キング・カーティス入門ガイド:サックスの歌心を楽しむおすすめ名盤と聴き方

イントロダクション

King Curtis(カーティス・オズリー、通称キング・カーティス)は、ソウル/R&Bからロック、ジャズまで横断するテナーサックス奏者として知られます。温かく艶のあるトーンと、時に粗削りで説得力あるフレーズを同居させる表現力で、リーダー作のみならず多くの名盤で「名脇役」として存在感を示しました。本コラムでは、初心者から熱心なリスナーまで楽しめるおすすめレコードをピックアップし、それぞれの聴きどころや背景を深掘りして紹介します。

King Curtis の音楽的特徴を押さえる

  • トーン:豊かな中低音〜中音域の太さと、時折見せるウェットで歌うようなフレーズ。歌ものを支える「人声に寄り添う」奏法が持ち味です。

  • ジャンル横断性:R&B/ロックンロール寄りのホンキートンクなプレイから、ジャジーなビルドアップまで自在。場面に応じて“端役の完璧さ”と“主役を張る説得力”を併せ持ちます。

  • セッションワーク:スタジオ・ミュージシャンとして多数の録音に参加。特にアトランティック周辺のソウル作品でのサックスは「音楽的な潤滑油」として重要な役割を果たしました。

おすすめレコード(代表作と名盤)

  • 「Soul Serenade」(曲/シングル) — King Curtis を知るための玄関口

    彼の最も象徴的なインストゥルメンタルのひとつ。メロディの美しさとサックスの歌心が直截に伝わります。サックスの音色、フレージングの「歌わせ方」を学ぶには最適。シングルやコンピ収録で聴けることが多く、初めて聴くならまずこの曲を。

  • ライブ盤(初期ライブ収録) — ライブで見るキング・カーティスの駆け抜け感

    キング・カーティスはライヴ演奏で本領を発揮するタイプです。初期のライブ録音では、観客とのインタラクション、ソウルフルな即興、グルーヴの刻み方がよく分かります。スタジオ音源では抑えめな表現が、そのまま解放される瞬間を味わえます。

  • コンピレーション/ベスト盤 — 入門用にもコレクターにも便利

    リーダー作だけでなく、彼がサイドマンとして参加した楽曲群をまとめた編集盤は、King Curtis の多面的な魅力を短時間で把握したい人におすすめ。代表的なインストやシングル、セッション参加曲がバランス良く収録されているものを選んで聴くと、彼の技術と音楽性の幅が実感できます。

  • アーティスト作品への参加録音(サイドマンとしての名演) — ソウル史を俯瞰する

    キング・カーティスはアトランティック系の多くの録音でサックスを担当し、ときにバンドの顔とも言える役割を担いました。名歌手のレコーディングにおける彼のソロやリフは、曲の雰囲気を決定づけることもあります。リーダー作と並行して、参加作品もチェックすることで彼の真価がより見えてきます。

具体的な聴きどころ(曲ごと/場面ごと)

  • 導入部の出し方:イントロでのフレーズは「曲の顔」を作ります。彼は短い一呼吸でテーマを提示するのが上手く、ここを聴けば楽曲のジャンル志向(ジャジー寄りかR&B寄りか)が判ります。

  • ヴォーカル伴奏の立ち位置:歌ものでのサックスは「補佐」が多いですが、King Curtis は歌声とぶつからないように歌心を模倣しつつ、ポイントで色を足します。ヴォーカルの呼吸に合わせた音の出し方やレスポンスに注目してください。

  • ソロのビルドアップ:短いモチーフを繰り返してからクライマックスへ繋ぐ構成が多く、フレーズの展開(どの位置で急激に音量や音色を変えるか)に注目すると、彼の演奏設計が理解しやすくなります。

リスニングのヒント(聴き分けポイント)

  • 初めての人は「代表曲1曲+ベスト盤1枚」をセットで聴くと方向性が掴みやすい。

  • ライヴ録音はアーティストの即興的な側面が強く出るので、スタジオ録音との比較で“即興の柔軟性”を確かめるのも面白い。

  • サイドマン参加作を追うと、同じフレーズの“変奏”や“使い分け”が見えてきて、プレイの引き出しの多さを実感できます。

選び方のコツ(購入/視聴時の観点)

  • 新規で手を出すなら、まずは編集盤やストリーミングで代表トラックをまとめて聴くのが効率的。次に、気に入った楽曲が含まれるオリジナル・アルバムやライヴ盤を掘ると発見が増えます。

  • サイドマン参加曲を追うと、彼の演奏が曲全体のどの要素(リズム/メロディ/ホーン・アレンジ)に寄与しているかが見えてきます。これは音楽史的な理解にもつながります。

  • 年代順に聴くと、R&Bからソウル、ファンク色の強いセッションへと変遷する「時代感」が把握できます。

楽しみ方の提案(深掘りリスニング)

  • イコライザーや定位を多少操作して、サックスの周波数帯(中音域)に注目して聴く。サックスが楽曲で果たしている“役割”がより明晰になります。

  • 好きなヴォーカリストのレコード(彼が参加しているもの)をピックして、ヴォーカルとサックスの会話に耳を傾ける。名伴奏の良し悪しがはっきりわかります。

  • ライブ音源では観客反応やMCも含めて当時の空気感を楽しむ。キング・カーティスは観客との掛け合いが巧みで、そこに彼の魅力の一端があります。

まとめ

King Curtis は「歌ものを引き立てる名脇役」としての側面と、インストで主役を張る魅力を併せ持った奏者です。まずは代表曲を入口に、ライブ盤やサイドマン参加作を横断的に聴くことで、彼の多彩さと時代との関わりが見えてきます。音楽史の断片を味わいつつ、サックスの“人語のような語り”を堪能してください。

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参考文献