The Creation(ザ・クリエイション)— 60年代英国モッド/ガレージロックの先駆と影響を徹底解説
プロフィール:The Creationとは
The Creation(ザ・クリエイション)は、1960年代中期に英国で活動したロック/モッド系バンドで、短い活動期間ながら独自のサウンドとヴィジュアル性で後続のミュージシャンに強い影響を与えました。前身バンドを経て1966年前後に「The Creation」としてシングル中心に活動を開始し、シングル曲を軸にした鋭い楽曲群とステージでの演出で知られています。
主要メンバー(概要)
- ヴォーカル:Kenny Pickett(ケニー・ピケット) — パワフルで直線的な歌唱が特徴。
- ギター:Eddie Phillips(エディ・フィリップス) — バイオリンの弓をギターに使うなど実験的な奏法で注目を集めた。
- ベース/ドラムなどのリズム隊は数度のメンバーチェンジを経て堅実な土台を形成。
音楽的特徴と魅力(深堀り)
The Creationの魅力はいくつかの側面から読み解けます。まず楽曲の構造です。多くは短尺で直球のシングル指向の曲が中心で、メロディはポップに寄りつつも、ギターの鋭いトーンやフィードバック、ファズ処理といった攻撃的な音像が楽曲に緊張感を与えています。これが“ポップでありながら生々しい”という独特のバランスを作り出しています。
次に演奏/サウンドの革新性です。特にエディ・フィリップスによる“バイオリンの弓をギターに用いる”パフォーマンスは視覚的にも音響的にも強烈で、当時のロック演奏の表現領域を拡張するものでした。これは後のサイケデリックやハードロックのギター表現に繋がる先駆的な試みと評価されています。
さらにヴィジュアルとアティテュードも重要です。モッズやポップアート的な美意識をステージ衣装やジャケットに取り入れ、楽曲テーマにも「色」や「描く」といったイメージ(代表曲「Painter Man」に象徴される)が頻出します。音と視覚を一体化させた表現が“クリエイション”という名前にふさわしい総合的な魅力を形成していました。
代表曲・名盤(入門ガイド)
- Making Time(1966年頃のシングル)— 初期の代表作。リズムの切れ味とギターの色付けが際立つ曲で、バンドのキャラクターを端的に示す。
- Painter Man(1966)— “描く”というモチーフとポップなメロディに、攻撃的なギターが組み合わさる曲。ヨーロッパでは後年カバーやリメイクで注目を集めたこともある。
- How Does It Feel to Feel(1967頃)— サイケデリック要素やプロダクションの実験性が見える楽曲で、当時のサウンド・トレンドとの接点が分かりやすい。
- アルバム「We Are Paintermen」(1967、編集盤的な位置づけ)— シングル中心の活動だったため、まとまった作品を知るにはこのような編集盤が入門に適しています。
ステージ演出とイメージ戦略
The Creationは単に曲を演るだけでなく、視覚面での驚きや仕掛けを大切にしました。前述のバイオリン弓によるギタープレイはその象徴ですし、衣装やジャケット・アートワークにもアートスクール系の影響が見られ、当時の他バンドと比べても“見せ方”に強いこだわりがありました。これは後のロック・ショーで“演出が音楽体験の一部である”という感覚を早くから提示した点で重要です。
影響と評価—後世への波及
活動期間は短くメジャー・チャートでの大ブレイクは限定的だったものの、その鋭利なギタートーン、簡潔だが刺さるメロディ、ビジュアルに対する意識は、パンクやガレージ・リバイバル、モッズ・リバイバルのアーティストたちに共感を与えました。多くの後進バンドやミュージシャンがThe Creationのシングルを再評価し、カバーや引用で敬意を表しています。
なぜ今聴くべきか—現代リスナーへの提案
- 短くインパクトの強い楽曲群は、現代のプレイリスト文化にも合致しやすく、初めて聴く人でも入りやすい。
- ギター表現やプロダクションの先駆性は、ギタリストや音作りに興味があるリスナーにとって学びの多い対象となる。
- ヴィジュアル面やモッド的な美意識は、音楽史やファッション史の文脈での再評価にも値するため、カルチャー全体を俯瞰したい人にもおすすめ。
入門の順序(初心者向けの聴き方)
- まずは代表シングル(Making Time / Painter Man / How Does It Feel to Feel)で音像とテンポ感を掴む。
- 次に編集盤(We Are Paintermenなど)で当時のシングル群をまとまって聴く。
- 可能ならライブ映像や当時のパフォーマンス映像を探して、バイオリン弓等の視覚的演出を確認する。音だけでなく演出がバンド像を深める。
まとめ
The Creationは、短命ながらも60年代ロックの実験性とポップ性を同時に体現したバンドです。攻撃的なギターサウンド、ポップでありながら尖った楽曲、そして視覚的演出という三位一体のアプローチが、後のガレージ/パンク系ミュージシャンたちに影響を与えました。歴史の大きな流れの中で「埋もれがちな名作群」を発掘する楽しさを教えてくれる存在でもあります。
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参考文献
- The Creation (band) — Wikipedia (英語)
- AllMusic: Search results for "The Creation"
- Discogs: Search results for "The Creation"
- YouTube: "The Creation" 関連動画検索


