Uriah Heepと70年代英国ロックの同時代バンドを聴き分けるポイントと魅力
はじめに — Uriah Heep とその時代背景
Uriah Heepは1969年結成の英国ロック・バンドで、オルガンを前面に押し出した重厚なハードロック/プログレッシブ・ロックのサウンドが特徴です。同時代には「ヘヴィでブルージーなハードロック」「華やかなコーラス/ハーモニー」「プログレ系の大曲志向」といった要素を持つバンドが多数存在し、互いに影響を与え合いながら1970年代のロック・シーンを形成しました。本稿ではUriah Heepの「同時代的な仲間(contemporaries)」に焦点を当て、それぞれのプロフィールと魅力を深掘りして解説します。
Uriah Heepの位置づけ(簡潔に)
Uriah Heepはケン・ヘンズレーのハモンド系オルガン、デヴィッド・バイロン/ジョン・ロスの伸びやかなボーカル、ギターのリフと叙情的なメロディを融合させた点で特徴的です。ハードロックとプログレッシブ要素の橋渡し的存在で、同時期のハードロック/ヘヴィロック勢やプログレ勢と共通点と相違点の両方を併せ持っていました。
Deep Purple — 技術力とドライヴ感の体現者
プロフィール:1968年結成の英国ハードロック/ヘヴィロックの代表格。イアン・ギラン(Vo, 70年代ライン)、リッチー・ブラックモア(G)、ジョン・ロード(Key)らを擁した“マークII”期が最も著名。
- 代表作:Machine Head(1972)
- 代表曲:「Smoke on the Water」「Highway Star」「Child in Time」
魅力:クラシックなリフと高密度な演奏、ジョン・ロードのクラシカル色強いオルガンとブラックモアの鋭いギターが生むダイナミズム。即興性やライブでの圧倒的なエネルギーも魅力で、ヘヴィロックの演奏規範を確立しました。
Led Zeppelin — ブルーズと神話性の融合
プロフィール:1968年結成、ジミー・ペイジ(G)、ロバート・プラント(Vo)、ジョン・ポール・ジョーンズ(B/Key)、ジョン・ボーナム(Dr)。ブルーズ、フォーク、ハードロック、叙情性を大胆に融合。
- 代表作:Led Zeppelin IV(1971)
- 代表曲:「Stairway to Heaven」「Whole Lotta Love」「Black Dog」
魅力:圧倒的な楽曲の多様性と“アルバム全体での世界観構築”。ヘヴィでグルーヴィーなリフ、プラントの伸びやかな声、ボーナムのビートでロックのスケール感を拡大しました。Uriah Heepと比べるとブルーズやフォーク寄りの側面が強く、より“神話的/叙事詩的”な表現を行います。
Black Sabbath — ヘヴィネスの原点
プロフィール:1968年結成のブリティッシュ・ヘヴィメタル黎明のバンド。オジー・オズボーン(Vo)、トニー・アイオミ(G)らによる暗く重いサウンドが基礎を築いた。
- 代表作:Black Sabbath(1970)、Paranoid(1970)
- 代表曲:「Paranoid」「Iron Man」「War Pigs」
魅力:ドゥーム/ヘヴィの原型とも言える重厚かつ不穏なリフ、シンプルながらキャッチーな楽曲構成。ヘヴィネスという点でUriah Heepよりもさらにダークだが、同時代のロックが“重くなる”方向性を示した重要バンドです。
Yes — プログレッシブ・ロックの技巧派
プロフィール:1968年結成、複雑な楽曲構成と高度な演奏技術で知られるプログレッシブ・ロックの代表。ジョン・アンダーソン(Vo)、クリス・スクワイア(B)、リック・ウェイクマン(Key)ら。
- 代表作:Fragile(1971)、Close to the Edge(1972)
- 代表曲:「Roundabout」「Close to the Edge」
魅力:長尺で複雑な構成、緻密なアンサンブルとテクニカルな演奏。Uriah Heepの叙事的・大曲志向と親和性はあるが、Yesはよりシンフォニックで実験的な方向へ進みました。
Genesis — ストーリーテリングと劇的演出
プロフィール:1967年結成のプログレッシブ・ロック。ピーター・ガブリエル期の演劇的ステージ、後のフィル・コリンズ期のポップ寄り移行が特徴。
- 代表作:Foxtrot(1972)、Selling England by the Pound(1973)
- 代表曲:「Supper's Ready」「The Musical Box」
魅力:物語性のある歌詞、劇的でシネマティックな曲作り。Uriah Heepと同時に“アルバムで語る”志向を共有しつつ、より叙情的で演劇的な表現を重視しました。
Jethro Tull — フォークとフルートによる独自性
プロフィール:1967年結成。イアン・アンダーソン(Flute/Vo)を中心に、フォークやバロック、ロックを融合させたユニークなサウンド。
- 代表作:Aqualung(1971)
- 代表曲:「Aqualung」「Locomotive Breath」
魅力:フルートをフィーチャーしたメロディックな展開、文学的な歌詞、フォークとハードロックの融合。Uriah Heepの重厚さとは異なるが、同年代のプログレ・シーンの一翼を担った存在です。
Pink Floyd — サイケ&サウンドスケープの巨匠
プロフィール:1965年結成のサイケ/プログレ系バンド。アルバム単位でのコンセプト作と緻密なサウンドデザインで知られる。
- 代表作:The Dark Side of the Moon(1973)、Wish You Were Here(1975)
- 代表曲:「Comfortably Numb」「Money」「Shine On You Crazy Diamond」
魅力:音響的な実験、空間を活かしたプロダクション、哲学的・社会的テーマの追求。Uriah Heepが持つ叙事性と共通する点はあるが、アプローチはより音響/概念志向です。
Thin Lizzy — メロディックなツインリードとブルー・アイド・ロック
プロフィール:1969年結成のアイルランド出身バンド。フィル・ライノット(Vo/B)を中心に、ツインギター・ハーモニーを特色とする。
- 代表作:Jailbreak(1976)
- 代表曲:「The Boys Are Back in Town」「Jailbreak」
魅力:叙情的なメロディとツインリードのギターワーク、パブ・ロック的なアプローチとポップ性のバランス。Uriah Heepよりもロックンロールやグラム/パブロック寄りの魅力を持ちますが、70年代のギターロック潮流の重要な担い手です。
Rainbow — クラシカルなハードロックの発展
プロフィール:1975年にリッチー・ブラックモアがディープ・パープル離脱後に結成したバンド。ロニー・ジェイムス・ディオ(初期Vo)を迎えた初期はヘヴィでドラマティックな作風。
- 代表作:Rising(1976)
- 代表曲:「Stargazer」「Man on the Silver Mountain」
魅力:ブラックモアの硬質なギターとディオの神話的なボーカルが作る壮大なヘヴィロック。Uriah HeepやDeep Purpleと楽曲的な深みやドラマ性で共鳴する点があります。
Nazareth & Budgie — 地味だが個性的なロック勢
プロフィール:Nazareth(スコットランド、1968年結成)はブルージーでメロディックなハードロックを、Budgie(ウェールズ、1967年結成)は荒削りでリフ重視のハードロック/メタル寄りサウンドを展開しました。
- Nazareth代表曲:「Hair of the Dog」「Love Hurts」
- Budgie代表曲:「Breadfan」「Crash Course in Brain Surgery」
魅力:Nazarethはポップなフックと泥臭いロックの混在、Budgieは攻撃的で骨太なリフワークが魅力。Uriah Heepと同じく“ロックの幅”を示す良い対比を提供します。
Uriah Heepと同時代バンドの相互作用・違い
共通項:多くのバンドがアルバムを重視し、長尺曲やコンセプト的要素、演奏技術の強化に努めました。ハモンドやキーボード、ツインリードギター、重いリフといった要素がそれぞれのバンドで独自に咲きました。
相違点:各バンドは「ダークさ(Black Sabbath)」「ブルーズ感(Led Zeppelin)」「技巧と長尺(Yes/Genesis)」「劇的表現(Genesis)」「ツインリード/メロディ(Thin Lizzy)」など強調点が異なり、Uriah Heepはその中間で“オルガン主導のハードで叙情的なロック”という位置を確立しました。
同時代バンドを聴き分けるポイント(聴きどころ)
- リズムの重心:Black Sabbathは低音リフ中心、Deep Purpleはオルガンとギターの掛け合い、Thin Lizzyはギターメロディ重視。
- キーボードの扱い:Uriah HeepやDeep Purpleはハモンド系を前面に、Yesはシンセ/クラシカルな鍵盤アレンジ。
- ボーカルの色:ディオ/プラント/オズボーン/バイロンらの声質でロックの表情は大きく変わる。
- 楽曲構成:短く直球なロック(Nazareth等)か、長尺で展開する叙事詩(Genesis/Yes)かで聴き方が変わる。
まとめ
Uriah Heepは1970年代のロック潮流の中で、オルガンとハードロックを融合させた独特の立ち位置を築きました。同時代のDeep Purple、Led Zeppelin、Black Sabbath、Yes、Genesis、Thin Lizzyなどはそれぞれ異なる角度からロックの可能性を拡げ、相互に刺激し合っていました。本稿で挙げたバンド群を聴き比べることで、Uriah Heepの魅力(叙情性、ハモンドの使い方、コーラスワーク、演奏の厚み)がより鮮明に理解できるはずです。
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参考文献
- Uriah Heep — Wikipedia
- Deep Purple — Wikipedia
- Led Zeppelin — Wikipedia
- Black Sabbath — Wikipedia
- Yes — Wikipedia
- Genesis — Wikipedia
- Jethro Tull — Wikipedia
- Pink Floyd — Wikipedia
- Thin Lizzy — Wikipedia
- Rainbow — Wikipedia
- Nazareth — Wikipedia
- Budgie — Wikipedia
- AllMusic — バンド/アルバム情報(総合)


