたりシーンに深い影響を与えてきました。シンプルながらも独特のフレーズ感とスイングするグルーヴ、地元のリズム感覚を取り込んだ楽曲群は、地元ミュージシャンのみならずロック系ギタリストやソウル/ファンク系のアクトにも引用・カバーされ続けています。本コラムでは「レコードで聴く」ことにフォーカスして、アール・キング入門から掘り下げリスニングまで、実際に押さえておきたいおすすめ盤とその聴きどころを解説します。
アール・キングを味わうための3つの聴き方
- 代表曲を短時間で味わう:名曲のシングル(45rpm)群を中心に聴く。楽曲の骨格とギター・フレーズ、歌の語り口をダイレクトに把握できる。
- 作品群を時系列で追う:初期のシングルから70〜80年代の活動再燃期、後年のレコーディングまで聴くとスタイルの変遷とニューオーリンズ・ミュージックとの関係が見えてくる。
- コンピレーションで網羅的に:まとまった編集盤で代表曲/レア曲を一気に確認し、気になった時期のオリジナル盤へ掘り下げる。
必聴のおすすめレコード(入門〜コレクター向け)
1) オリジナル・シングル群(1950s〜1960sの45回転盤)
アール・キングの魅力はまずシングル曲にあります。短く凝縮された楽曲構造、名フレーズ、そしてニューオーリンズ特有のスイングが詰まっています。特に下記のタイトルは必聴です(どれも複数レーベルや再発があるため、入手時は盤の状態とプレス元を確認すると良いです)。
- Come On (Let the Good Times Roll) — シンプルなコード進行に乗るフックと歌で、後にロック系ミュージシャンにも影響を与えた代表曲。
- Trick Bag — 独特のリズム・アクセントと語り口が魅力。ニューオーリンズのローカル感が色濃い1曲。
- Those Lonely, Lonely Nights(もしくは類似のラヴ・バラード曲)— バラード系の魅力も持ち合わせていることを示す曲。
2) 代表的コンピレーション盤(入門に最適)
初めてアール・キングを深掘りするなら、各社から出ている編集盤/コンプリート集が手っ取り早いです。シングル群を年代順またはベストでまとめたものを選べば、彼のソングライティングと演奏スタイルの変遷が一望できます。特に「Complete」「Best of」「Anthology」といったタイトルの編集盤は網羅性が高くおすすめです。
3) 1970s〜1980sのアルバム/後年作(バンド・アレンジやプロダクションの違いを味わう)
60年代のシングル・サウンドとは異なるアプローチ(よりバンド的、ファンク寄り、プロダクションがモダン)でレコーディングされた作品群は、アール・キングの別顔を知る上で重要です。ニューオーリンズのミュージシャンやプロデューサーとのコラボで色味が変わるため、オリジナル・シングルとは違った楽しみがあります。
各おすすめ盤の聴きどころ(曲ごとの深堀)
- Come On (Let the Good Times Roll)
聴きどころ:イントロのリフと繰り返しのコーラスが耳に残る。シンプルな進行をしっかり歌い上げることで楽曲のポテンシャルを引き出しており、ギターの美味しいフレーズに注目。 - Trick Bag
聴きどころ:リズムの落としどころ(オフビート感)と語り的ボーカル。アレンジや間の取り方がニューオーリンズらしいグルーヴを作っている。バンドの小さな隙間で鳴るギターがポイント。 - バラード系シングル(例:Those Lonely, Lonely Nights)
聴きどころ:情感を乗せた歌唱法、控えめな伴奏で歌が前に出る構図。アール・キングのソングライティングの幅とメロディ・センスを確認できる。 - 後年のアルバム曲群
聴きどころ:リズム隊や管弦アレンジの違い、現代的な録音での音像、よりファンク/ソウル寄りのアレンジ。若いリスナーにはこちらの方が入りやすい場合もある。
聴き比べて分かる「あの人のカバー」や影響
アール・キングの曲はいくつも他アーティストにカバーされています。代表的にはロック系ギタリストが取り上げることが多く、原曲の骨格の強さとギター・フレーズのキャッチーさが理由です。原盤(アール・キング)とカバー版を並べて聴くことで、アレンジの差、リズム処理、ギターの音色がいかに楽曲の印象を変えるかがよくわかります。具体的に何を比較するか:テンポ、リズムのアクセント、サビの処理、ギターのトーン、間(スペース)の取り方。
レコード購入・選び方の実践的アドバイス(買う盤の目利き)
- まずはコンピレーション盤またはストリーミングで代表曲を把握する。その上で「オリジナル・シングル」や「初期のプレス」に手を伸ばすと違いが楽しい。
- 盤のラベル/プレス元を確認:初期シングルはレーベル(Imperialなど)やプレス年で評価が変わることがある。
- 後年アルバムはプロデューサーや参加ミュージシャン(地元の名手が参加しているか)をチェックすると、盤の魅力が分かりやすい。
まとめ:アール・キングのレコードを深掘りする楽しみ
アール・キングの魅力は「良質なポップセンス+ニューオーリンズ独特のリズム感」を持つところにあります。シングル群のコンパクトなドラマ、後年作のバンド・サウンド、それぞれに聴きどころがあり、レコードで順に追うと楽曲の骨格や進化が手に取るようにわかります。入門は編集盤で、コレクションはオリジナル45や初期アルバムで。聴き比べが深掘りの鍵です。
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参考文献
- Earl King — Wikipedia
- Earl King Biography — AllMusic
- Earl King — Discogs(ディスコグラフィ一覧)
- Ace Records —(ニューオーリンズ系編集盤情報、コンピレーション参照)


