Einstürzende Neubauten 入門ガイド:名盤の聴き方とおすすめアルバム一覧
イントロダクション — Einstürzende Neubauten の魅力
Einstürzende Neubauten(アインシュテュルツェンデ・ノイバウテン)は、1979年に西ベルリンで結成された実験音楽/インダストリアルの先駆者です。伝統的な楽器に頼らず、建築資材、金属片、工具、電気機器などの「非楽器」を音源として扱うサウンド作り、そして詩的で断片的な歌詞表現で知られます。ノイズと音響の境界を押し広げた影響力は、現在の実験音楽、ノイズ、ポスト・パンク以降の多くの表現に及んでいます。
おすすめレコード(名盤・入門盤)
Kollaps (1981)
バンド初期の衝撃をそのまま封じ込めた作品。粗削りで破壊的なパフォーマンス感、即興的な打撃音や金属音、初期インダストリアルの荒々しさを好む人に刺さる一枚です。ここにはバンドの「実験的出発点」としての矛盾とエネルギーが詰まっています。
Halber Mensch (1985)
初期のノイズ志向から構成力へと踏み込んだ作品。歌ものとしての側面が強まり、楽曲の構造やムードの幅が広がります。荒々しさと抒情性が同居するため、バンドの多面性を理解するのに適したアルバムです。
Haus der Lüge (1989)
電子的要素やリズムの実験が顕著になり、ポスト・パンク/アヴァンギャルド的なアプローチが深化。サウンドプロダクションも発展しており、初期の荒々しさと中期の構築性が混在した時期を味わえます。
Fünf auf der nach oben offenen Richterskala (1993)
より緻密なサウンドデザインと多彩な楽器編成が特徴の一枚。実験性を保ちつつ、ダイナミクスやメロディの扱いが洗練されており、聴きやすさと挑戦的側面のバランスが取れています。
Ende Neu (1996)
ポップ寄りのメロディと大胆なアレンジが印象的な作品。これまでの工業的イメージを拡張して、より「楽曲」として耳に残る曲が多く、入門としても取り組みやすいアルバムです。
Silence Is Sexy (2000)
ミニマルで息を潜めたような美学が前面に出た一枚。音の余白や静寂を意識した配置、抑制されたボーカルが特徴で、成熟した実験色が好きなリスナーにおすすめです。
Perpetuum Mobile (2004)
リズム感と多国籍的なフレーバーを取り入れた作品。機械的なグルーヴ感と、遊び心ある音響実験が同居しており、ライブ感覚を感じさせるトラックも多いです。
Alles wieder offen (2007)
バンドのキャリア中盤以降の成熟を示すアルバム。過去の実験性を継承しつつ、楽曲の完成度や演奏の確かさが際立ちます。深くじっくり聴ける作りになっているため、既存ファンにも新規リスナーにもおすすめできる作品です。
Strategies Against Architecture(コンピレーション)
ライヴ音源やレアトラック、編集音源を集めたシリーズ。バンドの変遷を年代順に追えるため、初めて彼らの全体像を掴むのに最適。各巻(I〜IV)は時期ごとの特徴をまとめているので、入門用としても価値があります。
どのアルバムから聴くか(聴き方の提案)
- 「まずは衝撃を味わいたい」→ Kollaps(初期の生々しいエネルギー)
- 「楽曲性と実験性のバランスを見たい」→ Halber Mensch、Ende Neu
- 「バンドの変遷を体系的に知りたい」→ Strategies Against Architecture シリーズ
- 「静と動、空間表現を楽しみたい」→ Silence Is Sexy、Alles wieder offen
代表曲について(聴くときの注目点)
代表曲を個別に挙げるとき、どう聴くかが重要です。Einstürzende Neubauten の楽曲は「素材の音」をどのようにリズムやメロディ、空間に組み込むかが聴きどころです。以下の点に注目してみてください:
- 音の生成源:金属、コンクリートや工具音などがどのようにリズムやテクスチャーになっているか。
- 空間設計:残響や定位の使い方、音の配置による立体感。
- ボーカルの役割:語り・呟き・叫びが楽器の一部として機能することが多い点。
- ライブ音源との差異:スタジオの細工とライブでの生の衝撃が異なるため、両方を比べると理解が深まります。
エディション選び・コレクター向けの注目点
- 初期プレスや限定盤は状態・希少性により評価が高くなることが多いです。
- リマスターや再発盤は音像がクリアになる反面、オリジナルの荒々しい質感が変わる場合があります。好みに応じて選んでください。
- バンドはサポーター向けの限定音源(Supporter Project 等)を過去に多数出しており、コアな未発表音源や別テイクを収めたものはコレクション価値があります。
鑑賞のコツ
- 一度に全曲を追いかけるより、短めの曲や断片を繰り返し聴いて「素材の響き」を味わうと発見があります。
- 歌詞(ドイツ語)を調べると、リズムや語感が新たに見えてくることが多いです。翻訳と原語の対比もおすすめ。
- ライブ映像やドキュメンタリーを見ると、音の源や演奏のダイナミズムがより分かります。
最後に
Einstürzende Neubauten は単に「ノイズを鳴らす」バンドではなく、音の素材選び、空間の設計、詩的な言語表現を総合して音楽を構築する集団です。まずは上で挙げた数枚を軸に、音の「源」と「配置」を意識して聴いてみてください。聴き進めるほどに、新たな発見と表現の幅が見えてくるはずです。
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参考文献
- Einstürzende Neubauten — Wikipedia (英語)
- Official site — Einstürzende Neubauten
- Einstürzende Neubauten — AllMusic
- Einstürzende Neubauten — Discogs (ディスコグラフィ一覧)


