Jerry Goodmanの名盤を深掘り解説 — Mahavishnu OrchestraとThe Flockの聴きどころと選び方ガイド
Jerry Goodman — おすすめレコード深堀コラム
ヴァイオリン奏者のJerry Goodmanは、ロック/ジャズの境界を越えて強烈な存在感を放ったプレイヤーです。本コラムでは、彼のキャリアを象徴するおすすめレコードをピックアップし、名曲・名演の聴きどころ、作品ごとの位置づけ、コレクター向けの選び方や聞き方のポイントまで深堀して解説します。Mahavishnu Orchestraでの衝撃からソロ作まで、ヴァイオリンがどう楽曲の中心に据えられているかに注目して読み進めてください。
Jerry Goodmanとは:簡潔な経歴と特徴
Jerry Goodmanはシカゴ出身のヴァイオリニストで、60年代後半にジャズ・ロック/プログレ方面で頭角を現しました。初期はシカゴ周辺のバンドThe Flockで活動し、1970年代初頭にはジョン・マクラフリン率いるMahavishnu Orchestraに参加。ここで彼の革新的なエレクトリック/エフェクトを用いたヴァイオリン表現が世界に知られるようになりました。その後、Jan Hammerらとの共作やソロ作品を通じて、フュージョン/ロック/ジャズの接点で独自のサウンドを追求していきます。
おすすめレコード(選集)
The Flock — The Flock (1969)
ポイント:Jerry Goodmanが若きリーダー格として参加したデビュー作。ブルース、ジャズ、アヴァンギャルドな要素が混在し、ヴァイオリンがフロントに立つ珍しいロック作品。
- 代表曲/注目トラック:”Tired of Waiting”など、ヴァイオリンがソロとリフの両面で活躍
- 聴きどころ:ロック・リズムの上での即興的フレーズ、エレクトリック化以前の生のヴァイオリン音色
- コレクター目線:オリジナルのColumbia盤は探しがいがある一方、近年のリイシューやデジタル・マスターも音質が安定している
The Flock — Dinosaur Swamps (1970)
ポイント:前作より演奏のレンジが広がり、ジャズ/フュージョン志向が強まった2nd。Goodmanの鋭いソロがより際立つ。
- 代表曲/注目トラック:”Big Bird”など長尺トラックでの展開力
- 聴きどころ:アンサンブルに溶け込むヴァイオリンのアレンジ、実験的なサウンド・テクスチャ
Mahavishnu Orchestra — The Inner Mounting Flame (1971)
ポイント:Jerry Goodmanを世界的に注目させた金字塔的アルバム。ジョン・マクラフリンのギター、ビリー・コブハムのドラムと並び、Goodmanのヴァイオリンはバンドの「第2のソロ楽器」として強烈なインパクトを残します。
- 代表曲/注目トラック:”Meeting of the Spirits”、”Awakening”など。ヴァイオリンのリフ、ユニゾンの迫力、ソロの瞬発力が光る
- 聴きどころ:クラシック的技巧とロック/ジャズのリズム感が融合した瞬間。ヴァイオリンのトーン処理(エレクトリック化)やトレモロ、ダブルストップの活用に注目
- コレクター目線:オリジナルのColumbia黒ラベル初版は人気だが、近年のリマスター盤はダイナミクスと低域が改善されていることが多い
Mahavishnu Orchestra — Birds of Fire (1973)
ポイント:より作曲性とアレンジが強化された2作目。技術の高さだけでなく楽曲の緊張感・構築性が際立ち、Goodmanの表現の幅も拡大しています。
- 代表曲/注目トラック:表題曲”Birds of Fire”、”Celestial Terrestrial Commuters”など
- 聴きどころ:複雑なリズム・セクションに食い込むヴァイオリン、和声的なアプローチとフリーキーな即興の往復
Mahavishnu Orchestra — Between Nothingness & Eternity (1973 / live)
ポイント:初期のMahavishnuのライブ盤。スタジオ録音とはまた違う即興の強度と演奏の熱気が記録されており、Goodmanのライブでの攻めの姿勢を知るには最適。
- 代表曲/注目トラック:ライブならではの長尺ソロ、アンサンブルの火花散る瞬間
- 聴きどころ:スタジオより荒々しく、ソロ・インタープレイの即興性が高い。演奏のエネルギーを重視するならライブ盤を推奨
Jerry Goodman & Jan Hammer — Like Children (1974)
ポイント:Mahavishnu解散後に同行したキーボーディストJan Hammerとの共作。二人のインタープレイが前面に出た、よりメロディックで時にアンビエントな作品。
- 代表曲/注目トラック:タイトル曲やインスト中心の構成。ヴァイオリンとキーボードの対話を楽しめる
- 聴きどころ:エレクトリック・ヴァイオリンとシンセの相互作用、叙情的なフレーズと空間処理
- コレクター目線:個人的な色合いが強いので、Mahavishnu期とは違う「柔らかさ」を求める方におすすめ
Jerry Goodman — On the Future of Aviation (1985)
ポイント:ソロ名義での作品。80年代のプロダクション傾向をまといつつも、Goodmanの楽器表現や作曲性が中心となっている。
- 代表曲/注目トラック:アルバム全体を通じたコンセプト性とテクスチャ、ヴァイオリンの声部の使い方
- 聴きどころ:時代性が出るプロダクションだが、プレイの本質は変わらないため幅広いリスナーに訴求する作品
聞きどころの技術的・音楽的分析
以下は各アルバムを聴くときに着目すると、より深く楽しめる観点です。
- トーンと音色の使い分け:生ヴァイオリン的な明快さと、エレクトリック化/エフェクト(オーバードライブ、ディレイ等)による拡張のバランス。
- リズムとの関係性:Mahavishnu期では複雑なポリリズムにヴァイオリンがどう乗るかが重要。拍子の変化やアクセントをどう切り取るか注目。
- ハーモニーの扱い:ロック的パワーコード的扱いから、ジャズ的なテンション処理、クラシック的なダブルストップまで幅広い。
- 対話(インタープレイ):ギターやキーボードとのユニゾン、呼吸を合わせた掛け合い。Goodmanは単独のソロよりも相互作用で魅せる場面が多い。
コレクター/リスナーへの実用的アドバイス(選び方)
どの盤を選ぶかは「音の厚み」か「演奏のリアルさ」かで変わります。
- オリジナルLPの魅力:初版のマスタリングは当時のエンジニアリングやアナログ機材特有のレンジを持つ。特にMahavishnuの初版はダイナミクス感が魅力。
- リマスター/再発の利点:ノイズ除去や低域の補正、デジタルでの音像の安定を求めるなら公式リマスターが現実的。
- ライブ盤の選択:演奏のエナジー重視ならライブ盤。冗長さより「熱さ」を優先するリスナーに向く。
- ソロ作かバンド作か:技術と派手さを楽しむならMahavishnu、音楽性やメロディ志向を楽しむならソロやLike Childrenを推奨
聞く順序の提案(入門〜深堀)
- 入門:”The Inner Mounting Flame” — インパクトと代表作をまず体験
- 発展:”Birds of Fire”、”Between Nothingness & Eternity” — 作曲性とライブの迫力を味わう
- 深化:The Flock(1〜2作)や”Like Children” — ルーツや共作を通して音楽的幅を理解
- 探索:ソロ作(On the Future of Aviation等)で独自の音世界を追いかける
まとめ
Jerry Goodmanはヴァイオリンという「本来の枠組み」を越え、フュージョン/ロックの中で独自の立ち位置を築いた稀有なプレイヤーです。初期のThe Flockでの実験性、Mahavishnu Orchestraでの革命的な衝撃、そしてJan Hammerらとの共作やソロでの繊細さ——それらを順に聴けば、彼の音楽的変遷と多面的な表現が手に取るようにわかります。上で挙げた盤はどれもその重要なピースですので、興味に合わせて再生リストを組んでみてください。
エバープレイの中古レコード通販ショップ
エバープレイでは中古レコードのオンライン販売を行っております。
是非一度ご覧ください。

また、レコードの宅配買取も行っております。
ダンボールにレコードを詰めて宅配業者を待つだけで簡単にレコードが売れちゃいます。
是非ご利用ください。
https://everplay.jp/delivery
エバープレイは幅広いジャンルのレコードを扱うセレクトショップ/配信サービスを想定した紹介文です。ビンテージLPや国内外のリイシュー、音質重視のマスタリング違いなど、Jerry Goodman関連の重要盤を探す際に便利なリソースとなります(実在のサービスの詳細は公式サイトでご確認ください)。
参考文献
- Jerry Goodman — Wikipedia
- The Flock (album) — Wikipedia
- Dinosaur Swamps — Wikipedia
- The Inner Mounting Flame — Wikipedia
- Birds of Fire — Wikipedia
- Between Nothingness & Eternity — Wikipedia
- Like Children — Wikipedia
- On the Future of Aviation — Wikipedia


