The Nice 完全ガイド:プログレ/サイケの先駆者を聴くべき名盤と聴きどころ(Five Bridges までの軌跡)

The Nice — 概要と聴きどころ

The Nice は1960年代後半に活動した英国のロック・バンドで、キース・エマーソン(キーボード)を中心に、クラシックやジャズの要素を大胆に取り入れたプログレッシブ/サイケデリック・ロックの先駆けです。原曲の大胆なアレンジやオルガン/ハモンドを軸にした演奏、時に政治性やプロテストの匂いを帯びた選曲で、後のキーボード・ヒーロー像やELPなどの発展に大きな影響を与えました。

おすすめレコード(深掘り解説)

The Thoughts of Emerlist Davjack (1967)

バンドのデビュー作にあたるアルバム。オリジナルのポップ/サイケデリック志向と、そこに芽生えたクラシック的/ジャズ的アプローチが混在していて、The Nice の原点を聴くのに最適です。

  • 聴きどころ:バンドの初期のエネルギーとエマーソンの鍵盤プレイの端緒。ロックとしての勢いと実験精神が共に表れている。
  • おすすめな人:The Nice を初めて聴く人、バンドの出発点や60年代サイケ期の雰囲気を楽しみたい人。
  • 盤の選び方:オリジナルLPはコレクターアイテムだが、近年のリマスター再発や公式コンピ収録で音質・入手性ともに扱いやすい。

Ars Longa Vita Brevis (1968)

バンドがクラシック曲の大胆なロック・アレンジを本格化させた作品。長尺の組曲的な構成や、バロック/管弦楽の要素を取り込む手法が顕著で、いわゆるプログレ/クラシカル・ロックの原型の一つとされます。

  • 聴きどころ:クラシック主題をロックで再構築する手腕、エマーソンのフレーズの鋭さとアグレッシブな音色。
  • おすすめな人:クラシックとロックの融合に興味があるリスナー、演奏の壮麗さや編曲の妙を楽しみたい人。
  • 盤の選び方:スタジオ音源の完成度を重視するならオリジナルや良リマスターを。曲間のダイナミクスが聴き取りやすい版を選ぶのが吉。

Five Bridges (1970)

The Nice の代表作かつ傑作と称されることが多いアルバム。都市(ニューカッスル)の五つの橋をテーマにした組曲「Five Bridges Suite」を中心に、ロック・コンボと室内管弦楽の共演でライブ録音された大作です。劇的な編曲と即興性が融合した野心作で、バンドの音楽性が最も高い次元で結実しています。

  • 聴きどころ:オーケストラとの共演によるスケール感、ライブならではの緊張感とソロの躍動。
  • おすすめな人:プログレッシブ・ロックの大作を聴きたい人、オーケストラを取り込んだロックに惹かれる人。
  • 盤の選び方:ライヴ録音のため、マスターやリミックスの差が音質に影響しやすい。信頼できるリマスターや公式盤を選ぶと良い。

Elegy (1971) — コンピレーション的名盤

バンド解散後に出された編集盤で、スタジオ・トラックとライヴ音源、シングル曲などを織り交ぜてThe Nice の魅力を俯瞰できる構成になっています。初めて聴く人の「入門盤」としても有効です。

  • 聴きどころ:バンドの多面性(カバー/オリジナル/ライブ)を一枚で味わえる点。
  • おすすめな人:まずは手軽に代表曲やライブの空気感を確認したい人、コレクションの抜けを埋めたい人。
  • 盤の選び方:編集盤ゆえに収録曲・バージョンが版によって違う場合があるので、ライナーノーツやトラック表記を確認して選ぶ。

その他の注目点と視聴アドバイス

  • ライブの熱量:The Nice はライブでの即興性や演出が魅力なので、ライブ音源(Five Bridges や当時のBBCセッション収録など)も併せて聴くとバンド像が明瞭になります。
  • エマーソンのプレイに注目:オルガン/ギター的なリフ・アプローチ、クラシカルな引用、時にはショーマンシップも混じる演奏は、バンドの魅力の中心です。
  • アルバム間の流れを見る:デビューからFive Bridges に至るまでの作品を時系列で追うと、編曲志向や音楽的スケールの拡大がよくわかります。
  • 再発モデルの違い:オリジナル盤はコレクション価値が高い一方で、現代の公式リマスターは音のバランスや可聴帯域が改善されていることが多く、用途(鑑賞用かコレクション用か)で選ぶとよいです。

代表曲・必聴トラック(入門ガイド)

  • 「Rondo」:短いフレーズを主題にした、劇的で聴きやすいリエンジニアリングの好例。ライブでの破壊力も強い。
  • 「America」:クラシック/ミュージカルの主題を大胆にロック化したカバーで、物議を醸したことでも有名。
  • 「Five Bridges Suite」:バンドの野心と繊細さが凝縮された組曲。聴く場所(ヘッドフォン/良質な再生環境)で印象が変わります。
  • アルバムタイトル曲群(例:「The Thoughts of Emerlist Davjack」など):バンド独自の世界観を示す重要曲群。

購入・収集の実務的アドバイス(ケア以外)

  • 目的を明確に:鑑賞目的なら現行の良リマスターを、コレクション目的ならオリジナルUKプレスやプロモ盤を探すのが一般的。
  • 版情報の確認:収録曲やバージョン(スタジオ/ライブ/モノラル/ステレオ)が版ごとに異なるので、購入前にトラックリストをチェックする。
  • ライナーノーツ重視:良い再発盤は詳細なライナーノーツや未発表写真、解説が付くことが多く、音楽的理解が深まります。
  • ストリーミングで下見:購入前にストリーミングで代表曲や雰囲気を確認すると、盤選びがスムーズです。

どのアルバムから聴くべきか(初心者向け)

  • まずは「Elegy」やストリーミングのベスト盤で代表曲をつかむ。
  • フルアルバムを体験したくなったら「Ars Longa Vita Brevis」→「Five Bridges」の順で聴くと、バンドのスケール感の拡大が実感できます。

エバープレイの中古レコード通販ショップ

エバープレイでは中古レコードのオンライン販売を行っております。
是非一度ご覧ください。

エバープレイオンラインショップのバナー

また、レコードの宅配買取も行っております。
ダンボールにレコードを詰めて宅配業者を待つだけで簡単にレコードが売れちゃいます。
是非ご利用ください。
https://everplay.jp/delivery

参考文献