Parliament(パーラメント)徹底解説|P-Funkの起源・サウンド特徴・代表曲・影響と入門ガイド

Parliament(パーラメント)——プロフィール

Parliament(パーラメント)は、ジョージ・クリントン(George Clinton)を中心に1960年代後半〜1970年代にかけて活動したアメリカのファンク・バンド/プロジェクトです。しばしばFunkadelicと並称され、「Parliament-Funkadelic(P-Funk)」という大規模な音楽集団・ムーブメントを形成しました。パーラメントはファンクを基盤に、サイケデリック、R&B、ソウル、そして革新的なシンセ・サウンドや重厚なコーラスを融合させた独自のサウンドと、SF的/神話的な世界観を打ち出した点で知られます。

主要メンバーにはジョージ・クリントン(リーダー/プロデューサー)、バーニー・ウォーレル(キーボード)、ブーツィー・コリンズ(ベース/プロデューサー)、ガリー・シャイダー(ギター/ボーカル)、マイケル“キッド・ファンカデリック”・ハンプトン(ギター)などがいます。メンバー構成は流動的で、多数のヴォーカリストやインストゥルメンタリストが参加する「コレクティブ」的性格を持っていました。

音楽的特徴と魅力

  • ファンクの骨格にサイエンスフィクション的な演出: 重いグルーヴとリズム・セクション(特にベース)を軸に、SF的モチーフや独自の登場人物(Starchild、Dr. Funkensteinなど)を通して物語性のあるアルバム作品を展開しました。
  • シンセサイザーとコーラスの革新: バーニー・ウォーレルらによるミニモーグ/キーボードのリードは、従来のホーン主体のファンクとは異なる未来的な音色を生み出しました。多重コーラスやコール&レスポンスも特徴的です。
  • プロダクションとアレンジのスケール感: ジョージ・クリントンのプロデュースは、曲ごとに豊富なサウンド・スケープとユーモア/風刺を織り交ぜ、アルバム全体を一つのショーのように仕立てます。
  • ライブ演出の派手さ: 「マザーシップ(宇宙船)」の着陸や豪華な衣装、演劇的パフォーマンスなど、視覚的にも強烈なインパクトがありました。音とビジュアルが一体化した体験性が魅力です。
  • 幅広いジャンルへの影響: 直系のファンクやソウルはもちろん、後のヒップホップ(サンプリング文化)やG-funk、さらにはロック/ポップ/エレクトロニックまで影響を与えています。

代表曲・名盤(入門のためのおすすめ)

  • Mothership Connection (1975) — 「Give Up the Funk (Tear the Roof off the Sucker)」「Mothership Connection (Star Child)」を収録。P-Funk神話の中心となる作品で、パーラメントの代表作。SF的コンセプトとキャッチーなファンクが結実しています。
  • Chocolate City (1975) — 都市とコミュニティ、政治的な文脈も織り交ぜたアルバム。時代背景(1970年代の黒人都市文化)を反映する視点が印象的です。
  • The Clones of Dr. Funkenstein (1976) — コンセプチュアルで遊び心あふれる作品。ステージ上でのキャラクター表現とリンクする楽曲が多い。
  • Funkentelechy Vs. the Placebo Syndrome (1977) — 「Flash Light」を収録。より実験的・シンセ指向のサウンドが前面に出てきたアルバムで、P-Funkサウンドの幅を示します。
  • Motor Booty Affair (1978) — 海とパーティーをテーマにしたコンセプト作。「Aqua Boogie (A Psychoalphadiscobetabioaquadoloop)」などユニークなトラックを含みます。
  • Up for the Down Stroke (1974) — パーラメント復活の象徴的な初期ヒット集。バンドのファンクへの回帰と新たな方向性を提示しました。

ライブ体験とステージ・ショー

Parliamentのライヴは単なる音楽演奏に留まらず、舞台劇、衣装、演出を融合させた“ショー”でした。特に1970年代中盤の「マザーシップ着陸」演出は伝説的で、巨大な宇宙船のプロップがステージに降りてくるという視覚的クライマックスを生み、観客を圧倒しました。音楽はその装置を支える“筋肉”であり、シンセのリフやベースのグルーヴ、コーラスが一体となって観客を巻き込みます。

文化的影響とレガシー

Parliament(およびP-Funk)はアフロフューチャリズム(Afrofuturism)的表現をポピュラー音楽に定着させた先駆者の一つです。彼らのSF的物語とビジュアルは、黒人文化の未来志向的イメージを音楽と結びつけ、以後の多くのアーティストに影響を与えました。

ヒップホップにおいては、Parliament/Funkadelicの楽曲はサンプリングの対象として非常に広範に使われ、特に西海岸のG-funkサウンド(Dr. Dreら)に直接的な影響を与えました。さらにはプリンスやレッド・ホット・チリ・ペッパーズなど、多方面のアーティストがParliamentのサウンドやステージ演出から着想を得ています。

評価面では、Parliament-Funkadelicはロックの殿堂(Rock & Roll Hall of Fame)への殿堂入りや、グラミーの功労賞(Lifetime Achievement Award)など、長年にわたる影響を公式に評価されています。

おすすめの聴き方・入門順

  • まずはアルバム「Mothership Connection」を通して聴くと、Parliamentの世界観と代表的なグルーヴを掴みやすいです。
  • 次に「Funkentelechy」「The Clones of Dr. Funkenstein」「Motor Booty Affair」を順に聴くと、コンセプトの展開やプロダクションの変化が分かります。
  • ライヴ音源や映像(当時のマザーシップ演出の映像など)も合わせて観ると、音楽と視覚演出が結びついたP-Funkの魅力をより深く理解できます。
  • 聴く際は低域のグルーヴやシンセの質感に注目すると、制作上の個性が際立ちます。

まとめ

Parliamentは、ファンクという土台に大胆なサウンド・デザインとヴィジュアル演出、そして物語性を持ち込むことで、単なるダンス音楽の枠を超えた独自の文化を作り上げました。彼らの音楽は現在でも新鮮であり、多くのジャンルに影響を与え続けています。初めて聴く人には「Mothership Connection」から入ることを強く勧めます — 音楽と物語が一体となったP-Funkの宇宙へようこそ、という体験が得られるはずです。

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参考文献