The Ikettes:60年代の女性バックボーカルとダンス・ショーの先駆者—結成背景から代表曲・影響まで徹底解説

The Ikettes — プロフィールと魅力

The Ikettes(アイケッツ)は、1960年代を中心に活躍したアメリカの女性バック・ボーカル&ダンス・グループで、特に「Ike & Tina Turner Revue(アイク&ティナ・ターナー・レビュー)」の看板バックグループとして知られます。強烈なステージ・パフォーマンス、徹底したショウアップ、ソウルフルでパンチのあるボーカルとダンスを武器に、単なる“バック・コーラス”の枠を超えて独自のシングルやステージを展開しました。本稿では結成の背景から音楽的特徴、代表曲、メンバーの動向、そして現代への影響までを深掘りして解説します。

結成と歴史的背景

1960年代初頭にアイク&ティナ・ターナーのツアーの中で発足したThe Ikettesは、当初レビューのバックアップ用グループでした。ツアーの過密スケジュールやレパートリーの要求に応じて、コーラスとダンスを同時にこなせる人材が必要だったため、ショーの一部として育成・投入されました。やがてその人気と実力から、単独シングルのリリースやツアーでの見せ場が増えていきます。

音楽的特徴とステージングの魅力

  • パワフルなリードとハーモニー:Iketteの歌唱はソウル・R&Bの力強さを体現しており、コーラスは厚くリードはエモーショナル。ティナの脇であっても声量や表現力で観客を惹きつけました。
  • コール&レスポンスと即興性:ステージでは観客との掛け合い、リードとコーラスの応答、短いソロパートを織り交ぜた構成が多く、ライブ感が強いのが特徴です。
  • ダンスとショーアップ:同期した振付、速いターン、ハイキックなどのアクションを取り入れたダンスは視覚的なインパクトが大きく、衣装やライトワークと合わさってレビューの見せ場を作りました。
  • 多彩なレパートリー:ブルース、R&B、ロックンロール寄りのナンバーまでこなせる懐の深さがあり、レビューの構成に応じて機能的に歌い分けをしていました。

代表曲・名盤の紹介

The Ikettesは単独名義でのシングルもリリースし、いくつかのヒットを放っています。ここでは入門的に押さえておきたい曲を紹介します。

  • I'm Blue (The Gong-Gong Song) — 初期の代表作で、キャッチーなフックとリズム感が光るシングル。Iketteの存在を広く知らしめた曲の一つです。
  • Peaches 'N' Cream — よりポップでアップテンポ、ダンス向けのナンバー。ライブ映えする一曲としても知られます。
  • ライヴ音源/レビュー盤 — Ike & Tina Turnerのライブ盤には必ずと言っていいほどIketteのパフォーマンスが収められており、ライブでのエネルギーやショー構成を見るには最適です。レビュー形式のアルバムでIketteの立ち位置や動きが実感できます。

メンバー構成とその後の活躍

The Ikettesは固定メンバー制ではなく流動的なグループでした。ツアーやレコーディングの事情でメンバーが次々と入れ替わり、結果として多くの女性シンガーを輩出しています。代表的な元メンバーには、P.P. Arnold、Venetta Fields、Claudia Lennearなどがいて、いずれもIkette在籍後にソロ活動やスタジオ/ツアー・バック・シンガーとして国際的に活躍しました。

このような“養成機”としての側面は、個々のシンガーが独自のキャリアを築くうえで重要な経験と露出の機会を提供しました。同時に、名前やクレジット、報酬の管理などで不公平や混乱が生じることもあり、業界の構造的問題を浮き彫りにしました。

社会的・文化的意義と影響

  • ライブ・エンターテインメントの刷新:Iketteの存在は単なるバック・コーラスを越える“ショーの要素”であり、1960年代のショー文化における女性パフォーマーの役割を広げました。
  • ガール・グループ/ソウルの系譜への影響:高度に鍛えられたコーラスワークとステージングは、その後のガール・グループやソウル/R&Bのパフォーマンス様式に少なからぬ影響を与えています。
  • 個人キャリアの出発点:Iketteを足がかりにソロへ進んだメンバーが複数存在する点は、キャリア形成のモデルケースとして重要です。

現在の評価と再評価の動き

近年は音楽史を再評価する動きの中で、バック・ボーカルや舞台演出に光を当てる研究やドキュメンタリーが増え、The Ikettesの役割・貢献が改めて注目されています。映像資料やライヴ録音が再発されると、当時の迫力あるパフォーマンスが現代のリスナーにも強い印象を残しています。

聴きどころ・楽しみ方の提案

  • まずは代表曲でリズムとコーラスの一体感を感じる(「I'm Blue」など)。
  • 次にIke & Tinaのライブ盤を聴いて、レビュー内でのIketteの役割や舞台作りを確認する。
  • その後、元メンバーのソロ作や関係アーティスト(Tina TurnerやP.P. Arnoldなど)を辿ると、個々の技術や表現の幅が見えてきます。

まとめ

The Ikettesは、単なるバック・ボーカル以上の存在感を持ったグループでした。鍛え抜かれたボーカルとダンス、ショー性の高いパフォーマンスは、1960年代のエンターテインメントを彩り、後続のアーティストたちに影響を与えました。複雑で流動的なメンバー構成や業界内の扱われ方といった負の側面もありますが、音楽的な価値とステージ表現の重要性は今なお再評価に値します。

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参考文献