Parliament(P-Funk)徹底解説:ジョージ・クリントンが築く宇宙的ファンクと名盤の世界
Parliament — プロフィールと概要
Parliament(パーラメント)は、ジョージ・クリントン(George Clinton)を中心に1970年代に確立されたアメリカのファンク・グループ/コレクティヴです。しばしばFunkadelicと合わせて「P-Funk(Parliament-Funkadelic)」と呼ばれる集団の一翼を担い、ソウル、R&B、サイケデリック・ロック、エレクトロニクスを融合させた独自のサウンドと、宇宙的なストーリーテリング(P-Funk神話)で知られます。
結成の背景と歴史的経緯
ジョージ・クリントンは1960年代後半からファンク・サウンドを探求し、複数のメンバーやバックアップ・シンガーを巻き込んだコレクティブを形成しました。Parliamentはよりポップ/ソウル志向のプロジェクトとして、Funkadelicはロック寄りの実験的側面を担う形で使い分けられ、1970年代の黄金期にアルバム制作や派手なライヴで大きな成功を収めました。
音楽的特徴とサウンドの魅力
- グルーヴ優先の構造:楽曲はハーモニーよりもリズムとグルーヴを中心に構築され、ベースラインとドラムの「間(ま)」を活かした強烈な推進力が特徴です。
- シンセとミニムーグの革新的使用:バーニー・ウォーレル(Bernie Worrell)らによるミニムーグやシンセの低音・テクスチャー使用が、従来のベース楽器とは異なる「キラーチックな」音色を生み出しました(例:代表曲の低音シンセライン)。
- ホーン/コーラスの精緻なアレンジ:ホーンセクションとコーラスが曲のアクセントやコール&レスポンスを担い、聴衆を引き込む力があります。
- 多重録音と層状アレンジ:多数のパートを積み重ねることで「厚み」と「サイケデリックな密度」を生み、曲が進むにつれて展開する仕掛けが多いです。
- 歌詞とテーマの多様性:ユーモア、性的テンション、政治的・社会的メッセージ(例:都市の人種構造を題材にした「Chocolate City」)、そしてSF的な未来観が混在します。
P-Funk神話とステージ演出──音楽を超えたエンターテインメント
Parliamentのアルバムは単なる楽曲集ではなく、ドクター・ファンケンシュタイン、スターチャイルド、サー・ノーズなどのキャラクターを通じた物語(P-Funk神話)として提示されることが多く、これはAFrofuturism(黒人の未来表象)とも結び付きます。ライヴでは豪華な衣装、舞台装置、そして「モーザシップ(Mothership)」と呼ばれる宇宙船の演出が登場し、音楽とヴィジュアルを総合したショーを作り上げました。
主要メンバーとその役割
- ジョージ・クリントン(George Clinton):創設者でありビジョナリー。プロデューサー的立ち位置で全体のコンセプトを統括。
- バーニー・ウォーレル(Bernie Worrell):キーボード/シンセの魔術師。ミニムーグを駆使したサウンドはParliamentの核。
- ブーツィ・コリンズ(Bootsy Collins):ベーシスト兼ショーマンシップの担い手。独特のフレーズとビジュアルがグループに大きな個性を与えた。
- ガリー・シャイダー(Garry Shider):ギター/コーラス。ステージ上での存在感(“Diaperman”の衣装など)でも知られる。
- ホーニー・ホーンズ(Horny Horns)などのホーン奏者群:ファンクの推進力とアクセントを供給。
代表作と名盤の紹介(観点と聴きどころ)
- Mothership Connection (1975) — P-Funkの世界観が完成した傑作。SF的コンセプト、名曲「Give Up the Funk (Tear the Roof off the Sucker)」を擁し、ライヴ演出との結びつきも強い。
- Chocolate City (1975) — 都市と人種、ポリティクスをテーマにしたアルバム。ソウルフルな側面とコミュニティへの視点が光る。
- Funkentelechy vs. the Placebo Syndrome (1977) — 「Flash Light」など、サウンド面での実験性とダンス性の高さが際立つアルバム。ミニムーグ低音の使用例としても注目。
- The Clones of Dr. Funkenstein (1976) — コンセプト性と群像劇的な楽曲展開が楽しめる1枚。P-Funkのキャラクターたちが踊る。
- Motor Booty Affair (1978) — パーティー感と海洋的メタファーを融合させた、軽快でエンタメ性の高い作品。
代表曲(はじめに聴くべきトラック)
- Give Up the Funk (Tear the Roof off the Sucker)
- Mothership Connection (Star Child)
- Flash Light
- Chocolate City
- Aqua Boogie (A Psychoalphadiscobetabioaquadoloop)
- Up for the Down Stroke
音楽的・文化的影響とレガシー
ParliamentおよびP-Funkは、ファンクそのものの定義を拡張し、以降のポップ/ロック/ヒップホップに計り知れない影響を与えました。1980年代以降のヒップホップ、特にG-funkサウンドはParliamentのシンセとベースの質感を取り込んで発展しました。また、Afrofuturism的な表現や、音楽と視覚・物語を融合する手法は、後続の多くのアーティストに着想を与えています。Parliament(および関連のFunkadelicを含むコレクティブ)はロックの殿堂(Rock and Roll Hall of Fame)にも認められ、その重要性は広く認知されています。
聴き方・楽しみ方の提案
- アルバム単位で通して聴く:多くの作品がコンセプトアルバム的につながっているため、曲順で聴くと物語性や展開の妙がわかります。
- パート別にフォーカスして聴く:キーボード(Bernie)、ベース(Bootsy)、ボーカル/コーラス、ホーンの各パートに耳を割いて、それぞれの役割を楽しむと新たな発見があります。
- ライヴ映像と合わせて体験する:派手な衣装や舞台装置が音楽体験を拡張するため、当時のライヴ映像を観ると理解が深まります。
まとめ
Parliamentは単なる「ファンク・グループ」ではなく、音楽・演劇・ヴィジュアルを融合した総合的芸術プロジェクトでした。強烈なビート、革新的なシンセ・サウンド、色彩豊かなキャラクターたちによる物語性──これらが合わさることで、Parliamentの楽曲は時代を超えて聴かれ続けています。初めて触れる人は、まずMothership ConnectionやFunkentelechyなどの名盤を通して、音楽と物語の両方を楽しんでみてください。
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参考文献
- Parliament (band) - Wikipedia
- Parliament | Biography - AllMusic
- Parliament-Funkadelic - Rock & Roll Hall of Fame
- NPR: Stories and features on Parliament-Funkadelic


