Funkadelic徹底解説:結成・歴史・名盤・影響とP-Funkの革新性
Funkadelicとは — プロフィール概要
Funkadelic(ファンカデリック)は、ジョージ・クリントン(George Clinton)を中心としたアメリカのファンク/サイケデリック・ロック・グループで、1968年前後に結成され、1970年代にかけてのブラック・ミュージック/カウンターカルチャーに多大な影響を与えました。Parliament(パーラメント)と並ぶ「P‑Funk(パーラディアン)」の中核をなす存在で、メンバーの流動性が高く、バーニー・ウォーレル(Bernie Worrell)、エディ・ヘイゼル(Eddie Hazel)、ブーツィー・コリンズ(Bootsy Collins)らが重要な役割を果たしました。
結成と歴史的背景
Funkadelicは、もともと1960年代末の黒人音楽シーンでの実験的動きと、当時のサイケデリック・ロックの影響が融合して生まれました。Parliamentがよりポップ/ホーン中心のファンク路線を担ったのに対し、Funkadelicはロック寄りでサイケ感の強いギター、長尺の即興パート、重厚なベース・キープを特徴としました。彼らの活動は、黒人文化の自己表現、政治的メッセージ、SF的イメージ(いわゆるアフロフューチャリズム)を同時に打ち出す点でも画期的でした。
主要メンバー(代表的な顔ぶれ)
- ジョージ・クリントン(George Clinton) — リーダー、プロデューサー、ビジョナリー
- エディ・ヘイゼル(Eddie Hazel) — ギタリスト(伝説的なソロ「Maggot Brain」)
- バーニー・ウォーレル(Bernie Worrell) — キーボード/シンセ奏者(クラシカルな要素と革新的なシンセワーク)
- ブーツィー・コリンズ(Bootsy Collins) — ベーシスト(粘りのあるグルーヴ、キャラクター的存在)
- ガリー・シャイダー(Garry Shider)など多くのコーラス/ギタリストやダンサーたち
音楽的特徴と革新性
Funkadelicの音楽は、以下の要素が独特に融合している点で際立っています。
- ギターのサイケデリック処理:エディ・ヘイゼルによるフィードバック、ワウ、サスティンの長いソロがロック的な緊張感を作る。
- 革新的なシンセ/鍵盤アレンジ:バーニー・ウォーレルのミニモーグやオルガンが、古典的な和声感と未来的なサウンドを同居させる。
- ベースとグルーヴ:ブーツィーの「伸びる」ベースラインやドライブするリズムセクションがファンクの骨格を支える。
- 長尺の即興・自由構造:ロックのジャム的展開を取り入れ、曲のフォルムをあえて崩すことでサイケデリックなトリップ感を生む。
- 神話的コンセプトとユーモア:P‑Funk神話(Dr. Funkensteinや宇宙船“Mothership”など)を織り込み、政治や社会批評をエンタメ化する。
代表作・名盤解説
- Free Your Mind... and Your Ass Will Follow (1970)
初期のサイケデリック色が強い作品。ロックとファンクの境界を行き来する実験的な構成が特徴で、Funkadelicの出発点として重要。
- Maggot Brain (1971)
バンド史上最も評価の高いアルバムの一つ。冒頭の表題曲「Maggot Brain」は、エディ・ヘイゼルの10分を超えるギター・ソロを中心に据えた名演で、ロック的な激情と悲哀を表現。アルバム全体がサイケデリックでありながら繊細な音作りを見せる。
聴きどころ:タイトル曲のギター・ソロ、エモーショナルなダイナミクス。
- Cosmic Slop (1973)
ファンクとロックの融合をさらに磨いた一枚。タイトル曲や他のトラックでブラック・ユーモアや社会観察が前面に出る。
- Standing on the Verge of Getting It On (1974)
ロックとファンクの折衷的表現が洗練された作品。メンバーの即興力やソウルフルなボーカルが際立つ。
- One Nation Under a Groove (1978)
商業的にも大きな成功を収めた傑作。タイトル曲はアンセム化し、よりダンサブルでポップな側面が強いが、P‑Funkの哲学(団結、自由、楽しさ)は健在。ここでの音作りは比較的洗練され、広いリスナー層に受け入れられた。
- Uncle Jam Wants You (1979)
政治的なメッセージとファンクの融合。時代背景(1970年代後半の社会的緊張やエンタメ志向)を反映した作品。
ライブ/ビジュアルとコンセプト性
Funkadelicおよびパーラメントのライブは単なる音楽ショーではなく、演劇的な舞台装置と衣装、SF的演出(“Mothership”の登場など)を伴う総合的なエンターテインメントでした。これにより観客は「音楽的宇宙」の一部に引き込まれ、メッセージ(解放、連帯、ポジティブな反逆)を体感的に受け取る仕組みになっていました。
影響と遺産
Funkadelicの影響は多方面に及びます。
- ヒップホップ文化:1990年代以降、多数のプロデューサーやMCがFunkadelicのリフやフレーズをサンプリング。Dr. DreやSnoop Doggなど西海岸ファンク系の影響は明確です。
- ロック/オルタナ界隈:レッド・ホット・チリ・ペッパーズなどのアーティストはP‑Funkのグルーヴとスピリットを取り入れています。
- ソウル/R&B:ソングライティング、ホーン/コーラスの使い方、コンセプト・アルバム的発想は後続の黒人音楽に大きな影響。
- アフロフューチャリズム:黒人文化とSFを結ぶ表現形式としての基盤を築き、視覚/音楽的アイデンティティを確立しました。
聴きどころ・入門ガイド
- まずは「Maggot Brain」(アルバム表題曲)を通してエディ・ヘイゼルのギター表現を体感する。
- 「One Nation Under a Groove」はより親しみやすい入り口。ダンス性とメッセージ性のバランスが良く、P‑Funkの魅力を端的に示す。
- アルバム単位で聴く:Funkadelicは曲ごとのアイデアだけでなく、アルバム全体で世界観を作ることが多いため、LP順で通して聴くと発見が多い。
- メンバー別のプレイに注目:エディのギター、バーニーのシンセ、ブーツィーのベースがどのように絡むかを聞き分けてみると理解が深まります。
まとめ — なぜ今も魅力的か
Funkadelicは音楽ジャンルの境界を壊したことで、単なるファンク・バンド以上の意味を持っています。激烈にエモーショナルなギター、革新的なシンセ使い、確信的なグルーヴ、そして物語性あるステージ表現が合わさり、「音で作る別世界」を提示しました。その結果、今日のヒップホップ、ロック、R&Bの多くがFunkadelicの遺伝子を引き継いでいます。初めて聴く人は、まず数曲で判断せず、アルバム単位で世界観を味わうことをおすすめします。
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参考文献
- Funkadelic — Wikipedia
- Funkadelic Biography — AllMusic
- Funkadelic — Encyclopaedia Britannica
- Parliament‑Funkadelic — Rock & Roll Hall of Fame


